copyright 2023 ワニマガジン どじろー
タイトル | 陰キャ同士のセックスが一番エロいよね #2-天野結華の場合- |
作者 | どじろー |
掲載誌 | 快楽天 2024.01 |
ページ数 | 22 |
ヒロイン | 天野結華 |
竿役 | 上村 |
エロページ位置(割合) | 12 – 19 (36.4%) |
発射数 | 2 |
公式タグ | おさげ / 処女 / 同級生・同僚 / 恋愛 / 童貞 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
Komiflo半期に一度のいいね数ランキングで目下連覇中で、待望の初単行本「処女がサカっちゃだめですか?」絶賛発売中のどじろー先生の最新作である。今度は何を魅せてくれるかと思いきや、なんと2023上半期ぶっちぎりの人気作品「陰キャ同士のセックスが一番エロいよね」のアナザーサイドという予想外の勝負球であった。公開2日で当然のようにいいね1000overをたたき出している。本作で2023下半期ランキング制覇となれば、実質同じ作品で並み居る強豪を抜き去る伝説となる。そんな伝説の瞬間に立ち会えるかもしれない本作品を早速ご紹介したい。なおオリジナルのタイトルがまあまあ長いうえに、サブタイトルを乗せたためにkomifoの一部表記がバグるほどのロングタイトルになっている。なのでいつもブログタイトルに私なりのタイトルを付記しているのだが今回は長すぎるので割愛させていただく。ちなみに本稿タイトルは「天野結華はスキだらけ!!」としたい。
天野結華の闇と光
前作をお読みでない方はぜひともまず前作を読んでから本作を読み進めて頂きたい。本作は前作のストーリーをヒロイン天野結華目線で書き直した作品であるが、出会いからセックスの約束に至るまでの流れが省略されている。前作は同じく陰キャである竿役の上村が、昼休みに安住の地を求めて階段室を訪れたところから始まる。同じく陰キャの天野結華がそこに居た。二人はゲームの話題から仲良くなるのだが、徐々に天野結華の歪んだ女性観が露わになってゆく。思春期に少なからぬ女性が通る道なのかもしれないが、天野は同じ女でありながら性的に放埓な陽キャ同級生の女性性を嫌悪していた。対して世の大半の陰キャ男性は、彼女が欲しいと望みながら何もせず何も考えていない。上村もそのような男だったのだが、天野結華という生身の女性との面倒くさい対話の中から、彼女の人付き合いに対する渇望を見抜く。そして陰キャ同士の二人が、目の前の異性に自らの望むものを見出すというのが本作で省略されている前段である。前作はあくまで上村から見た、天野結華という女性のミステリアスな思考を読みほぐしていくという事がテーマであった。なので前作では言葉の綾から学校でセックスの約束をした所から、天野結華の部屋に上がるまでの思考が丸々飛んでいる。この間の上村は何も考えられない、おそらく後から思い返しても記憶が何もないくらいうわの空であった事は陰キャ男子として容易に想像がつく。しかし女性にとっては、セックスを許すまでは相手のターンであるのに対して、一度セックスするとなると途端に思考が暴走を始める。そこに注目したのが本作である。
女子ってみんなこんなに液体まみれなの!?
