「かっぺ」と「みやこ」 [石見やそや] 間違って送ってしまいました。(快楽天2023.3)

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copyright 2023 ワニマガジン 石見やそや

ネット弁慶とエロ自撮り

私も人のことは言えないわけだが、「ネット上では強気陽キャだが現実世界の自分は地味」いわゆるネット弁慶というものは洋の東西を問わずあるものだ(ちなみに英語ではkeyboard warriorという表現があるらしい)。インターネットという距離を取り、いつでも逃げられる安心感のもとで暴れ出す人間は珍しくない。その中で異彩を放つのが本作のテーマである「エロ自撮り」だろう。女であれば一度ならずとも自分の裸体を褒めそやして貰いたいに違いない。しかしそれは自分の金庫の鍵を見せるようなものであり、身の破滅を含めた相当なリスクを伴う。リスクを回避するには、その金庫の場所を教えない –つまりネット経由の匿名化が有効となる。金庫の在り処が分からなければ、鍵を自慢げに見せびらかしても大事なものを盗まれる心配は無い。

「かっぺ」と「みやこ」

その裏返しとして、公開されている鍵がはまる金庫を探すメリットと愉悦が生まれた。「特定」である。怨恨や実利から始まる特定作業も無論あるが、人は誰しも秘密を暴きたいという出歯亀根性を心に飼っている。秘すれば花なり。顔見知りの女のおっぱいが見たいのも、乳見知りの女の顔を拝みたくなるのも同じことなのだろう。
本作の勝平はこの勝負に勝った。エロ画像を撒いているということを盾に家にまで上がり込んで襲いにかかる。「エロ地鶏女は襲っていい」などという権利はどこにも無いのだが、石見先生の描く女子には何故だかこういうディールがまかり通るのだ。結局自撮り送信の同期は「送ると上の階ではしゃぐのが分かり承認欲求が満たされた」からというオチであった。
話は変わるが「ふるさと納税」という制度がある。大都市に住まう高額所得者の税金を一部地方に「恵んであげる」制度である。本作の男女は「勝平」「京子」なのだが、「かっぺ」と「みやこ」と読んでみると、都会から田舎にエロ画像を恵んでやり、喜ぶのを見て楽しむという構図にも読める。ふるさと納税は返礼品が選べるものだが、おっぱい画像の返礼になにもチンコの写真を送り返すこたあないと思わんではない。

あらすじ

ある日、ヤニカスニートである勝平の携帯に「京子」から巨乳の自撮り写真が共有された。始めはラッキースケベで片付けていたが、どうやら自分宛てに投げているらしい。応答したところ相手もノッてきたが、身元は明かしてくれない。仕様上相手が近くにいることは分かっているので、マンション入り口で待ち伏せしたところ、冴えない黒服の女が京子だと判明した。

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