copyright 2024 ワニマガジン 小亀ふつ
タイトル | 奥さんを開発しよう! |
作者 | 小亀ふつ |
掲載誌 | BEAST 2024.05 |
ページ数 | 29 |
ヒロイン | 凜ちゃん |
竿役 | 山崎猛 |
発射数 | 2 |
公式タグ | めがね / 中出し / カップル・夫婦 / 巨乳 / 恋愛 / 淫乱 / 羞恥 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
Not キモ男
本作の扉絵には描かれていないものの、中を一目見ていただければ分かる通り、本作竿役はヒロイン凜ちゃんの夫かつヒゲモジャのクマ親父である。正直第一印象はよろしくない。komifloの属性タグは原則としてヒロインだけを指し、竿役が制服を着てようがポニーテールにしてようがタグには反映しないルールだ。本作には「めがね」というタグがあるが、これはヒロインの凛がメガネをつけている事を指している。そんな中で唯一竿役の属性としてタグ付けされるのが「キモ男」だ。2次3次問わないと思うが、いわゆるチビハゲデブの小汚いオヤジをエロ漫画の竿役して起用する流派があり、ファンもアンチも多い。イケメン竿役にシンパシーを感じられない卑屈謙虚な日本人男性に人気がある一方で、海外ではこの「キモ男」が非常にヘイトを集めているらしい。なので「キモ男」というタグは検索除けとしての意味合いもあるのだろう。さて、本作を読んで頂いた方ならご納得の通り、本作の竿役、山崎猛は見た目こそモッサいものの不潔感は無く非常に紳士である。本作には「キモ男」タグも付いていない。何よりラブラブの新婚夫婦であり、世間をはばかるような理由は何一つないのだ。
イチャイチャタクティクス
ここまで竿役を擁護してきた一方で、本作中で彼がやっている事は「ねちっこい性調教」である。ここに本作のルッキズムを超越したピュアな「キモさ」が若干存在する。ただ原因はひとえに妻の凛ちゃんにあるのだ。凛ちゃんは極度の羞恥心からセックスを無心で機械的にこなすものだと認識しており、自分への前戯を一切受け付けない。猛からすればマグロを決め込めばいいので損は無いのだが、優しい彼ならずともモヤモヤしたわだかまりは理解できよう。「オナホのように扱って」というのは女側も愉しむプレイの範疇ならともかく、本当にモノと化してしまうのは辛い。「シアワセなら態度でしめそうよ」である。夫婦で合意した結果、凜ちゃん脱オナホ計画がスタートする。
男性の性感はチンコにプリインストールされており、いつでもどこでも気持ちよくなれる男だけが子孫を残してきたのだ。対して女性の下の口は決して正直ではない。ヒトの養育期間は長く、一斉に発情期を迎える仕組みは無い。妊娠は吟味して腹をくくる必要があり、初交から気持ちよくなる必要性がないのだ。裏を返せば女性の性感の必要条件は肉体的・精神的な「馴れ」といえる。猛のアプローチはまさにこの通りで、性的刺激を少量頻回与え続けることで馴れてもらおうという計画だ。インスタント至上主義の男性向けエロ漫画の王道ではないような気もするが、納得感のある「寸止め」を猛は施す。基本的に「どこが気持ちいい?」的な言葉責め質問を加えつつ、答えは待たない。凜の中での「問いかけ」として残ってゆく。前後には甘々な言葉を忘れず、あくまで愛情に包まれた中で性感が花開くのを待つ。繰り返すがキモイと言われればキモイと言いたくなるほどのこっ恥ずかしいイチャコラである。二人は同居の夫婦であり逃げ場はない。刺激が興味に変わり、期待に変わってゆく。15ページ、ついに声が出る。万感の思いを以て挿入。それでもなお凜ちゃんは素直になれないのだが、少なくとも感情が出ることに猛は満足する。男性向けで、この容姿で、この年齢で、ここまで甲斐甲斐しい竿役を初めて見るような気がする。確かに世間を見回してもこのような報われない優しさを抱える男性はいるだろうし居ていいはずだ。
超特大おまけ前日譚
本作の隠れたおすすめポイントとして、実は小亀ふつ先生のSNS上で本作の前日譚にあたる漫画が掲載されている。おまけどころのレベルではない大長編だ。以下はこの前日譚を含めた感想を書かせていただく。あらすじを下記にまとめておいたが、可能であればぜひ実物を見てほしい。ポスト1件と最も気に入った一枚絵を引用させていただく。
ブラックに疲れた女の子が
