copyright 2024 ワニマガジン 星井情
タイトル | ストレンジャー |
作者 | 星井情 |
掲載誌 | 快楽天 2025.06 |
ページ数 | 28 |
ヒロイン | 鷹野 |
竿役 | 小野寺 |
発射数 | 3 |
公式タグ | フェラ / OL / 同級生・同僚 / 巨乳 / 淫乱 / 陰毛 / ぶっかけ・顔射 |
修正 | 白抜き修正 |
前回に引き続き快楽天から、星井情先生の作品をご紹介したい。前回はというとかつておねショタだった僕ら(快楽天2023.12)以来なのでkomiflo的には配信中の作品は本作1本となっている。
#M活
星井情先生もまた作品のレパートリーが広い。当初はどちらかというとヒロインが下に出るタイプの展開が多かったように思うが、先生ご自身は「女性攻め」がお好きだと発信されている。本作は随分とアダルトかつ魔性の女という、強いて言えば失楽天寄りな作品に仕上がっている。本作ヒロインの鷹野詩織さんは、初っ端から竿役の小野寺くんにされるがまま口内射精させられていた。しかし扉絵の2ページでは一転、眼鏡越しの冷たい目線ともに「いや、小野寺くんとはもう会わない」と完全お断りモードでお開きとなっていた。

概観しよう。二人は同じ会社に勤めている。小野寺はいわゆる「女に困ったことがない」ヤリチンだ。鷹野さんは黒髪メガネの真面目な地味子と周囲に認知されていた。「ヤれそう」センサーをキャッチした小野寺は、彼女を二度三度とホテルに連れ込んで「モノにした」。ヤリチンとしては「身体の関係以上を求めない」ような重力コントロールでセフレポジに長く飼っておけるかが腕の見せ所だ。手応えを掴んでからの「もう会わない」発言は小野寺のプライドをいたく傷付けてしまった。困惑しつつ会社で自分の悪癖を言い散らさないかとヒヤヒヤしていた小野寺は、メガネを外して垢抜けた鷹野に驚いた。周囲の男性も突然の美人登場に刮目だ。しかも鷹野は醜聞どころか小野寺に構いもしてくれない。彼女の行動と動機が読めない中で昼メシのカップラに湯を注ぐ。オフィスの死角になる給湯室、そこに鷹野が現れた。鷹野はノーダメをアピールするため、「彼氏できたらしいね」「プライベートには立ち入らないけど、寂しかったらいつでも連絡してくれていいからね」と自ら先制する。これに鷹野は表情一つ作らず「大丈夫です、間に合ってるので」と返した。
You are NOT the father!!
男性が女性を手玉に取っているように見せて実は手玉に取られている。西遊記でいうところの「お釈迦様の掌の上」である。この類例は最近の男性向け商業エロでよく見られる。当ブログで紹介した中では雨宮ミズキ先生「図書委員♀のヒミツ」、亜美先生「沼る女」あたりだろう。前者の月下さんはヤリチンに対する暗示的な害意を、後者の天沼ゆまは手玉に取ることへの愉悦が描かれていた。本作も後者だ。鷹野は小野寺に何らかの改心を促しているわけではない。何なら「このままでいい」とさえ思っているように見える。悲しい事だがこれは「寛容」を意味しない。鷹野は小野寺が経理部の女を侍らかしていても何とも言わない。これ即ち、鷹野さんが誰とナニしていたとしても小野寺は何も言えないということである。
「嫉妬」という漢字は女へんがあてがわれているように女性は嫉妬深いと多くの男は思っている。しかし生物学的事実は逆だ。女性は生殖から授乳まで多大な負担を強いられるため、パートナーである男性に負担を求める。しかし文明化された現代人にとってこの負担は男に先払いさせることもアウトソースすることも可能だ。しかも本作の鷹野さんのように自立した女性であればなおさら。種さえあれば男は本質的に不要なのである。対して胎内受精する生物の男性は本質的に妊娠した胎児が自分の子である保証が無い。