
本日は趣向を変えて、さんじゅうろう先生のコミックスをご紹介したい。新刊の名称は「フラストレーションガールズ ~年上好きなのに可愛い男のコにムラムラが止まりません!!~」である。公式Xで告知を見た瞬間に会員登録して即買わせて頂いた。
WANIMAGAZINE COMICS FEMMES
結論から申し上げると、こちらの単行本は2023年にワニマガジンから発行されたさんじゅうろう先生の単行本「フラストレーションガールズ」と表紙以外まったく同じものである。2023年上半期で最も売れた作品であり、書店でこちらの表紙を見たことがある方は多いのではなかろうか。

1,320円
本稿で紹介したい「フラストレーションガールズ ~年上好きなのに可愛い男のコにムラムラが止まりません!!~」は、現在DLsiteがるまに独占配信TL、つまり女性向けエロ漫画である。レーベルもその名の通り「WANIMAGAZINE COMICS FEMMES」と女性向けを称している。TL=ティーンズラブつまり(BLではない)男女の恋愛を指している。しかし内容は私が見比べた限りにおいて全く変わりが無い。エロシーンにおける消しさえも同様である。このレーベルについて6月10日に専用Xアカウント(@82comicsfemmes)が開設され、本作品がレーベル3作目という扱いのようだ。このアカウントはワニマガジン公式Xもリポストしている。しかしワニマガジン社のサイトにもオンラインストアにもFEMMESレーベルの記載が無い。全年齢側では無いはずだが、R-18はいつも通り男性向け一色である。従って現時点でDLsiteがるまに、オンラインのみでの販売なのだろう。
当ブログは原則として同人作品は扱わないと決めている。同人沼は深すぎ、単に商業作品だけで手一杯だからだ。なので実はDLsite自体のアカウントも持っていなかった。今回作成したと同時に当ブログのアフィリエイトの承認も受けられたため、本作を皮切りにあくまで邪魔にならない程度DLsite関連のバナーも上げさせて頂く。今回足を踏み入れた「がるまに」自体についてもまとめたいのでいずれご紹介させていただきたい。
全作品紹介
本単行本に戻ろう。収録は7作品。全て初出はゼロスだ。繰り返すが全て紛うこと無く男性向けエロ漫画として一度は商業流通した作品である。当ブログはエロ漫画を取り扱うと決めているが「男性向け」と限定したつもりはないので、可能な限り女性目線でのエロポイントについて考えてみたい。掲載順にご紹介する。まずあらすじをまとめた上で、解説を加えている。
[ページ数]の後ろのプラス表記は単行本描き下ろしのおまけページ。[エロ率]は作品ページ数に対する「性器修正が発生しているページ」の比率を表している。脱ぎ始めているシーンまで含めるともう少し長い。エロページの比率に関して以前まとめさせて頂いたが、さんじゅうろう先生の作品のエロシーン比率はかなり小さい。男性向けエロではエロ率は50%と70%にピークがあり、40%以下の作品はほとんどない。エロのビジュアルではなく男女の関係性の構築にページ数を割いた上で、二人の関係性の「余白」まで楽しめる深さがまさに女性向けと言えるだろう。収録作品で最もエロシーンが長いのが初出が最も古い「ゼラニウム」で、以降は最低でも半分はストーリー描写にページが割かれている。「プライベートバニー」に至っては34ページの大作なのだが、抜け場に入るのが24ページ目で、性器修正が入るのは僅か7ページしかない。誤解の無いように、どの作品も大変エロシーンが濃厚で読後感はむしろエロシーン長めにさえ感じる。ストーリーについては比較的「余韻」のある描写が多いのに対して、さんじゅうろう先生のエロシーンはカットのメリハリが強く躍動感がある。セックスというのは基本的に同じ動きの繰り返しではあるのだが、冗長を排してハイライトと言える抜きゴマを連発するさんじゅうろう先生の匠の技を堪能したい。
タイトル | 初出 | 年 | ヒロイン | 竿役 | ページ数 | エロ率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フラストレーション | X-EROS#94 | 2022 | 逢坂ななか | 岩田 | 24+2 | 38% |
インプレッション | X-EROS#96 | 2022 | 中妻京子 | 加勢 | 24 | 46% |
ストライクゾーン | X-EROS#101 | 2023 | 美和子 | 悠人 | 30+2 | 37% |
はじめてのデート | X-EROS#97 | 2022 | 琴浦 | 倉吉 | 20 | 30% |
プライベートバニー | X-EROS#99 | 2022 | 莉子 | 沖 | 34+2 | 21% |
IN FACT | X-EROS#92 | 2021 | 三谷麻央 | 高尾慧 | 26 | 42% |
ゼラニウム | X-EROS#90 | 2021 | 早川 | 佐藤 | 26 | 58% |
フラストレーション