まず何はさておいても避妊である。これは間違いない。そしてここは上村が2ページの段階でクリアしている。扉絵の微妙な表情は、「セックス」に対していよいよ自分にターンが回ってきたことに対する緊張と戸惑い、自分が男性から求められる資質を兼ね備えているかが明日試されることへの自信のなさが見え隠れしている。上村から幻滅される恐怖に対する防護壁として、彼女は人生初めてであろう化粧を自らに施そうとした。具体的な「造り込み」に至る前段階のベースメイクの手順は概ね以下の通り。
- 洗顔 汚れ落とし
- 化粧水 肌に潤いを与える
- 美容液 ニキビ予防やエイジングケアなど肌への補修
- 乳液 油分で潤いをキープする 乾燥する季節は「クリーム」を併用
- UVケア 日焼け止め 出歩く際は化粧完成後も適宜行う
- 化粧下地 肌表面を整えてファンデーションの乗りをよくする
- ファンデーション 肌の色を整える
- コンシーラー シミやニキビなどファンデーションで隠れない個所に上塗り
- フェイスパウダー ファンデーションの保護
このうち4までが「スキンケア」の領域である。サイクルとしては1の手前に「化粧落とし(クレンジング)」が含まれるが、初回なので入っていない。天野さんが「こんなに液体まみれなの!?」と嘆くほどには大変な作業だ。そして彼女は気づく。普段から嫌悪していた陽キャ女子を下支えしている「イライラする女の匂い」の重み、それに縋らざるを得ない、それすらも満足にできない自分への焦りと嫌悪。化粧を投げ出した彼女は
その苛立ちを、こんな状況に追い込んだ上村に向ける。そして付き合ってもいない上村に苛立つ自分を問い詰める。女であることに背を向けて「処女というコンプレックスを捨てたい」と心底思っていたが、その瞬間だけは「女としての自分」を残らずさらけ出す必要がある。上村に対しても冴えない男子と常々下に見ていた天野だが、追い込まれた彼女を支えられるのは上村との信頼関係だと悟ったのだ。
決戦は土曜日
その日は9月17日の土曜日だった。ちなみに2023年9月17日は日曜、直近だと2022年が土曜日となる。二人はこの日も学校がありガッツリ冬服を着ているのだが、2022年9月17日はまあまあの真夏日な上に、九州を中心に特別警報が発令され死者5名を出した台風14号が上陸した嵐の日であった。天野の家に上がって挿入に至るまでの流れは前作で描かれている。前作では挿入から10コマ、本作では4コマで射精に至っており、盛大に早漏呼ばわりされたシーンだが、本作では成し遂げることができ安堵する天野が描かれている。前作では「あとそっちも おめでと 卒業」という名シーンで上村が天野への愛しさを自覚するシーンなのだが、本作の天野サイドは自己否定の連続である。前作20ページ左下、天野の右耳を撫でるカットが、本作15ページ左上のコマとリンクしている。前作ではファーストキスの直後でトロ顔を見せる天野に上村のドキドキが止まらないというシーンなのだが、本作では上村のドキドキに対して「キモ やめてよね」と真逆の内心を吐露している。無論これは上村に向けたものではない。「頭の中真っピンクで 好きだの嫌いだので人生潰してる 私がずっとバカにしてた奴と同じ」存在に堕してしまう自分とそうさせる相手への苛立ち、天野のことを優しく受け止めてくれる上村に対してそのような苛立ちでしか応じられない自分の「キモい」プライドをやめられない情けなさに天野は涙を見せる。前作目線ではそんな思いもつゆ知らず天野を抱きしめる上村。自分の気持ちを持て余す代わりに、上村の愛を受け止められない代わりに、身体で精一杯を受け止める天野だった。
「えーと それまではやっぱエッチも無し?」
事後、前作では上村からの求愛をはぐらかす感じに見えた天野だったが、本作目線では嬉しさを隠さない。前作で天野の周囲への攻撃性を「友達ほしさの裏返し」と看破した上村を認め、友達を作れるよう頑張ってみると答えた。処女とともに無意味なプライドを脱ぎ捨て、いい匂いのする周囲のクラスメイトに受け入れてもらう。それが周囲をバカ扱いしていた天野結華にとっての最低限のケジメであった。そのケジメを果たした先で上村と交際する資格がある、天野はそう考えたのだろう。本作はここでオチるのだが、上村目線の前作ではこの後に余計な一言が入っている。
かつて本作と同様にAsh横島先生「曲尺手さんと大繩くん3」の掲載の次に、ヒロイン曲尺手さん目線のアナザーサイドがweekly快楽天で公開された。こちらはシリーズ物でキャラクターが既に煮詰まっているので非常に面白かった。前作はどじろー先生の快楽天本誌デビュー作で、さすがにアナザーサイドまで計画して作話したものではないと思うのだが、上半期覇者である人気作への思い入れと期待値に見事応えてくれた、のみならず前作未読の読者にも響いた作品ではないだろうか。今年最後となる2月号は待望の巨匠ホムンクルス先生も参戦予定であり、2023下半期での3連覇が成るかはまだ分からないが、初単行本の売れ行きも含めてどじろー先生飛躍の年であったことは間違いない。
あらすじ(前作の内容)
陰キャ男子の上村は、休み時間に階段室にいた天野結華と携帯ゲームの「ポケハン」を一緒にする「便所メシ仲間」だった。付き合いが長くなり会話に遠慮がなくなってきた頃、クラスメイトの悪口を言い募る天野に「友達作りたいんじゃねーの?」と言い返した。図星を突かれた天野は自分に友達などできるわけがないと不貞腐れる。フォローする上村に、「あんた私のこと女として見てんの?」と訊かれる。売り言葉に買い言葉の末、「処女とか早く捨てたい」と天野が呟く。
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