顔マスクと顔コンドーム [有村大根] マスク下の放課後 (WEEKLY快楽天 2024 No.31)

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copyright 2024 ワニマガジン 有村大根

タイトルマスク下の放課後
作者有村大根
掲載誌WEEKLY快楽天 2024 No.31
ページ数26
ヒロイン柚月瀬那
竿役先輩
発射数2
公式タグおさげ / フェラ / 三つ編み / 中出し / 処女 / 制服 / 学園 / 学生 / 幼なじみ / 後輩・部下 / 恋愛 / 童貞
修正白抜き修正

本日はWeeklyからkomiflo初登場、有村大根先生の作品をご紹介したい。不肖私は折悪しく何か貰ったようで目下気温ではなく体温が38.7℃と厳しい。最低限の買い物だけはと久々にマスクを装着した私に非常に刺さった作品である。

COVID-19

大なり小なり粘膜接触が欠かせないエロ業界にとってパンデミックの影響は小さくない。ただでさえ性感染症の危険に直接晒されているところに、密着して会話しただけで感染し最悪死にかねない新型コロナはたまったものではなかった。日常生活は一変し、外出ではマスクの着用と手指消毒が必須となった。それでも顔を売ってナンボのテレビ業界は頑なにマスクを拒み、演者同士の距離を取り衝立を置くことで感染対策が取れていると強弁した。ホストクラブを中心に水商売も槍玉に上がった。一方で風俗業界は「従来から衛生対策をしていた」「出入りする人数が相対的に少ない」「中でナニやってるかを明言できない」などの理由から、「空間除菌してます!」程度の言い分で営業を続けた。唯一「マスクつけたまま」「キスNG」を客側から申告するオプションが一般的になったぐらいだ。閑話休題、フィクションの世界も同様に現代劇であっても原則コロナの存在は匂わせない形を取った。エロ漫画も同様で、いたずらに描写が増えるだけで面白くはならないからだ。しかしコロナ禍が長期化する中で一つだけ注目に値する要素が出来た。それが「マスク」である。

顔パンツ

男性の大半はマスクをただ面倒くさいブツとしか捉えていなかったが、「口元を隠せる(ケアしなくても良い)」ことをメリットと捉える女性が少なからず存在した。夏場は熱中症対策の為、外せる局面ではマスクを外す指示が出されたが、体力のある若い女性はマスクを選択し続けた。これだけなら面白くないのだが、思春期をコロナ禍で迎えた女性の中に「マスクの下を見せることが恥ずかしい」という感覚が発生したという報告がなされた。ご承知の通り男性性欲の9割は「女性の羞恥心」で構成されている。女性のパンツは「局部を見せない」ために履いているものであり、普及当初は「女性の股ぐらをのぞいたらパンツが見えてがっかりした」という表現があったほどだ。白木屋デパートでの高層火災で女性がノーパンでダイブすることに躊躇したというのがパンツ普及の契機となったという伝説もある。当然現代においては金を払ってでもパンツを見たいという男性がわんさかおり、パンチラを防ぐためにわざわざ作ったオーバーパンツに欲情するといういたちごっこさえ起きている。脇毛も同様であり、なんなら男性にだって生えているのだが、女性が羞恥するからこそ「見たい」としか言いようがない。残念ながら2024年現在では猛暑の効果もあり大半の女性もマスクを外すことが一般的になり、必然的にフェティシズムも一過性のものとなりそうだ。本作はその一瞬を切り取った、後世に残すべきタイムカプセル的作品といえる。

