copyright 2024 ワニマガジン 雲呑めお
タイトル | おともだち |
作者 | 雲呑めお |
掲載誌 | 快楽天 2024.09 |
ページ数 | 26 |
ヒロイン | 藤森乃々佳 / 竹田亞子 |
竿役 | 伏見涼 |
発射数 | 2 |
公式タグ | ハーレム / パイパン / ポニーテール / ニーハイ・ニーソ / 中出し / 制服 / 同級生・同僚 / 学生 / 巨乳 / 幼なじみ / 恋愛 / 淫乱 / 潮吹き / 羞恥 / 複数 / 陰毛 / ぶっかけ・顔射 |
修正 | 白抜き修正 |
続けて雲呑めお先生の作品をご紹介したい。本作は快楽天今号の巻頭作品である。
あらすじ
本作もまずあらすじを説明する。ヒロインの藤森乃々佳が伏見涼に告白した後のシーンから始まる。涼の返事はNoだった。ここまでの経緯は不明だが少なくとも昔なじみではない。諦めきれない乃々佳は敗因を聞くのだが、はぐらかす涼。追いすがる乃々佳に、涼は「説明するから、明日の放課後ウチ来れる?」と告げた。想い人の家に上がり込むと、彼のベッドの上に友達の竹田亞子が乗っていたのだ。涼と亞子が幼馴染なのは知っている。彼女がいるならそう言えばいい。わざわざ家に呼ばれた理由が分からない。そこに涼が「亞子とは付き合ってないけど体の関係がある」と言い出した。要するに世間に憚るような事情があると。困惑する乃々佳をよそに、亞子は3人でセックスしようと言い出した。動揺する乃々佳と涼をよそに、亞子は悪びれもせず「じゃああとで二人でしよっか」と言った。気がつけば、乃々佳も輪に入っての3Pが展開される。
バブみとハーレム
男のエロ妄想について考えたい。妄想であるからには非現実性が求められる。催眠だの常識改変だのの舞台装置は妄想と現実に橋をかける「理由付け」であり妄想そのものではない。エロ妄想の純度を上げていくと、「絶世の美女と相思相愛で徹底的に尽くされご奉仕してもらえる」「複数の美女に代わる代わる自分を求められ取り合いされる」の2パターンに収束すると思われる。前者は「バブみ」という言葉に代表される母性愛の延長、エディプスコンプレックスと言えるだろうか。後者はいわゆるハーレムであり、人間だけでなくライオンのような群れの動物に源流がある。「与えられる存在になる」「求められる存在になる」とも言い換えられる。相思相愛と違い登場する女性から見たときに実利が特にない点が非現実性である。従ってハニートラップを仕掛けるなら極論このどちらか好きかを見極めてぶつければ良いということだ。何が言いたいか。前回ご紹介した亜美寿真先生「沼る女」の天沼ゆまは前者の妄想を象徴しているのに対して、本作は後者のハーレム妄想を具現化している。系統は違うが二つのエロ妄想の究極形を志向している点で非常に対比的だと思ったのだ。エロ漫画とはつまるところ読者にとってエロ妄想の外注であり、この2作はとびきり上質な妄想である。どうせなら可愛い方が良いしエッチな方が良い。両先生の描く2作は男性の性欲を精度良くグリップしていると考える。どちらもいいね数2000をうかがう高評価は伊達ではない。
妄想に乗れない男
しかし本作のコメントには少し不満が見られる。私も感じた。ひとえに涼くんの煮え切らなさである。藤森乃々佳は涼と付き合ってHしたい、涼に他の女とHして欲しくない、という常識的な反応だ。竹田亞子は涼と乃々佳で付き合うのは良いことと公言しつつも、涼と自分がセックスするのは別の話という非常識ではあるが確固たる価値観を持っている。対して涼は乃々佳に恋愛感情を持っていることを匂わせるのに、亞子との関係を明確に否定しない。かといって亞子の立場から「3Pしようぜ」と言うわけでもない。結局2人ともとヤルのだが、これではどちらか片方とは「同情」感が否めない。前段でエロ妄想の話をした。気持ちいい妄想のためには、自分が投影される竿役の思考は割り切れていなければならない。剛柔どちらでもいい。躊躇が入ると妄想にもフォローが入ってしまい崩れてしまう。
妄想を超えた三角形
本作はストーリーも造形も素晴らしい。特に乃々佳さんのひきつった笑みが情感溢れていて大変いじらしい。亞子さんの手慣れたOKサインなど実用的にも申し分ない。完璧なエロ妄想であるがゆえに、竿役の逡巡がくっきり見えてしまうのだ。その上でなお本作は「好」である。エロ漫画全体からみれば竿役が人間扱いされていない話の方が多い。青春ラブコメとして本作を見れば、純愛にも若い性欲にも染まりきれない涼という男子は羨ましくも正直な魂が入っている。彼がどちらかに割り切ったらこの三角形は音もなく崩れる。エロ妄想としてはノイズかもしれない彼の躊躇いがあるからこそ、本作は読者の心を揺さぶるほど存在感を発揮しているのだ。事後、乃々佳は「伏見くんのセフレにはなりたくない」と告げる。カノジョになりたい、お友達でもいい、でも亞子と同列にはなりたく無い。整理がつかない乃々佳の、とにかく現状を動かしたいという心の叫びだ。その想いは涼の心に届いたのか、分からないまま本作はオチる。喜怒哀楽を交えながらも竿役に正直な雲呑めおガールズらしい乃々佳に対して、亞子ちゃんのような非常識セックスモンスターは「じゆうけんきゅう」(快楽天2019.11 「おかえり」収録)のゆずちゃん以来だろうか。「じゆうけんきゅう」は完全なエロコメディだが、本作は緊張感のある三角関係にコミカルな亞子ちゃんが入ったからこそ淫靡な不思議空間が形成された。おそらく支持は乃々佳にあるのだろうが、もし続編があるのなら私は亞子の本性に興味がある。
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