copyright 2025 ワニマガジン どろずみ
タイトル | 愛は轟音で囁け |
作者 | どろずみ |
掲載誌 | ゼロス #125 |
ページ数 | 23 |
ヒロイン | 響 |
竿役 | 鈴木 |
発射数 | 1 |
公式タグ | フェラ / パイパン / カップル・夫婦 / 巨乳 / 恋愛 / 淫乱 / 潮吹き |
修正 | 白抜き修正 |
引き続いてゼロスから、巻頭どろずみ先生の作品をご紹介する。
上の口に指を挿入れて
どろずみ先生といえば、純愛ながらもややビターな大人味の作品というイメージがある。本作はヒロインのコンプレックスを綺麗に解消する後口爽やかな作品と言って良いと思う。ゼロスにはカラーピンナップを各話1ページ目に持ってくるという嬉しい仕様があり、本作ヒロイン響さんの全裸上目遣いが堪能できる(下記単話販売のリンク参照)。瞳色は黄色だ。ある意味で口は最もパブリックな性器であり、異性の口に指を突っ込む行為はエロティックである。またぞろ一般作品で恐縮だが、月野和青先生「コウガさんの噛みぐせ」(全3巻)という作品では、ヒロインの美少女コウガ琴羽さん(コウガは苗字だが漢字表記は不明)が主人公である持田伸くんを「噛む」ことでしかストレス解消できない体質だった。幼少期から身の回りの物を噛み続けできたコウガさんはその行為を秘密にしており、偶然現場を目撃した持田はそれを理解した上で「自分を噛んでもいい」と身体を差し出した。「人の味を覚えた」コウガさんは持田を「おやつ感覚」で噛むのだが、ある日ふと「持田に自分の指を噛ませる」という逆パターンを試そうとして、はじめて異性を「噛む」という行為が性的なものだと気付く(第10話)。しばらくコウガさんの中で葛藤しつつも、結果的にそこから二人は急接近するという話だ。響さんのピンナップに疼いた人はこちらもお試し頂ければと思う。

792円
ボケスルー
本作ヒロイン響さんは、竿役鈴木の度重なる求愛に4回目で応じた。「話すのはあまり上手じゃない」「恥ずかしがり屋ですぐに顔が真っ赤になる」と鈴木に評される彼女のイメージは冒頭から見て取れるだろう。一方、冒頭コマ最初のセリフで「ボケが相手に聞こえてなくて気まずくなる」というチャレンジングな一面も魅力である。「単なる無口・小声キャラ」ではないと伝える、2ページでキャラの印象付け、掴みは万全だ。ここから夜のシーン。7ページまでは教材レベルの正常位お手本前戯が続く。
「お゛ツ ほオ゛オ゛♡」
鈴木が体勢を崩し想定外の角度でズンと挿入。その瞬間出た轟音に、響さん本人がベッドから逃げ出した。
オホ声の響く街
本作のテーマは「オホ声」である。komiflo必修用語だと思うが改めてよく考えてみたい[独自研究]。エロシーンで記述される擬音(クチュとかパンとか)以外の音声は、「ヨガリ」と「アエギ」に大きく分けられる。ヨガリは「善がり」であり、行為を善いもの・気持ち良いものと讃える言葉である。対してアエギは「喘ぎ」であり、原義的には快楽ではなく苦痛の訴えを指す。下図で赤字のものが「ヨガってはいるがアエいではいない声」、つまり意味のある発話の例だ。青字はその逆、つまりセックス要素が無い喘ぎである。「喘息」のゼエゼエが代表的なのだろう。この二つが交わる、「セックスの快感に起因する喘ぎ声」が紫字で、エロ漫画のメインストリームだ。オホ声はこの紫領域の一部分である。これも原義的には「おほっ」ないし「んほおっ」が正しいオホ声だと思われる。しかし本作含めて、現在オホ声と呼ばれがちなのは「濁点喘ぎ」という、本来日本語の発音にない濁点付きの「呻き」である。
