このまま朝焼けを迎えに行こう [朝仁寝ルノ] 白詰草の眠る処は (ゼロス #124)

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copyright 2025 ワニマガジン 朝仁寝ルノ

タイトル白詰草の眠る処は
作者朝仁寝ルノ
掲載誌ゼロス #124
ページ数35
ヒロインタカハシケイ
竿役
発射数4
公式タグパイズリ / パイパン / ローション / 中出し / 処女 / 巨乳 / 手コキ / 逆転
修正白抜き修正

本日はゼロスから、巻頭の朝仁寝ルノ先生の作品をご紹介したい。

リケジョはありまぁす

理系女子=リケジョというワードは2010年頃に作られたと言われている。おそらく発端は真反対の存在である歴史女子=レキジョで、2008年頃から使われるようになったとされる。戦国BASARAなどスタイリッシュにデザインされた歴史偉人から入って聖地巡礼など経済効果を生んだファンに対しての呼称だ。具体的に誰かを指したワードでは無く、もともと三国志や幕末など歴史好きは女性の中で小さくないクラスタなので、レキジョというワード自体はさほどのインパクトを与えないまま若干廃れ気味である。対してリケジョというワードは登場から今に至るまで暗雲に包まれており、当事者からはもはやスティグマと言われかねない呼称である。

リケジョという呼称が使われ出した最初とされる人物はこちらの方なのだが、全国的に強いイメージを残したのはご存じ小保方晴子氏である。騒動は2014年と10年以上前のことなのだが、本作の理解のためにも概説したい。当時理化学研究所の博士である小保方氏が刺激惹起性多能性獲得細胞、縮めてSTAP細胞と呼ぶものの作成法を発表したところから騒動が始まる。方向性としては山中伸弥教授のiPS細胞(人工多能性幹細胞)と同じく、受精卵のような生体のどの機能にもなれる万能細胞を目指したものである。これ自体は有意義かつ画期的な発見ではあるのだが、それ以上に発見者が女性であるという点がワイドショーなどで注目され、「ノーベル賞候補」の女性としてショーアップされてしまった。しかしこの研究論文には再現性に疑義があり、現在では使えないという結論が出ている。再現性がない科学論文自体はよくあるものであり、検証されること自体に大きな意味がある。しかし疑義が出て以降は小保方氏自身の研究姿勢そのものに矛先が向き、結果的に彼女の母校である早稲田大学の博士論文にまで捏造や盗用など多数の疑惑が掘り当てられた。博士論文は必ずしも世界的に公開・検証されるわけでは無く、大学内で査読されるとは言えその領域の専門家は指導教授しかいない。早稲田大学ひいては日本の学位制度全体の一大疑獄にもなりかねない問題提起に、早稲田大学は小保方氏の学位を取り消すことを発表した。小保方氏本人は最後まで潔白を主張していたが、結果として小保方氏とその周囲だけが徹底的に叩かれ自殺者まで出してしまった。アカデミックな議論ではなく、まさに「女だからまともに研究出来ない」と言わんばかりの個人攻撃と政治的決着だけを残して世間の関心は消えてしまった。これが「リケジョ」というワードに深刻なネガティブイメージを与え今に至っている。本作はその延長線上にある。