接吻童貞

上記の通り本作は「マスクの着用が義務化され99%の人間が口元を見せない」世界の話である。現実世界でも学校給食を全員前向きで黙って食べるという措置が取られたそうだが、飲み食いする以上口元は見える。しかし「特定の誰かの口元を見たい」という欲求は醸成された世界なのだろう。芸能人の「口バレ」が動画公開され男子共のネタにされていた。本作ヒロインの柚月瀬那もそんな世界の女子であり、風紀委員として女子から疎まれていた存在だった。「目は口ほどにモノを言う」という表現があるように、元来無口で目力の強い瀬那はマスクによりコミュニケーションが阻害されていた。そんなクラスで浮いていた存在だった彼女をフォローできたのは幼馴染の先輩だけだった。毎日のように先輩に会いに来ていた瀬那は、ある日先輩の「告白」 – マスクの下を見たいのは瀬那だけ – を直接聞いてしまう。平静を装いつつも取り乱した瀬那は空き部屋に入りマスクを取ってみせた。先輩が冷静にならないように彼のマスクも取らせ、ヒゲのない手入れされた口元を触り、キスした。この世界の接吻は限りなくセックスに近い行為なのだろう。豆知識として「キス未経験の人間」を吻貞(ふんてい)と呼ぶらしいと説明が入る。「童貞」は「貞操が童子のよう」という意味で、未経験のニュアンスは「童」の方にある。国語的には「バキ童」と同様に「吻童」と略すのが正しいように思う。17ページ、いわゆるマスクフェラのあと精液のついたマスクをそのまま付ける描写がある。これもパンツに置き換えるとたまにある表現と言える。瀬那は実は冒頭スペアのマスクを親に渡されているという所がミソで、「替えのパンツ」ではこうならない。19ページからは通常のセックスに入る。

顔コンドーム

コンドームには「避妊」と「性病予防」の2つの意味合いがある。避妊は他にも様々な方法があり、究極的には妊娠してからでも対処法は存在する。それでもなお「性病予防」のためには粘膜接触全体をカバーできるコンドームに利があり、妊娠の可能性がないアナルセックスなどでもコンドームの装着が推奨されている。性病は男女どちらかしかかからないものやHIVのように深刻なものまで多々あり、他人の出血の処置をする医療関係者以外では性行為以外で伝播しない。人類が皆決まった相手(もしくは二次元)としかヤらなければいいのだが、往々にして閉じた世界の中で「オーバースプレッダー」が発生してしまうのが課題といえる。新型コロナの蔓延で、「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」など感染病用語もまた世間に広まった。こちらは当初やいのやいの言われていたが結局飛沫感染してしまうと判明し、セックスはおろか人間同士が会話するだけでも罹患しうるという病態が明らかになった。結果おおよそ人間に取れうる対策として「マスク」が選択されたのだった。つまり、マスクは「顔パンツ」ではなく「顔コンドーム」と呼ぶほうが本来正しいのだ。実際に顔コンドームの効果は抜群で、新型コロナだけでなく季節性インフルエンザの発症も激減したとされる。もちろんマスクだけが理由ではないのかもしれないが、効果は抜群だった。AV業界をはじめとしたエロ業界はこぞって「セーフセックス=コンドームの着用」というスローガンのもとに、あまり医療業界が直接的に触りたくないキャンペーンを推進してきた。妊娠も性病も、何なら精子の存在でさえコントロールできるエロ漫画においてもコンドームは盛んに使用されている。コロナ禍の終盤に「マスクを外そう」というデモが打たれたが、「ナマでヤろう」と他人に求めて歩く人はいない。それくらいコンドームの存在は「恥ずかしくないもの」として着実に認知されつつある。対してマスクの効果は覿面だったにも関わらず、その情熱は失われつつある。何が言いたいか。本作はマスクが当たり前に存在した世界なのだが、本番はナマだった。「風紀委員だからコンドームを持つべきか」という議論は一旦置こう。むしろ私が欲しいと思った描写は「マスク越しのキス」だ。これが即ちコロナ禍、マスクが当たり前の世界での「セーフセックス」の形ではあるまいか。エロ漫画では「ゴムでヤッてから生」という展開も普通に存在する。一旦「生キス」の前に1枚、ないし2枚挟んでも良かったのではないかと思った。

有村大根先生の作品(他誌ギャル先輩に食べられた(単話)

330円)はこちら!!

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