copyright 2023 ワニマガジン こっぺ
タイトル | 浸密 |
作者 | こっぺ |
掲載誌 | BEAST 2024.01 |
ページ数 | 24 |
ヒロイン | 白川麻由里 |
竿役 | 辻田浩司 |
エロページ位置(割合) | 13 – 23 (45.8%) |
発射数 | 1 |
公式タグ | パイパン / 中出し / 処女 / 巨乳 / 恋愛 |
修正 | 白抜き修正 |
2023年もはや2週間を切ったというところで、引き続き更新が遅く申し訳ない。私事ながら不意に食欲と性欲が消えるという怪異に見舞われていた。心当たりは特にないのだが、そこから復調の兆しが見えている。まあどちらも無くて困るものでは正直無いのだが、それはそれで寂しいものだ。さておき、本日はBEASTからこっぺ先生の作品をご紹介する。当ブログでいうところの「泣ける」タグを久々につけた感動作である。
★☆☆☆☆リピ無し温泉宿
当ブログではヒロインと竿役の名前を可能な限り記録している。互いの呼称とフルネームは必ずしも一致しないので、名前は本筋と離れたところで判明する作品も少なくないのだが、本作は3ページ目に双方フルネームを名乗っているという比較的珍しい展開で助かる。冒頭の展開はやや強引であり、本作コメント欄もそこが若干ヤジられている。「人里離れた温泉宿で行きずりの女性とH」自体はエロ漫画的によくある導入だ。その理由なのだが、本作竿役の辻田とヒロインの白川がたまたま同じバスで温泉宿に着いたところ、「予約サイトの不具合でペアでの宿泊になった」というのだ。繰り返すがこの二人はたまたまバスで居合わせただけである。他人と同時にチェックインするのもそもそもおかしいのだが、二人が別々に来ていたら相談する術もない。だいたい満室になるタイプの宿で1室1名と1室2名なら宿泊料金が違うだろう。つまりこの温泉宿のクソ亭主は予約サイトのせいにしているが、察するに辻田・白川の予約と別のところでダブルブッキングをやらかしてしまい、到着が最後の客に無理を押し付けた可能性が高い。付近に代替となる宿が無いので強気な商売をしているのだろう。さらにコメント欄で評判が悪いのが「宿代を半額にする」という対応である。ただでさえ気まずいであろう「相部屋」という妥協案に対して、「割り勘」というのは流石にキレる。そもそも予約サイト経由で宿代自体が同額かどうかも怪しいのに、飲食などで個別のチャージがあった場合にどう考えても気まずい。全部割り勘にするのも個別会計するのも気まずすぎる。結果として夕食のグレードアップは提供されたようだが、満室なのだから食材も余裕が無いはずでありあわせ感が否めない。もちろん結果オーライなのだが、これで予約サイトからの謝罪が無ければリピはない宿である。
それでも可愛い白川さん
ともあれ同室を快諾した白川さんに注目したい。本作は全て白川さんの掌の上で動いているといっても過言ではない。くどいようだが竿役の辻田とは同じバスになっただけという間柄である。ご丁寧に「終点でも居眠りしている辻田を白川さんが起こす」ところから始まっており、バスの中で白川さんの琴線に触れるようなエピソードが無かったと示唆されている。チェックインの不手際対応でも特段辻田に加点があったとは考えにくいのだが、何故かこの時点で同室はおろかワンチャン同衾まで許すほどに辻田は気に入られている。舞台設定は夏っぽいのだが、白川さんの黒のノースリーブ・ショートパンツ・キャスケット帽は非常に好きだ。すぐ着替えてしまい以降出てこないのだが、浴衣姿もまた似合っている。浴衣の上に羽織っているアレは総称として「羽織」というのだが、本作のような腰まであるものは「長羽織」というらしい。腰上のものは「茶羽織」ないし「半纏」、袖のないものは「陣羽織」というらしい。
この旅館は部屋食でないので、せめて夕食ぐらい別テーブルにしてやれと思うのだが、おそらく白川さんの希望(ないしクソ旅館の都合)で同席となった。この場でも白川さんはやたら辻田にモーションをかけまくる。いなしまくる辻田も大概なのだが、夕食から戻った客室に並んで敷かれた布団を見ていよいよ進退窮まる。失態に失態を重ねるクソ旅館にもほどがあるのだが、引く辻田にここで白川さんが踏み込んだ。「本当はアタシ 冗談は嫌いなんです」テクニカルな告白ではあるがグッとくるし、辻田も理解した。抱擁からのキス。十分いい流れなのだが本作の仕込みはここからである。
可愛いだけじゃない白川さん
白川が意を決して胸をはだける。そこには大きくVの字に刻まれた傷跡があった。これこそ彼女がわざわざ独りで貸切露天風呂巡りをしている理由だったのだ。傷跡を気にする展開は幾花にいろ先生「秘密」の圭にもあったが、こちらは付き合っている彼氏に傷跡を見せるのを躊躇した結果別れるという悲恋のストーリーだ。どちらも傷ができた詳細な経緯については語られていない。「子供の頃に大ケガしちゃって」という事だが、胸部は肋骨に近く人体急所なのでエグれるような外傷とは考えにくい。跡が残る重めの火傷(形からして薬品をかけられた?)という線か、手術痕だと思われる。通常はキレイに縫合されるのでもっと細い線状の傷になるだろうが、誇張して本作のような形状にしたのかもしれない。傷は美醜のみならず肉体的にも精神的にも自分の弱点と考えてしまうため、隠すのは生物本能とも言える。一方で隠し事を続ける人生もまた重荷であり、拒絶されても痛みの少ない行きずりの男に勢いで晒してしまうという感情も理解できる。茶化されるのも同情されるのも傷つくであろう。辻田の反応は誠意あるものであった。見返すと冒頭の黒のノースリーブはタートルネックであり胸元が露出せず透けない服という伏線がある。しかし胸元がはだけやすい浴衣を着るのであれば下に一枚シャツを着たほうがリアルではないかと思ってしまう。「脱ぐときテンポが悪い」と言われればそうなのだが。
「弱みをさらけ出す」「秘密を共有される」というのは男として悪い気はしない。もちろん現実に背負うとなるとそれなりに重いのだろうが、見てる分には美しい。また「今まで男に肌を晒したことがない」というシチュエーション自体も単純にエロい。「白川さん」呼びから「麻由里さん」「麻由里」と一足飛びに進むのも勢いがある。作中では一発なのだが二人は朝まで盛り上がってしまい、朝日を浴びながら恋人繋ぎでまどろんでいる。事後のけだるい感じが伝わる良いオチだ。特に多くは語られないハッピーエンドなのだが、なんだかんだ良い距離感でやっていけそうなほのぼの感がある。このままゴールインしたときの結婚式のネタとしては悪くないのではないだろうか。新婚旅行は別の宿をおすすめするが。
あらすじ
辻田は日々の疲れを癒すために人里離れた温泉宿に向かっていた。同じバスで到着した白川麻由里という女性とチェックインするも、手違いで部屋が一室しか残っていないと判明する。困惑する辻田だったが、相部屋でも構わないという白川の申し出に応じることにした。白川には誰にも言えない事情があり、夜も更けた宿の一室でそれを辻田に打ち明ける。
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浸密(単話)
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