僕にはきみがいる ただそれだけでいい

本作ヒロインは「美しすぎるリケジョ」「ウイルス感染症の画期的な新薬開発の理論になる」であろう論文を発表したところから始まる。彼女はなんと水着グラビアもやってのけるJカップの持ち主であり、表紙を飾った雑誌ワニマには「タカハシケイ」という名前で載っている。下の名前はここでしか登場しないが、論文は本名で発表することが基本なのでおそらく本名なのだろう(漢字表記は不明)。竿役は名前不明で、タカハシの幼なじみであることしか分からない。以下「俺」と呼称する。俺はタカハシの落としたクローバーマークのUSBメモリを拾うために冬の池に飛び込み、風邪を引いて寝込んでいた。そこにタカハシが見舞いにやって来る。彼女は研究中の新薬を飲ませ、「ひまつぶし」と称して米を研ぎ始めた。強烈な眠気に襲われ俺は意識を失う。目を覚ましたとき既に台所は片付いており、お手製ごはんがどうなったかは不明である。タカハシは俺に寄り添うようにベッドサイドで寝ており、俺の右腕にJカップを載せていた。腕を引き抜くついでに軽く揉んだ瞬間、獲物がかかるのを待っていたタカハシはそれを盾に「実験への参加」を強要する。有無を言わせないタカハシの実験とは、「射精管理サポート」つまり「オナサポ」だった、と本作の記述である。「オナニーは禁止」と言い残す彼女だが、やっていることは手コキでありパイズリである。いわゆる「射精管理」感は薄く、強いて言えば「射精サポート」か。「オナサポ」=オナニーサポートはAVで使われる用語で、第四の壁をあえて無視し男優では無く視聴者に向けて積極的に促すタイプの作品である。AVは当然視聴者のチンコをシゴいてくれるわけではないため必然的にオナニーを目的としている。自分でシてこそオナニーであり、かつオナニーは禁止しているので本作のコレは「オナサポ」では決してない。いや、俺くん自身が読者を意識しているのであればその限りでは無いのだが、、、

今日も上手に笑えました 僕は何色なんだろう?

20ページ、本作の核心に触れてゆく。いつものようにニヤニヤと素股を始めようと乗っかかるタカハシに俺は「なんでUSBを『落とした』って嘘ついたの?」と問うた。タカハシが居た研究室から何かを落っことしても池には届かない。「投げたはず」だと。実際にタカハシは投げ捨てていた。タカハシは野暮なことと言わんばかりの顔で俺の口を唇で塞いだ。意外な反応に驚く俺にタカハシは説明を始める。既に俺が知っている通り、タカハシの専攻はウイルス感染症の新薬開発などではなくヒトの生殖についてだった。しかし教授は「マスコミ受け」という建前と、「自分の研究を売り込んでスポンサーをつけたい」という本音から、タカハシを看板娘として自分の研究チームの成果を発表させたのだった。あまつさえ教授は彼女の研究テーマに「『モノ好きな研究』は男とベッドの上でやりたまえ」と侮辱的な発言まで添えた。しかし彼女はそれに従った。そして自分の研究を反故にされたことを認めた自分を許せず、研究成果が入ったメモリを池にブン投げたのだった。「じゃここまで茶番に付き合ってくれたお礼だ」「女として出来る最高の礼をしよう」タカハシはそう言って処女を俺に捧げた。26ページ、痛いほど妖婦を演じているタカハシを俺が抱き寄せベッドに横たえる。俺はクローバーのイヤリングを外し、「痛いんだろ 今も 今までも」と問いかけた。図星を突かれたタカハシは一気に決壊する。「痛いに決まってるだろ!!馬鹿!!」。本気で血がにじむほど俺の背中に爪を立てるタカハシ。ここで怯まず俺は「痛いだけか!? 他にもあるだろ!」と腰を加速させながら言う。正常位でJカップが激しく揺れるほどガン突きされながら溢れ出た魂の叫び全文がこちら。

大っ嫌い!! 教授もゼミもメディフも! 興味ないんだ!! 「女」の私しかっ 研究をっ…褒めたら喜ぶと思いやがって 「すごい」とか「興味深い」とか そんなこと1ミリも思っていないくせにッ ゼミの連中っ キモイッ キモイキモイッ きもいっ 気持ち悪いっ 教授のハゲッ セクハラ野郎っ 大ッ嫌いっ

