copyright 2023 ワニマガジン どらのやま
タイトル | 誰でもいい気分 |
作者 | どらのやま |
掲載誌 | 失楽天 2024.01 |
ページ数 | 30 |
ヒロイン | 漆原しずか |
竿役 | 沖サトル |
エロページ位置(割合) | 10 – 28 (63.3%) |
発射数 | 2 |
公式タグ | 和服 / お姉さん / 巨乳 / 手コキ / 淫乱 / 童貞 / 金髪・茶髪 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
みんなで創るええまち
舞台について具体的な言及は無いが、コメント欄でも「伊根」という指摘がある。京都府与謝郡伊根町、京都市から北へ3時間ほどかかる丹後半島の秘境である。日本三景に数えられる「天橋立」(宮津市)までは鉄道が通っているが、伊根へはここからさらにバスで1時間ほどかかる。若狭湾に面する漁師町で、2階の母屋(元々は漁具置き場)の下に漁船を直接係留する「舟屋」という建物が並ぶ光景で知られている。下のような舟屋の光景は28ページ大ゴマ下というどえらい所に描かれている。もう一つ、作中でしずかさんが呑んでいる酒「一期満開」の元ネタは同じく伊根の銘酒、向井酒造の「伊根満開」だと思われる。モノクロの本作では分からないが、古代米を使った鮮やかな赤い色の酒でフルーティーな甘口との事だ。
今夜私が頂くのは?
エロ漫画の話に戻ろう。本作ヒロインは少しタレ目がチャーミングな漆原しずかさんだ。浴衣の胸元がパンパンかつゆるゆるで竿役も「ノーブラ?」と気が気でない。実際ノーブラと後に分かる。竿役はこの民宿「はなだ荘」の主人の息子で、沖サトルという。「長期休みは基本手伝わされる」という発言から学生、しずかさんから酒を勧められないあたりDKではないかと思われる。褐色肌かつ短髪で、学校では野球少年なのかと思わせる風貌である。しかしこう見えて調理見習いとの事で、宿の食事と別に酒の肴を注文したしずかに対して、サトル自ら試作品「枝豆クリームチーズ」「きゅうりのピリ辛たたき」「水菜の豚肉巻きみそソース」の3品をサービスする。どらのやま先生のセンスが光る、聞くだけで旨そうなラインナップだ。そしてサトル君の大人な女に対する恋慕も見え隠れする。給仕という名目でしずかにお酌をしつつ二人は話始める。
ぜんぶ やばい あつい
ここで二人は改めて名前を名乗りあう。沖サトル君が漆原しずかさんにまず訊きたいのは長期逗留している理由だった。しずかさんは「傷心旅行というかヤケ旅行というか?」と表現した。仕事の繁閑や失職中というわけではなく、「二股されていた相手が、自分ではない方と結婚した」からだと明かされる。まだ童貞のサトル君には飲み込み切れないながらも深刻な事情であることは分かる。そして本能的に今は狙い目だと感じ、「しずかさんみたいな綺麗な人を振るなんて勿体無いなって思います」という口説き文句が飛び出す。「狙い目」というのは当たっていた。タイトル通り「今は誰でもいい気分なんだ」と、しずかさんは目の前の学生の誘いに乗った。実直なサトル君は正直に自分にここから先の経験が無いことを伝える。対してしずかさんは「私は男とのやりかた忘れたかも」と意味ありげな返答を返す。真意を問うたサトルにしずかが答える。「私が付き合っていたの女の人だから」。こちらの業界でいうところの百合カップルというやつだ。当然話が繋がらないので「二人はバイであり、しずかの彼女は男に寝取られた」と説明が入る。しずかもまた二刀流であり、かつて男との経験があると暗に言うと同時に、目の前のサトルを抱くことに抵抗感はないことを伝えた。15ページ、経験のない男子学生をいざなう筆おろしを男子目線で叙述している。「ぜんぶやばいあつい」、賢者モードという言葉の裏返しとして、おっ立てたチンコを撫でられている男に語彙など存在しない。挿入に至るまでの男性器は完全に無防備であり、対して女性器は指の感覚でしか認識できない。全力で触覚のみに支配されたがっている男の魂の叫びから、サトルは手コキで射精してしまう。
君の人生めちゃくちゃにできるね
ここからもう一段深まる。17ページ、暴発したサトルに対して「なんで射精したら終わりって思うの?」とバイセクシャルのしずかは問いかける。そう、レズセックスを経験しているしずかにとって射精はあってもなくてもセックスなのだ。しずかはまだ満足していないのだから、サトルが果てようがセックスは継続中だ、と教える。そして自分の秘所に指を入れろと命ずる。一発出したサトルは改めてしずかの嬌態を観察し、見たこともない「しずかの元カノ」との睦み事を想像する。そしておそらくしずか自身も、元カノとのセックスを克明に思い出さされたのだろう。「いれたい」というサトルに、本作イチ重いセリフ「いいよ もしこのまま入れて こども出来ちゃったら 君の人生めちゃくちゃにできるね」という一撃をぶちかます。男性エロで「レズ女を寝取る話」は概ね「チンコの快楽に染まる」という男性に有利な方向性でまとめられがちだが、本作は「チンコで寝取られた側の恨みつらみ」というビターなスパイスをここで利かせている。これを真正面からぶつけられたら大抵の童貞は恐れ入ってしまうと思うが、サトルはしずかへの慕情が勝った。「セックスの最中に中座する」というリスクを負ってでも、「コンドームを取って来る=しずかさんに自分の人生を背負わせない」という誠意を見せ、しずかもこれを受け入れた。
バイバイありがとうさようなら
事後。しずかの傷心旅行は終わった。宿を出立するしずかに泣きそうな目のサトルが追いすがる。少年を手籠めにした上にキツいことも言ったにもかかわらず、しずかの事を諦めきれない気持ちがにじみ出ている。そんなサトルに手を差し伸べるつもりは無かったのだろう。サトル側も何とかこの繋がりを残したい一心を「……また来ます?」という言葉に乗せた。「しばらく無理かなー」といなされ次の手を必死で考えるサトルに少し情が移るしずか。サトルの「…連絡先教えてください!!」という叫びに対する返答が無いまま本作はオチとなる。おそらくしずかは連絡先を教えないだろう(宿帳に書いてあるだろというツッコミは無しで)。ただ程なく、サトルの人生がどうなったかを確かめにしずかは戻って来る。そしてサトルもまたその日を待ち焦がれる。28ページのしずかのどこか穏やかな優しい目を見て私はそう思ったのだ。
あらすじ
沖サトルが手伝う実家の民宿「はなだ荘」にある女性が逗留していた。五日目、食事の下膳に向かったサトルに彼女は酒肴の注文を出す。料理の修行中だったサトルは快諾しお酌をする。彼女は漆原しずかの名乗り、傷心旅行でヤケになっていると身の上を語りだした。「しずかさんみたいな綺麗な人を振るなんて勿体無いな」サトルの一言でしずかは身体を差し出した。
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