copyright 2023 ワニマガジン 六角八十助
タイトル | コトネつむぎ |
作者 | 六角八十助 |
掲載誌 | 失楽天 2023.05 |
ページ数 | 30 |
ヒロイン | コトネ |
竿役 | はじめ |
エロページ位置(割合) | 9 – 29 (70.%) |
発射数 | 2 |
公式タグ | めがね / ムチムチ / お姉さん / 巨乳 / 淫乱 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
官能小説読んでます?
失楽天本号のテーマは「サカリ痴女」らしい。そして本作のテーマは「官能小説」である。私はこのように遅ればせながらテキストブログをやらせて頂いているのだが、インターネットの帯域幅の増加とともにテキストベースのコンテンツは退潮傾向にある。ほんの20年ほど前は動画はおろか、ポルノ写真でさえ満足にダウンロード出来なかった、そして手元に保存する領域も無かったことを考えると長足の進化といえる。現在はお手元のスマートフォンで検索すれば世界中のエロい動画が簡単に無料でも手に入る時代だ。AIやディープフェイクの技術により、三次元だろうが二次元だろうが既存の人物・キャラクターのポルノや、全く新規のエロ動画でさえ作成できる時代を迎えつつある。あまり技術革新が早いため、商業発展を待たずして一足飛びに法規制の必要性が叫ばれるほどである。
一次元コンテンツ論
私はテキストと音楽のことを「一次元コンテンツ」と定義している。どちらも縦横の軸がなく、テープのごとく一方向にしか再生できないからだ。三次元に対して二次元コンテンツが劣後していないのと同様に、一次元コンテンツには一次元の良さがある。ちなみにエロ動画は対象物の次元にかかわらず三次元(二次元平面x時間軸)、風俗など生身の女性との体験は四次元エロと考えている。三次元エロの代表格と言えるAVは、1時間の動画を1時間かけて堪能する人は少数派で、往々にしてスキップアクセスされがちである。代表的なサイトであるPurnhubでは、実際どこが再生されどこで視聴停止したかの情報を収集し、プログレスバーの下に表示させるほど運用面でもスキップを前提としているフシがある。本作のような二次元の漫画コンテンツをページ単位で読み飛ばす人は少ないと思われるが、全部のコマの全部の情報に目を通しているかと言われるとそうでもない。現に2回3回読むことで初めて気づくような描写もあったりするものだ。対して一次元コンテンツである官能小説は初見で読み飛ばすこと自体がそもそも難しい。どこに何が書いてあるかを頭から順に読んでいかないとすぐ迷子になる。つまり官能小説の消費スピードはある程度予測がつく。良く出来た官能小説はこのスピード、エロシーンの所要時間を計算に入れた上で、読者の中でエロいシーンが再生される順序とペース配分を意識して書かれている。エロ漫画はページあたりの情報量と滞在時間が一定しない(大ゴマを凝視するイメージ重視派と、大ゴマを読み飛ばすストーリー重視派)ため、人によってはヌきにくい展開や相性がよくある。官能小説は(もちろん相性はあると思うが)、序盤中盤でヒロインの日常や過去に触れ脳内でのイメージ作りに時間をかけたかと思うと、ヌキの展開に入るとあえて情報量を落とし、短い擬音や喘ぎ声でページを強制的に進めることでスピード感とボルテージを演出するなど緩急を巧みにつけている。必然的に一次元コンテンツは消費に時間がかかるため、倍速再生などタイパが重視される時代にそぐわない、一目見ての「ジャケ買い」のような取捨選択がしづらい、そして日本語という媒体に100%依存しているため輸出入しづらいなどデメリットが沢山ある。そしてテキストベースのコンテンツをインターネットに載せてしまうと、ほぼ無制限にコピー・改変・盗作できてしまうという商業上の問題点もある。出版物としての販売が落ち込む現代では厳しい制約と言える。本作のように愛好家が古書店で物色する趣味と化しているのは仕方ないところといえる。
ココをなんて呼ぼうか?
本作は六角八十助先生の艶と影のあるキャラクターと、官能小説要素である「淫語」というエロファクターが渾然一体となっている。コトネさんの言っていることを音読すると若干変な人なのだが、それを含めて読者の妄想と倒錯感を味わえる。エロい身体をしているお姉さんがエロいとは限らない。しかし言語とは思考であり、エロいことを口にするお姉さんは実際エロいと言い切れる。9ページ、はじめ君のズボンを下ろしたコトネさんははたと立ち止まる。一度「おちんちん」と呼称したものを「ココ」と代名詞で言い直した上で、何と呼ぶべきかをはじめ君に問いかける。陰茎、ちんこ、肉棒、ちんぽ、ペニス。当ブログでは「チンコ」という呼称を暫定的に第一選択としているが、未だ私の中で確定的なナニかがあるわけではない。女性器にも陰裂だの蜜壺など言い方は多種多様あるが、何故かチンコに相当する用語が放送コードやモラルに抵触するらしいので当ブログでは単に女性器と呼称している場合が多い。本作では一般的な伏せ字を使用しているが、当ブログでは伏せ字を使わない方針なのでこちらも使わない。
見せろ官能小説魂
本作はこの後コトネさんの淫語攻めが続く。エロ小説だろうがエロ漫画だろうがセリフは活字書きするため、官能小説的表現はそのままエロ漫画に適用できる。いったんヌキ展開に入ってしまえば、動作の描写を絵で伝える分漫画のほうが読む側はハイペースだ。逆に漫画はエロと直接関係がない背景なども描く必要があるため、描く側からすると導線誘導に気を遣うところであろう。コトネさんも特段性経験が豊富というわけでもないらしいのだが、官能小説の愛読者たるはじめ君は初体験をまったく言語化できていない。惚れた弱みはあるかもしれないが、「後ろめたさのかけらもない」と断言している割には情けないところだ。官能小説の朗読会までにはしっかり予習して男からの淫語攻めをぜひ決めてほしい。
あらすじ
はじめは和仁古書店の常連で、店主と官能小説を愛読している。取り置いていた本を受け取りに来店したところ、店主の孫であるコトネさんが店番をしていた。憧れの存在だったコトネさんに官能小説のことを切り出せずにもじもじしていたはじめに、コトネさんが淫語をささやく。めくるめく淫語攻めに混乱するも欲情を隠せないはじめをコトネは店の奥に誘い込む。
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