このまま朝焼けを迎えに行こう ほらうなずいて微笑んでくれ

令理亜大学は思いのほか海沿いらしい。事後、海まで散歩したいと言い出したタカハシ。冬の岸壁に立つタカハシに俺は「おいおい…頼むから変な事考えるなよ?」と念を押す。「うん 大丈夫」と答えるやいなや、タカハシはクローバー印のUSBメモリをオーバースローで、出来るだけ遠くに、もう誰にも拾われないように、海へと投げ捨てた。そして俺に向かって「帰ってまたエッチしよっか」と呟いたところでオチとなる。

タカハシの研究テーマは「生殖」だった。しかし当人は処女だった。これは理解出来る。法学者として法律を研究したい人は、国会議員として立法府に入りたいとは思わないだろう。経営学者と起業したいわけではないだろう。対象を客観的に扱いたい研究者は、自分が当事者になることを良しとしない。タカハシは意図的に性本能から距離を取り、ひょっとしたら自発的にピルを飲んでいたのかもしれない。一方で研究者への道は限りなく狭く、ポストを手に入れるためには業績より人間関係と運が物を言う世界でもある。嫌な思いを全て飲み込んで、野望のために一度は理不尽を受け入れた。そうした自分を許せなくて自らの研究成果を投げ捨てたのだが、昔から自分を見てくれていた俺という「幸運」により覆水は盆に返ってしまった。俺に対する感謝の情とやり場の無い憎悪、タカハシの心は激しく揺れる。結論として彼女は自分の研究成果を「弄ぶ」という自虐的な行為を何も知らないであろう俺にぶつけることで、表向きを取り繕い研究者として現状維持を目論んだのだろう。USBメモリを投げ捨てたのは一時の気の迷いとして。しかし俺はその汚点に気づいていたとタカハシは知ってしまった。一旦ははぐらかそうとセックスに持ち込んだが構わず俺はさらに踏み込んできた。自分の研究者としての保身は、自分の大切な尊厳を毀損してまで守るべき価値のあるものなのか。それを守るために、まったく信頼できないセクハラ教授に際限なく媚び奪われ続けるのか。そもそもなんでこんな事になったのか。腹を決めたタカハシはまず俺に詫びを入れた。「憎悪から研究データを捨てたという行為を『不慮の事故』と誤魔化そうとしたために、俺を巻き込んでしまったこと」にだ。そう、タカハシは俺という証人の前で、堂々と、正直に、二度と迷わないように、研究成果を海の底に投げ捨てた。最後の台詞は生殖の研究家では無く、いち実践者として俺とエッチするという宣言と読める。ではタカハシは今後ウイルス新薬の研究をするのだろうか?

クローバー

白詰草は江戸時代に輸入品の緩衝材つまり「詰め草」として使われていたことからそう呼ばれている。原産地はヨーロッパないし中央アジアで全世界に広がる。マメ科植物は土に窒素を取り込むため、畑や牧草地で多く栽培される。クローバー(clover)とも呼ばれ、3枚葉のものがトランプのマーク♣に使われ、変異種である4枚葉は幸運の象徴として扱われる。このことから花言葉には「幸運」「約束」、そして「復讐」だと言われている。幸運や約束が叶わなかったとき、復讐が生まれる。それが白詰草のもつ意味だ。本作タイトル「白詰草の眠る処は」の一つは、クローバー印のUSBメモリが沈んだ海の底である。もう一つ。タカハシはおそらく研究の道を諦める代わりに、教授のセクハラや不正を訴えるのだろう。傷つけられた研究者としての、女としての尊厳に対する復讐。それがタカハシの心の奥に眠った白詰草との約束だ。研究の道を進んでいる方に思いがけぬ衝撃を与えるかもしれない、とても熱いストーリーだった。

引用: 教育出版

あらすじ

竿役の俺は、令理亜大学の期待のアイドルリケジョであるタカハシケイがUSBメモリを池に投げ込むところを目撃し、潜って回収した。今や時の人としてテレビにも出るタカハシは、ずぶ濡れで熱を出した俺の家に看病にやってきた。彼女の研究成果である新薬を飲んだ俺と俺の下半身は元気になり、タカハシは俺の「射精管理サポート」をすると言い出した。

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