エロと宗教と救済部　[眼魔礼] 信仰なき痴女裁き (HOTMILK 2023.04)

タイトルの仰々しさからは想像できない頭カラッポ系乱交ネタである。そりゃ確かにタイトルにも「信仰なき」と書いてあるのだから看板に偽りはない。本号冒頭カラーには正統派なシスターショタネタが掲載されているので、そちらと合わせて読み込んでいきたい。

宗教とエロ漫画というのも対局の存在として因縁深い関係にある。文字も何もない太古の昔から現代に至るまで人類はエロいことをしながら命脈を保ってきたのは疑いのない事実である。対して旧約聖書から古典的宗教はほぼ例外なく淫らな行為に対して敵意を向け続けており、避妊や中絶といった問題に対して現代でも影響を与え続けている。寝取られだろうが近親だろうが、背徳的行為にはどこかしらエロの匂いが付きまとう。「最も美徳的」といえる、子作りを目的とした夫婦間のセックスは全くと言っていいほどエロ漫画の題材にされない。このネタに果敢に挑戦した作品に亜美寿真先生の「新婚初夜(快楽天2022.9)」があるので是非一読されたい。公認された性行為をエロく描くのがいかに難しいかが分かっていただけると思う。かくしてエロ側は安易にイリーガルやナンセンスな領域に手を染める傾向がある。

ここは良識ある大人のアダルトブログなので伏せ字など使わず書く。安倍晋三元首相の銃撃事件に端を発した旧統一教会に関する問題もなんやかんやでフェードアウトしてしまったが、本邦において宗教・信仰の問題はあまりにも雑に扱われるようになってしまった。いわゆる「ポリティカルコレクトネス」とエロという対立軸に関しては世間のアンテナも高く、町中における萌え絵のことを「環境型セクハラ」と呼ぶなど過激な議論が飛び交っている。対して宗教に関する問題は、上記の高額なツボに絡む消費者問題や、税制優遇にまつわる政治的な問題ばかりがフォーカスされている。1995年の地下鉄サリン事件以前は、宗教というものへの関心や権威といったものがまだ存在していたと思う。逆説的ではあるが、「おれたちひょうきん族」のキリスト様や、ドリフターズが牧師と聖歌隊に扮する早口言葉など、宗教に対するパロディが成立できるほどに世間の拒否反応は高くなかった。日蓮宗で使われる団扇太鼓のパロディである志村けんの「だいじょぶだあ太鼓」も、現代感覚で言うととても笑えるものではないのかもしれないが、当時は皆真似するほどバカウケであった。地下鉄サリン事件を契機に、「カルト」という言葉が人口に膾炙した。カルトという単語自体は「異端」という宗教内での部派対立の用語であるはずなのだが、正統宗教を含む全体に「胡散臭いもの」という負のイメージを与えた。以後、「宗教」「教祖」「信者」などの単語そのものが宗教と関係のないネガティブな要素に対して無批判に使われるようになったと感じている。と同時に、エロ漫画を含むサブカルチャーの分野で「バズる」ことを「カルト的人気」と表現する用法が現れた。宮崎勤の事件から年月が経ち、現代感覚の美少女エロ漫画が勃興した時期でもあった。このような背景?で宗教とエロ漫画が交差したときに生まれたのが「修道女(シスター)」ネタであり、Fateのカレンなどこの手のネタが流行っていた記憶がある。

本作は繰り返すが「信仰なき」と言っている通り、単に頭のイタい黒須さんが自爆しただけという進行である。作中に謎の用語がちりばめてあるが、失礼ながらあまり深い意味はないと思われる。「私は聖職者なので純潔を守る必要がある、だからアナルでお願いします」というネタの初出は分からないが、本作でも主張だけされている。なおその後純潔は4ページで散るのだが、エロ漫画では平均的スピードと言える。

黒須さんは正体不明の宗教に帰依している。期せずして肉を食べてしまった贖罪のために、ボンテージ姿で「オテンペンシ

ャ」という鞭を打ってもらう必要があると告げ、手伝ってくれる人間を募った。最初は本当に鞭を打っていたが、途中から黒須さかの嬌声にあてられたチンコでお仕置きを始める。

信仰なき痴女裁き（単話）

220円

ななまん

1,210円