CMにモデルにと大忙しの逢坂ななかは、仕事に邁進しつつも寂しい日々を送っていた。罰ゲームで熊本ロケに強行参加させられた逢坂は、ADの岩田くんに話しかけられる。激務で疲弊していても「好きな仕事だから」と微笑む岩田に逢坂は興味を持つ。そんな岩田に自分のグラビア本へのサインを求められ、逢坂ななかの熱烈なファンだと告白される。上気した逢坂は岩田を自分の部屋へと誘った。
さんじゅうろう先生作品の特筆点として「ヒロイン視点が多い」ことが挙げられる。単行本タイトルの本作も売れっ子タレントという特別な女性としての感情が赤裸々に描かれている。基本的にヒロインが自立しており、その中でも逢坂さんは客観的にとても充実した生活を営んでいる。キャリアが上手くいっているからこそ発生する恋愛・性欲への抑制、それに対して湧き立つムラムラ具合つまり「フラストレーション」が最もよく現れている作品だと言えよう。扉絵からも伝わる逢坂さんの美人完成度はさんじゅうろうガールズの中でも頭一つ抜きんでいると思う。性格も快活で無敵ヒロインだ。ちなみに岩田くんと身体を重ねてから絶好調の逢坂さんだが、マネの京子さんにはバレており岩田にだけキツく釘をブッ刺している。
インプレッション

男に恵まれない中妻京子は、突然同僚の加勢に言い寄られる。イケメン陽キャの加勢はヤリチンとの噂で、京子は一旦逃げる。しかし度々仕事がらみで声をかけられるうち、その力強い体躯に身体の芯が熱くなるのを感じた。夜のオフィスで京子からご飯に、そしてホテルに誘った。
明言はされていないが「フラストレーション」の逢坂ななかさんのマネージャー京子さんがヒロインだ。売れっ子タレントを育て上げた功労者であり、逢坂以上にキャリアに満足していそうだ。その一方で前カレに雑に迫られるなど男運に恵まれない。そんな彼女だからこそノリ軽めの加瀬という男を遠ざけてしまう。しかし加瀬は根っからの良いヤツだった。「ヤリチン」という性欲の印象=インプレッションのせいで逆に彼を性の対象として見ることを辞められない。ハッピーエンドなのだが、何となく京子さんの負の男性遍歴が随所に垣間見えるのが本作のコクである。
ストライクゾーン

周囲が色恋に浮き立つ中で、年上好きの美和子には出会いが無かった。女友達に勧められたマチアプに登録した美和子は「悠人37歳会社員」と会う約束を取り付ける。しかし美和子の誤爆で、ヤル気満々の美和子を待っていたのは「悠人18歳大学生」だった。年上の余裕ある恋愛を感じたかった美和子だが、悠人の若さゆえの一生懸命さに心が疼いてしまう。
男性向け・女性向けともに単行本のカバーガールを務めているのがこちらの美和子さんだ。扉絵のくだりは「コケる美和子の身体を通りがかりのイケオジが支える -> 年上好きを知っている友人がいまのイケオジに『声かけてきてやろうか?』と美和子に訊く -> 『…やめてよみっともない』と美和子が固辞する -> 『エンリョすんなって~』」からの「も~いっかい押して来いよぉぉぉぉ」である。ストライクゾーンというのは下のように決められており、「高さ」に関しては個々人の体格に依存する。「高めのタマが来ると待っていたら膝元の低めにどストレートをズバッと投げ込まれ思わず手が出てストライクアウト」というのが本作あらすじである。コミカル要素とロマンス要素の配合が絶妙にエロに繋がっており、収録作品で私は本作を一番に推したい。

はじめてのデート

大学生の倉吉はドラッグストアのレジ店員である琴浦さんに惚れてしまう。左手薬指にリングを付けているにもかかわらずデートに誘った倉吉。なんと琴浦さんはOKした。「ちょっとくらい遅くなっても大丈夫」という琴浦さんの左手には今日に限って指輪が無かった。「(ホテルに)…入っちゃいましょうか」緊張する空気感を破ったのは琴浦さんの方だった。
本作掲載のX-eros#97の発売日は2022年7月5日。新型コロナの感染者数がピークを迎えた第7波の兆しが見え始めたころだった。そんな当時でもマスク姿の本作は異例である。本作は左手薬指の秘密のために竿役目線で描かれている。マスク越しの仕事姿に惚れ、マスク越しのデート姿のガーリーな可愛さに射抜かれる。そして時折垣間見える素顔と本心。ミステリアスな彼女の正体はぜひ読んで確かめてほしい。扉絵の大ゴマ、ロングスカート全身ヒロインのインパクトは絶大だ。ちなみに「琴浦」「倉吉」はともに鳥取県中部の地名である。隣接しており車で20分くらいの距離感だ。

プライベートバニー
既に当ブログで紹介しているのでご参照を。
ほぼ無修正エロ漫画! [さんじゅうろう] プライベートバニー (X-EROS #99)
IN FACT

