copyright 2023 コアマガジン 紙魚丸
タイトル | やくしょのお仕事 |
作者 | 紙魚丸 |
掲載誌 | HOTMILK 2023.05 |
ページ数 | 16 |
ヒロイン | 後藤 |
竿役 | 72番 |
エロページ位置(割合) | 5 – 14 (62.5%) |
発射数 | 2 |
公式タグ | めがね / ファンタジー / OL / 女性上位 / 巨乳 / 淫乱 / 童貞 |
修正 | モザイク修正 |
一般とエロの境界線に鋭く迫る鬼才、紙魚丸先生の巻頭作品をご紹介する。本作も短編ながら強烈な印象を残す、しかもちょっと社会風刺的な快作だ。
「二次元の少子化対策」
少子化対策はおおよそ先進国に共通の悩みであり、日本でも20年以上に渡って議論が続いている。しかし効果的な打ち手は未だ見当たらない。岸田総理による「異次元の少子化対策」という謎のフレーズが独り歩きしているが効果の程はまだ現れていない。「異次元の」というのだから、当然三次元とは限らない。二次元の本作ではおそらく支持率爆上がりの政策が既に着手されているようだ。
「エロ産業が発達したせいでセックスが減り少子化が進んだ」という暴論がある。グルメ番組が増えれば飲食店の売上も肥満率も減るというくらい荒唐無稽に聞こえる。大規模調査がなされたのか定かでないが、少なくとも実体験として性欲が中長期的に「飽和」も「充足」もされた事は一度もない。加齢とともに「減退」するだけだ。少子化のトレンドは女性の社会進出と晩婚化で説明できる。勿論それ自体が問題ではなく、有能な女性が社会進出した分だけ、社会不適合男性が家庭に取り込まれなかったために育児や介護のリソースが不足する反面、労働力のインフレが起きて賃上げ圧が下がったからだと考えている。ここがいわゆる「弱者男性」のルーツでもある。異論は認めるが、少なくとも強制的に童貞が減ったからと言って少子化が解決するとは私は思わない。とはいえ、童貞がプラスに働くことなど何も無い。作中でも「いつでも考え直せます」と言われるが、はなから再考の余地など無いのだ。結婚相手に非童貞を求めることはあれど、童貞厨など聞いたことがない。説明書きで書いてあるようにこれは「自立支援」なのだ。
役所の常識は世間の常識改変
催眠と前後してエロ漫画に流布した概念として「常識改変」がある。催眠は原則として1対1の関係とみなされ、Hしたい女(とその彼氏)に施すのが一般的である。ただ、エロ漫画の枠内では別に疑似恋愛を楽しみたい訳では無い。催眠を使えば街中の通行人とセックスすることが可能だとしても、その場で始めれば周囲の通行人が黙っていない。強制性交でなくても公然わいせつである。この手の妄想をしたことのある人間なら分かると思うが、確実に他人が入ってこないセックス向きの場所はそうそうあるものではない。他人の家に上がり込んだとしても、客人が来るたびに催眠するのはリスクがある(催眠能力そのものに限界がある設定も多い)。「電車チカン」モノもこのジレンマに度々悩まされる。大半は「満員電車でセックスしててもバレないだろ」という設定で押し切るが、本物の満員電車こそ逆に自分の周囲が気になるものだし、ゴソゴソされるだけで単純にウザい。ここで用いられるのが「周囲もグル」という設定だ。一両まるまるチカンという設定も稀ではない。この発想を全世界に広げたものが「常識改変」だと考えている。もちろん細かい設定は様々だが、原則としては「パブリックな場所でエロいことをするのを周囲が許容する」前提を作ることが目的だ。本作も「税金による脱童貞」に誰も異議を唱えない世界の話である。
「利き腕じゃない方の腕まくって押さえてて下さい」
従って、常識改変モノに必要なのは「倒錯感」だ。場違いな人が場違いな発言をして場違いな行動をすることが求められる。数十年後の読者のために書き残しておくと、本作の舞台設定は「急造されたコロナワクチン接種会場」がモチーフだ。2021年から2022年にかけて、公民館など日本のアチラコチラでこのようなブースが用意され、流れ作業で注射を施していた。ワクチンは筋肉注射する必要があり、肩のすぐ外側、上腕三角筋が二番目に優れた部位であるため原則ここに注射する。夏場ならそうでもないが御婦人は少し服を晒す必要があるため、本作のようなカーテン仕切りのブース内で看護師が接種する。(ちなみに筋肉注射は大きい筋肉ほど吸収が良い。一番デカくて筋注に向いた筋肉は大臀筋つまりケツ肉なのだが集団接種向きではない)。なので原則女性の看護師が各ブースでお待ちしてくれている。私がお願いした際の担当は年配の方だったが、本作の後藤さんのような方に巡り合ったら、「ちょっとマスク取っていただけますか?」と聞きたくなる気持ちはわかる。都内の接種会場はとんでもない流れ作業で微塵もエロくはないのだが、「殺風景な狭いブースで女性と1対1で服を脱いで肌を見せろと言われる」という状況はエロいと言えなくもない。流石は紙魚丸先生の慧眼である。
あらすじ
少子化対策として、18歳以上の男子の童貞を公的に処理する制度が導入された世界。役所で呼出番号72の男が窓口に呼ばれ、税金でロストチェリーしてくれる担当者のところへ案内される。カーテンで仕切られた小さな小部屋。担当者は後藤と名乗り、淡々とセックスの準備を始める。
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