女性は「血の繋がっていない子を孕む」ことが不可能なのに対し、妊娠していないパートナーを連れている男が誰かに寝取られるのに10分もかからない。このためつがいを形成するオスはメスから目を離すことを極端に嫌う。古代人そして現代においても男性社会は妊娠可能な女性に様々な制約をかけ、不義密通に厳罰をもって臨む。これはひとえに女性の浮気性ではなく男性の嫉妬深さの表れなのだ。したがって親子確認のDNA検査という技術はまっとうに生きている全オスの悲願なのだが、母子推定の本質的動機を持たない女性は当然嫌がり、男もまた強く言い出せずにいるのが現状だ。本作8ページ、小野寺が鷹野を目で追うようになったのは、ラブコメでいうところの「好きの意識」ではなく、もちろん鷹野が綺麗になったからでもない。「自分の女」認定したオスが抱える本能的危機意識なのだ。「周りの男にムカつく」のも同じ理由だ。愛するがゆえに束縛し監禁したい、オスの本能が抱える原罪である。
間に合ってるもの
繰り返すが、今まで「女に困ったことがない」小野寺だからこそ、目の前の女が他の男に簡単にオトされる解像度が高い。10ページ、「てか最初から俺のもんじゃないもんな」と小野寺も分かっている。12ページ、冒頭あれだけ鷹野に対してデリカシーの欠片も無かった小野寺が「よかったらご飯だけでも」と下手に出る。振り向く鷹野。ここからエロシーンに突入するのだが、鷹野さんが何を思っているのかは徹頭徹尾語られない。自分からディープなキスをするかと思えば、ズボン越しへの愛撫から先になかなか進んでくれない。しかし鷹野さんの態度はとてもわかりやすい。先ほどのご飯のお誘い、15ページ「ん..っ あ…♡ 鷹野さん…っ」、19ページ「しばらくしてないし…」、21ページ「鷹野さんずるいよ…」小野寺が恥もプライドもなく鷹野に甘ったれた時に限り、鷹野さんは積極的にご褒美を与えるのだ。給湯室のシーンでも「間に合ってる」のは小野寺の代わりのオトコではなく、「そういうノーダメアピールそのもの」がもう要らないと言っているのだ。鷹野さんは実際エロい。ただそれ以上の悦楽を小野寺から摂取している。その性感と悦楽が交錯するのが23ページの「脇舐め」である。少し強引に、必死に、腰を振りながら自分に媚びてくる小野寺。作中では描かれていないが、24ページ、涙とヨダレを垂れ流しながら息を乱し喘いでいるのは鷹野だけでなく小野寺もなのだろう。
たぶん小野寺くんは振られた。
事後、ラブホのエレベーターの中で小野寺はようやく賢者として鷹野に真意を問うた。最初そっけなく「つーん」で応じた鷹野は、汗ダラダラで必死にすがりつく小野寺を凝視した。感情のない、値踏みするような目線。私がイチオシする本作で最高に綺麗な顔だ。28ページ、無言で小野寺のほっぺにチュっとして本作はオチとなる。ぱっと見は「なんだかんだ小野寺が好きな鷹野さん」というエンドだ。しかしこの流れをよく見ると、やはり2ページの時点で「たぶん小野寺くんは振られた」のだ。瑞希さんと同じく、振られた本当の理由は作中では明かされていない。10ページの回想で語られているように最初はヤリチンの手練手管で順当にオトされたのだろう。そして自分勝手なセックスに振り回される中で順当に醒めた。上記の通り小野寺に再度抱かれたのは、そんな彼が自分に媚びることに単純な快楽を得たからなのだろう。「興味」ではない。アホみたいに尻尾を振る犬に対する感情。このままなら小野寺はいずれ捨てられるだろう。ラスト「さあ?なんででしょ」の唯一の解は、小野寺自身が鷹野の求めているものに気付いた上で媚びを提供し続けるのみだ。オモシロかつ妖艶な星井情先生の筆致に、以前の商業作品とは随分とギャップのある「アダルトな攻め」のストーリーが乗った。以前の我々の知らなかった、ストレンジャーな星井情先生を刮目して見よう。
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