新しくバイトに入った高尾慧は、先輩の三谷麻央に良くしてもらううちに身体の関係になれた。Hのあとのドライブデートで、高尾は自分たちは恋人同士と思っていいか確認する。麻央は驚いた顔で、自分は既婚な事、高尾君はそれを知った上で声をかけて来たと思っていたと答える。結果として不倫に加担していたことにショックを受ける高尾だったが、麻央への熱い想いが良心を凌駕する。
「はじめてのデート」の上を行くガチ不倫話。場面転換が多く脳内を揺さぶってくる。扉絵のドライブHから、なんと竿役とヒロインの旦那が偶然会話を交わすというシーンまであり非常にスリリングである。結婚していると知ってしまって両者気まずい中での再度のお誘い。「”そのつもり”で来ました…」という高尾君、上目遣いで「…いいね♡」と応じる麻央、モノクロでは分かりにくいが「赤信号」のカットがグッとくる。「竿役の描写がしっかりしている」は女性向けの最低条件だと思われる。本作の高尾君が私の中で収録作品の中でのベスト竿役である。
ゼラニウム

ヒロインの早川は超美人なのに浮いた話が一つも無い。早川さんにコクることを「早川チャレンジ」と揶揄されるほど高嶺の花だった。しかし本当はクラスでも目立たない花屋の息子、佐藤くんと逢瀬を重ねていたのだ。自分に自信が無い佐藤の内心と裏腹に、今日も早川さんの家で二人はHする。
本単行本掲載で最も初出が古い作品。ここを境にさんじゅうろう先生のヒロインの平均年齢が上がり、竿役との年齢差も下に開いていく傾向があるように見える。エロシーンの長さは一番であり、さんじゅうろう先生ヒロインらしい長身スレンダー美少女の積極的な攻めが堪能できる。ゼラニウムは多年草で香りもよく、適温であれば年中花をつける。ゼラニウムの花言葉は「真の友情」、セフレであり恋人である二人だが、花を愛する友としての信頼で深くつながっているというのが美しい。

セフレ大学生と相性120% ~完堕ちセックスから逃げられない~
新装にあたって「~年上好きなのに可愛い男のコにムラムラが止まりません!!~」というアオリが追加されている。収録作品で竿役が下っぽいのは加勢くん、悠人くん、倉吉くんそして高尾くん。この4人のうち加勢くんは微妙だが他の3人は「年上好き」っぽい。しかしヒロイン側で明確な年上志向は「ストライクアウト」の美和子さんだけである。コミックのアオリとしてはあまり適切でない気もするが、「可愛い男のコにムラムラが止まりません」は概ね合っている。
そんなWANIMAGAZINE COMICS FEMMESの次の売り弾が、私の中でさんじゅうろう先生と対極にある、男性向けの中でもエロ比率が超高い、えーすけ先生の「セフレ大学生と相性120% ~完堕ちセックスから逃げられない~」である。こちらも皆さんご存じ単行本「いたずらごごろ」の新装である。DLsiteの内容説明には「シルエット3」が抜けているのだが、ちゃんと収録されているのでご安心を。精神的に自立したヒロインが性欲の赴くまま能動的に竿役を抱くさんじゅうろうガールズに対して、えーすけガールズは自分が何をされているのかも分からなくなるほどドロドロに溶かされコントロールを竿役に明け渡す耽溺型のHが基本形である。二人がHというゴールに至るストーリーではなく、エロから逃れようと藻掻けば藻掻くほど性愛に引きずり込まれるアリ地獄のような感覚。ぜひ味わってほしい。タイトル作品いたずらごころについては当ブログでご紹介している。カバーは優香理さんと暢也(ノブ)である。

1,430円
ズルくてごめんね ~オフ会で会った年下くんに酔ったふりして求められるままガン突きえっち~
さんじゅうろう先生とえーすけ先生、このお二方に共通しているのは男性向け商業エロでトップセールスを誇っているという点だ。この流れで女性向けに親和性のあるエロとなると、亜美寿真先生と雲呑めお先生は外せないだろう。男性向けエロでカバーに竿が映っているのはレアなので、基本的にカバーに竿役を追加する必要はある。しかしそれ以外はほぼ男性向けの原稿のままお出しするということで、女性向け展開が何かと先行きの不透明な商業エロ漫画のブレイクスルーとなれば幸いだ。
と、本稿を書いているあいだにさらにもう一つ作品が追加された。やはり納得の亜美寿真先生「ズルくてごめんね ~オフ会で会った年下くんに酔ったふりして求められるままガン突きえっち~」である。こちらも当然「沼る女」の新装である。タイトル作品の天沼ゆまさんがカバーガールなのだが、率直に申し上げて当作品の竿役コウくんはカバーにお出しするには少々チャラい。タイトル作品自体を「ズルくてごめんね」に替えたのは納得の判断だ。なおこちらのヒロインさくらさんはガッツリ既婚であり、竿役のソラくんは残念ながら旦那ではない。しかしさくらさんの言い寄られ方がたまらなくエロい。さんじゅうろう先生の不倫作品に抵抗が無いなら絶対イケる。そして完全に手前勝手な予想だが、雲呑めお先生コミックとなれば「瀬名さんは満たされたい ~今でも私が好きな後輩男子に求愛されました~」みたいな感じだろうか。

1,430円
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