私見だが、「おほ」とか「んほお」という発声は感情や抑揚を乗せにくく、「おほおほおほ」のように連続で使いにくい。うめき声というのは内臓を抉られる痛みを思わせる唸り声で、「ぐおぉっ」とか「があっ」とか獣のような発音だ。セックスは女性から見れば「内臓を抉られる」行為なので、「うめき声をあげるほどしっかり刺さってる」というニュアンスなのだろう。「患者の悲鳴がデカいほど上手い歯医者」などということは考えにくいので、うめいている時点で快楽の表現とは言い難い気も私はする。それでもオホ声がこれほど多用される理由はひとえに「声出ししやすい」ことに尽きるだろう。男女問わず、うめき声はある意味で「どんだけ体力が弱っても出せる声」であり、連続で発声しやすい。「黄色い声援」「金切り声」が男性にとって発声のイメージがしにくい反面、重低音のオホ声は頭の中で想起しやすい。いったん「これが最上級に気持ちいいときに出る声!」という認識が整えば、あとはエロ漫画・音声作品どうしでフィードバックループが形成され、より洗練されたオホ声が産声を上げる。宇宙空間の爆発音と同じ。レトリックではあるのだが、フィクションでありファンタジーであるエロ漫画において作者と読者の相互了解によって生み出された一つの進化と言えよう。

元カレは治療できる!
その意味で、本作の響さんは「セックスすると自然にオホ声が出るエロ漫画界から現世に転生してきた」ヒロインと言えるのかもしれない。響さんには「オホ声で振られた」という苦い過去があり、10ページ「おほごえ」と呼ばれることにさえ強く抵抗していた。11ページ、「理解のある竿くん」である鈴木にとっての試練は「彼女のオホ声に耐える」ことではなく、「元カレとの生々しいエロ遍歴について聞かされる」ことであった。オホ声カミングアウトに彼は涙を流し「脳と心とちんちんが痛いです…」と返すのが精一杯だった。セックスは続行されるのだが、間接的にバカにされた気分になった鈴木の鬱憤を彼女の子宮にぶつけるたび、そして彼女が過去の傷をひからかすたび、鈴木の中でドス黒い感情が昂ってゆく。本作タイトルの轟音はオホ声ではない。16ページから始まる。
ああもう! 何様なんだよそいつは!! 多分そいつインポ隠したかったんじゃねえの!? 響ちゃんに酷いこと言うぐらいなら… 行けよ病院! 恥ずかしいことじゃねえよインポ!! 俺はどんな響ちゃんでもバキバキに子宮ぶっ潰せるよ!! だって…!!
愛してるから!!
なかなかの轟音愛である。理解のある竿くんによってコンプレックスを解消した響さんは鈴木に身を任せ、濁音オホ声で絶頂する。このままオチるハートウォーミングな良い話である。もう一度鈴木の轟音を振り返りたい。響を侮辱した元カレの事を「自分が性的に自信が無いことを響のせいにするのは傲慢だ」と断罪する。ここまでは分かる。鈴木の包容力はやや強過ぎた。インポと断定した元カレの羞恥心まで気遣った上で適切な医療の力を借りることを鈴木はこの場で提案する。いや、そうじゃない、鈴木は気付く。大事なのは響ちゃんへのフォローだ。そして「俺は響ちゃんの容姿やオホ声がどんなに酷くても勃起してキミの子宮をぶっ潰すから」、愛ゆえにと締めた。熱い子宮破壊予告。おそらくインポから始まったせいで方向転換がちゃんとできずにフォローが横転している。それでも真面目な鈴木と、優しい響の善性によって本作はじつに綺麗に着地できている。「あと五十個くらい食べられそう」という響さんの開幕の囁きが本作に最後まで温かみを与えている。最初から最後まで無駄のない、どろずみ先生らしい構築の上手さが光るラブストーリーだ。
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