みんな大嫌い![ぴょん吉] 私のきらいな人 (快楽天BEAST2022.4)

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copyright 2022 ワニマガジン ぴょん吉
本稿にはネタバレを含みます!
と、書くまでもなく基本的に当ブログはエロ漫画の素晴らしさを伝え、かつ後世に残すことを目的としているため、その漫画を思い出すのに手がかりとなりそうなことは遠慮せず書くようにしている。そもそもエロ漫画は頭ではなく下半身で読むものであるため、あまり複雑なストーリーやサプライズ表現は敬遠される傾向がある。エロが始まったのに語りが続いたり、ページをめくったらシリアスシーンやグロシーンが差し込まれたらブン投げられてしまう。エロには安心感が必要なのだ。そのため二次三次を問わずセックスの見せ方はある程度「型」が存在し、特定の構図や体位が長くても短くても実用性が下がる。似たりよったりになるのは仕方ない事なのだ。
しかしそれでもなお、頭で読み頭で感じる本作のような硬派なエロ漫画がある。あって欲しいしあるべきだと思っている。ハーレクインを読む女性脳ほどではないにせよ、男性脳だって男女の関係性をスパイスとして楽しむ感覚はある。単発のグラビアやCGでは感じられないツボに刺さる作品こそ至高である。本作はもちろん素に読んでもエロいのだが、素で読むと冒頭からひっかかるポイントが何箇所もある。難解な作品でも賢者モードになると読み解けるのが普通だが、本作はむしろ読めば読むほど混乱する。下記あらすじで自分なりにまとめてみたのだが、この読み方で合っているのかも自信がない。
「私のきらいな人」とは誰なのか? 素に読むと海月から見た皓太郎である。しかし最後まで読むと、「沙良は海月が嫌い」という構図が提示される。物語は海月を視点として語られるが、実は沙良も真逆の思考ながら同じ結論に至っていると考えられる。つまり沙良も皓太郎の煮え切らない態度が嫌いだし、海月も沙良への憧れを建前に皓太郎と肉体関係を持っていることに苛立っている。そして恐らく、海月も沙良もそんな自分の事が嫌いなのだろう。読めば読むほど、実は皓太郎が上手に立ち回っていることが崩壊寸前の三人の関係を絶妙に保ちつつ、裏を返すと無駄に延命させているとも言える。そして結果的にセクシーなのとキュートなのを掛け持ちHし放題という超役得をゲットできている。男子かくありたいものである。
本作を読んで思い出すのは、幾花にいろ先生の「秘密」シリーズである。あっちの竿役の木曾弘樹くんも、彼女である赤沢圭さんの躊躇いのために、ズルい立ち回りでHをキメまくる。だが本作との違いは肝心な彼女とは上手く行かなかったことだろう。弘樹自身もそれを引きずって、新しい彼女とも上手くいかないと単行本作者コメントで書かれている。こちらは全7話構成かつ足掛け5年の作品だが、本作は28ページにこの複雑な三角関係を詰め込みつつエロい。どちらも人間関係に疲れていない時にぜひ読んでいただきたい名作である。
あらすじ
幼なじみで家が隣同士の海月(みつき)と皓太郎の学校に、沙良が転校してきた。3人はすぐ仲良くなった。数年後海月は、皓太郎は沙良と付き合うことになったと聞かされる。海月は大好きな沙良を皓太郎に取られたと感じ、皓太郎に対して嫌悪感を抱きはじめる。また、自分と正反対の明るい容姿と性格の沙良に憧れを感じる。その結果、皓太郎と肌を重ねている沙良のことを感じようと、海月は皓太郎と肉体関係を持つようになる。当然、その行為は沙良への裏切りであり、海月は自己嫌悪に陥りつつも、同じく沙良を裏切っている皓太郎への嫌悪へと繋がっていく。皓太郎の両親が家を空ける日、海月は皓太郎の家で沙良との睦事を想像しオナニーを始める。夜、海月が皓太郎の家を見ると、沙良の自転車が無いことに気づく。皓太郎の家に上がり込むと彼は一人だった。しかし皓太郎の部屋には沙良との情事の痕跡がまざまざと残っていた。思わず海月は皓太郎に抱きつく。海月は皓太郎を世界一嫌いと罵りつつも激しく交わる。
以下ネタバレ
実は沙良と皓太郎は付き合っていなかった。沙良が告白したところ、皓太郎は海月のことが好きだと告げる。しかし、沙良は告白がうまく行ったと海月に報告していた。沙良も同様に、自分には無い容姿と性格を持つ海月に憧れを抱いており、皓太郎と長く付き合っていながら皓太郎の想いに気づかない海月に嫌悪感を抱いていた。その上で海月にあてつけるかのように皓太郎と肉体関係を持っていた。

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