島のおじさんと出会って結ばれるまでの話① pic.twitter.com/v8FPnseOT5— 小亀ふつ (@kogameojisan) January 27, 2024
本作竿役の苗字は作中に記載がないのだが、この前日譚から山崎と判明した(結婚後の姓は不明)。凜はブラック企業勤務に疲れ果てており、ふらっと旅に出た先の離島の売店で猛と出会った。本作では一見するとシティライフを楽しんでいるように見えるのだが、結婚後どこに住んでいるのか、各々の仕事はどうしたのかは語られていない。流れ的には離島でのびのび暮らしていてほしいのだが、まあ離島の売店で今後も生計を立てるのは難しいのかもしれない。「売店」と書いたのだが、これが猛の本業かどうかも不明だ。あとこの離島には温泉があることと、普通に雪が降る描写がある。温泉宿がある離島としては佐渡島や小豆島、西表島などがある。リゾートで行く国内の離島は伊豆諸島や小笠原諸島、八重山諸島、沖縄列島など南側に多い。例外的に雪が降った記録はだいたいあるものの、高山のある屋久島などを除いて、普通のテンションで積雪を語れる島は限られる。佐渡島はフェリーが就航しており週末ふらっと行く離島として適している。しかし残念ながら佐渡島にはローソンが3店舗あるため山崎さんとの出逢いが消えてしまう。その他北国の有人島としては北海道の奥尻島、天売島がある。利尻島、礼文島は週末通うにはさすがに北過ぎる。奥尻島は空港がありアクセス良好なのだが、こちらもいかんせん道民のコンビニことセイコマートがある。天売島は札幌から3時間、船で2時間という距離感でコンビニは無い。これくらいの距離感という事にしておこうか。交際開始から結婚までは漫画ではなく1枚絵が二つ、お花見デートとゲーセンデートの艶姿がある。まあ漫画で描くまでもなくイチャコラしていたのだろう。お花見の方の凜ちゃんの服の透け感が全体を通して一番そそる。そしてゲーセンデートで獲ってもらったクマのぬいぐるみは新婚初夜の日も凜ちゃんに抱かれていた。前日譚を読むとなお一層山崎猛という好人物の紳士ぶりと、凜ちゃんの諸々の面倒くささが際立ってより本作のイチャラブにコクが出る。下記あらすじでは触れていないがいくつかセンシティブな絵も上がっているので、実用面ではこちらもご鑑賞いただきたい。
一作の読み切り商業エロ漫画にここまでのバックストーリーを付加して、それをしかも無料公開するというのは他に類を見ないのではなかろうか。しかも作品中では一切告知がなく、コメント欄での情報がなければ私もチェックしていなかった。単行本の際に日の目を見るのか分からないが、このまま埋もれさせるには惜しい。当ブログの使命としてここに刻ませて頂いた。
前日譚あらすじ(小亀ふつ先生Xを参照のこと)
とあるブラック企業に勤める凜は、日頃のストレスを解消すべく一人離島へ旅に出る。島にはコンビニもなく、小さな商店のおじさんに親切にしてもらった。その時の優しい言葉が忘れられず二度三度とこの島を訪れるようになる。おじさんの名前は山崎猛と言い、彼がスマホを新調したきっかけでライン連絡先を交換する。1年ほど経ち、猛の優しさに魅了された凜は彼が独身であると聞く。次回島に行った際に告白しよう、そう決めて再び船に乗り込む。
恥ずかしさと不安さからか細い声で凛は彼女にしてほしいと告白した。おじさんの猛は優しさゆえに自分では凜に不釣り合いだと考え「おじさんをからかうんじゃない」と茶化してしまう。心が折れ傷ついた凜は島を離れしばらく連絡も疎遠になる。数か月後、猛から「傷つけてごめん」「また会えたら嬉しい」というラインが入る。島での再会。今度は猛からも凜への好意を伝え、二人は晴れて年の差カップルとなった。お花見、ゲーセンとデートを重ね、ほどなく二人は結婚する。
初夜、Hなことに免疫のない凜は緊張と不安で完全にテンパってしまう。猛は年上らしく慎重に紳士的に振る舞うのだが、それが逆に凛の羞恥心を刺激してしまうのかギブアップ。以後、凜はセックスに対して主導権を握る形で男性を気持ちよくするものと認識し、自分への前戯はせず、ローションを使って挿入しすぐイカせるというスタイルに固執してしまった。明らかに無理をさせていると感じた猛は、愛妻にもセックスにちゃんと「参加」してほしいと一計を案ずる。以下本作。
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