後に引けないほど惹かれ合う恋 [木瀬樹] エリュトロンの瞳 (BEAST 2023.06)

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copyright 2023 ワニマガジン 木瀬樹

タイトル エリュトロンの瞳
作者 木瀬樹
掲載誌 BEAST 2023.06
ページ数 28
ヒロイン
竿役 翔太
エロページ位置(割合) 14 – 25 (42.9%)
発射数 1
公式タグ ガーター / パイパン / タイツ・パンスト / ニーハイ・ニーソ / 処女 / 制服 / 同級生・同僚 / 学生 / 恋愛 / 貧乳・微乳
修正 白抜き修正

Xerosも素晴らしいがBEASTも当たりが多くて素晴らしい。目移りするのだが木瀬樹先生の作品をご紹介する。

偶然聞こえた誰かの声がもう一度聞こえた時

本作は「中二病」、いや「中二病でも恋はしたい」モノである。そうとしか言いようがない。京都アニメーション自身がオリジナル作品を持つべく立ち上げたレーベル「KAエスマ文庫」の第一弾作品であり、2012年にアニメ化された。京アニ中興の一作と言っても過言ではない名作だ。

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中二病という言葉自体は当然これ以前からあったわけだが、「能力もないのに自尊心だけ肥大した中坊なら許される言動をそれ以降も続けている哀れな人間」という非常にネガティブ要素の強い侮蔑表現だった。実際現物は痛々しい存在なのだが、美少女としてデフォルメすることで一つの個性として、庇護欲を強く掻き立てるヒロインに仕立て上げた功績は大きい。特に女子オタクの許容幅を大きく広げ、ゴスロリや不思議ちゃん系オタク趣味のカミングアウトのボーダーを下げたと評価している。かたやエロ漫画的にも、キャラが竿役に依存しがちな「ツンデレ」や「バブみ」より、竿役に依存せず好き勝手に生きるヒロインの路線として令和にも息づいていると感じている。

がむしゃらに求めてるIdentity

本作のエリュトロン(erythoron)は、ギリシャ語で「赤」を意味する。ちなみにερυθρόςと綴り、pっぽい文字がギリシャ文字のロー(ρ)である。ちなみにロシア文字はギリシャ語の系譜を強く引いているため、ロシアの露の字も同様(ロシア語でРоссия)だ。本作は残念ながらカラー作品ではないのだが、従って楓ちゃんのオッドアイの片方は紅いと思われる。彼女はメッシュも入れているらしいのだが見えなくて残念。単行本表紙に期待しても良いだろうか。エリュトロンで検索すると「ドラクエ」や「PSO」が出てくる。要するに赤い敵キャラに付けられがちな中二ワードということだろう。ちなみに最後の最後で翔太くんの黒歴史が掘られるのだが、彼はエインヘリアルと名乗っている。日本語ではいくつか表記ゆれがあるが原語はeinherjarで、北欧神話で死してなお戦う戦士の魂を指す中二ワードである。北欧神話といえばオーディンなわけで、FF11のバトルコンテンツの名前にもなっているらしい。ついでだが、ゴシック魔法少女フィギュアのアグネスは英語でAgnesと綴り、古代ギリシャ語のἉγνή(神聖とかピュアという意味)から来ているらしい。フランス語だとアニエスと呼び、Agnes b (アニエス・ベー)はブランド創始者のファッションデザイナーの人名である。

飛び跳ねそうな心のゆくままにゆこうよ

本作の見どころであり美しい点は、楓ちゃんが(小鳥遊六花と違い)気遣いのできる子だというところだ。中二病はどこかしら他人の気を引くためにやっている部分があると思うが、楓ちゃんは翔太くん一直線であり、何なら翔太くんのいないところでは普通に生活している可能性が高い。カラコンもオッドアイを作るためではなく消すために使っていると明言している。そして全てはエロフィギュアのフォローだというから健気にも程がある。少なくとも楓ちゃんはそのために髪まで切っている。覚悟がエグい。翔太がこのフィギュアを断捨離せずに置いてある理由がただの「転売目的の寝かせ」だとしたら泣くに泣けない。あとこのフィギュアはパッと見だとタイツを履いていないように見えるのだが、ガーターベルト姿が原作再現らしい。単にパンツの色だけかもしれないのだが、ここまでほぼ毎日こっそり好きな人のエロフィギュアの原作再現を演じていたかと思うと少し背筋が寒くなるまである。しかしこの手のラブコメ風エロ漫画では頼りない竿役が多い中、本作の翔太くんは中二時代もその後も実にいいヤツである。いいヤツが好意に鈍感なのは仕方ないのだ。非常に推せるいい話だった。エロ的には淡い感じではあるのだが、作画も展開も実に綺麗なので私は好きだ。濃い目はいくらでもあるので、こういう口溶けのいいエロ漫画は大事にしたい

あらすじ

翔太は中二病をこじらせている楓のことを良くかまっている。楓は他の人の前では人当たりもよく頭も悪くない。しかし翔太の前では中二病のままだ。楓はオッドアイなのだが人前ではカラコンで隠していることに翔太が気づき質問したところ、楓は翔太の黒歴史時代に愛好していたゴシック魔法少女「アグネス」のフィギュアに近づくべく努力している、つまり翔太に気に入られたいと告白する。

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