copyright 2023 ワニマガジン しらないひとし
タイトル | 赤ちゃんつくろ! |
作者 | しらないひとし |
掲載誌 | 快楽天 2024.04 |
ページ数 | 24 |
ヒロイン | 千夜子 |
竿役 | 月 |
発射数 | 4 |
公式タグ | ショートカット / 中出し / カップル・夫婦 / 巨乳 / 恋愛 / 淫乱 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
変化球揃いの今月の快楽天の中でもとりわけセンセーショナルな、しらないひとし先生の作品を紹介したい。これを期に妊活についての理解を深めていただければ幸いだ。
男性という性の全て
「避妊の有無」「挙児希望(妊娠したい)の有無」の2軸を取ったとき、「避妊するけど妊娠希望」は論理的におかしいので3択となる。エロ漫画の世界で注目され対応が分かれるのは「避妊するしない」のみで、本作のように妊娠を目的としたセックスを見せる作品は極めて少ない。意図しない、あるいは家庭計画なしに勢いで妊娠エンドとなる作品は少なからずあるが、あくまで物語のオチであり、妊娠そのものにスポットを当てることはまず無い。なぜか。エロ漫画という男性向けエンタメにおいて社会的経済的責任の重さを感じさせるから、では無いと思う。単に子宮のない男にとって妊娠はどこまでもリアリティが無いのだ。女性からは「突っ込んで出すだけ」と言われがちな性行為だが、逆に男性側からすればそれ以上に介入する術がない。見ることも感じることも出来ないのだ。だからこそ、射精という行為が男性という性の全てであり、ソコに自分の分身とも言える思い入れを強く持てるのであろう。本作はまさに妊娠における男性の立場について考えさせられる教材である。
受精≠着床
前置きが長くなったが要するに「妊活」の話だ。ヒロインの千夜子と竿役の月が挙児希望であるにも関わらず当たりが来ない。その原因を「ヤリ過ぎ」と判断した二人は、夫婦共同禁欲を発動し翌週日曜までH禁止と決めた。もちろん展開はお察しである。避妊と妊娠は表裏一体なのだが、避妊で調べると「避妊せず性行為を行った場合に妊娠する確率は85%、安全日でも25%」という記載がある一方で、妊活から調べたところ「20代の女性が一回の周期(=排卵日付近で複数性行為)で妊娠する確率は25〜30%」という数字が一般的だ。明らかにどちらかがウソをついており、医学的裏付けのある数字は後者に近そうだ。つまり元々そんなに確率は高くはなく、加齢などが重なるごとに低下していく。よくエロ漫画のオチ付近で卵子に群がる精子、そして「受精したァ♡」というシーンが描かれるが、受精卵が着床する確率は20%程度という数字もある。実は先天的に異常のある受精卵の多くは正常に着床できず流産となる可能性が高い。顕微鏡下で人工授精して健康と確認された胚でも着床率は60%程度だそうだ。断っておくが避妊しなくて良いという意味ではない。当たりくじは必ず入っている。ヒトとして産まれてこれたことに感謝しよう。
「1ターン貯めて2回攻撃」の是非
本作は妊娠を理解する教材と書かせていただいたが、本作を参考に妊活を志すご夫婦には一つご注意いただきたい点がある。妊活の初歩は「タイミング法」つまりいわゆる危険日を予測した上でその日に中出しするのが基本である。本作の千夜子さんの生理周期が安定しているのであれば、次の日曜日と決め打つのは理に適っている。「その日まで禁欲して精子濃度を上げる」ココが違うのだ。精子は射精後2日くらいは授精能力を持っている。排卵日は厳密には分からないため、排卵予定日の2日前を中心にその前後にもセックスすることを妊活的には推奨される。薄くなるのは事実なのだが、数よりも丁度いいタイミングで授精可能な精子が入っていることが大事なのだ。また本作のようにタイミングを絞って男性に禁欲を強いると、プレッシャーで当日に勃たないという事故も起きがちらしい。周期に影響される女性も大変だが、周期を持たない男性がそこに合わせに行くのもまた大変なのだ。もちろん本作でのツッコミ通り、女性側が禁欲しても特に卵子の性能が良くなることは無い。
今日は危険日?
ますます脱線するが、排卵日と危険日の関係性もまた男性には直感的に理解できていないものである。こちらも説明してみよう。妊娠のためには排卵と同時に着床の準備が必要で、そのために子宮内膜を1ヶ月かけて作り直しては取り壊す必要がある。妊娠しやすいいわゆる「危険日」は、排卵日の前5日から排卵日翌日くらいを指す。排卵日から女性の体は「妊娠準備期」に入る。婦人体温計で調べる「高温期」に入るタイミングが「排卵日」だ。高温期は2週間続き、妊娠が成立しなければそこで高温期が終了し月経が始まる。高温期(黄体期)の後半はもう受精卵が妊娠を受け付けるタイミングを過ぎており、次の排卵まで精子が残存する可能性が低いため「安全日」と呼ばれる。なので妊活でも避妊でも気にするべきは排卵日なのだが、いつ排卵したかを体感的に気づくのは難しい。月経は基本誰の目にも明らかな現象なので、オギノ式などのタイミング法は原則最終生理日からの日数で排卵日を推定する。本作でも登場した妊娠検査薬と同様に、排卵の時点でも尿中のホルモンが変化するので、似たような仕組みの「排卵検査薬」が存在する。最近はこの機能をおりものシートに取り込んだものも市販されている。5コ入で600円程度。千夜子さんにはもう不要かもしれないがオススメしたかった。
本当の禁欲の始まり
改めて本作の内容に触れたい。夫婦間でのセックスというのは唯一法律が推奨する関係性であり、エロ漫画的にはドラマ性が薄い。しかし性行為と妊娠は本来地続きの存在であり、後者に力点をおいた本作はそれだけで意義がある。上記の通り、のべつまくなしヤリまくるのは妊活的には本来正しい行為であり、千夜子と月のカップルが授からなかったのは本当に運命のいたずらだと思われる。「禁欲・我慢からの欲望開放」というテーマはエロに限らず老若男女を魅了してやまない。身体に悪いと言われても、プチ断食や寝溜めが気持ちいいのはご存知のとおりだ。「テスト前の学生」というシチュが比較的多いと思うが、同棲どころか同衾している夫婦間のおあずけというのは想像するだけで感度3000倍である。16ページ、入れた瞬間出すのかと思いきや月くんは意外にも8コマも耐える。20ページ、仁王立ちでイチモツを魅せつけるシーンは「わからせ」だと千夜子さんは解釈したが、どちらかというと禁欲明けの一発の余韻に浸っていたのだろう。
本作は最後、陽性の妊娠検査薬を見て二人で達成感と幸福感に満ち溢れるというウルトラハッピーな形でオチる。めでたしめでたし、ではない。5日間の禁欲生活を耐えた夫妻には残念なお知らせだが、妊娠した以上ここから少なくとも4ヶ月はセックスはご法度である。個人差はあれど、安定期といえるのは5ヶ月目以降だ。それまで絶対禁止な訳では無いが、少なくとも初産の妊娠初期は母体側の負荷が大きくそれどころではないだろう。エロ漫画で言うところの「ボテ腹セックス」というのも決して母体には優しくない。そして当然ながら無事出産した後は昼夜問わずベビーに付きっきりで落ち着けるヒマなどない。女性側は生理的に妊娠とともに性欲が落ち着くように出来ているが、ギンギンの月くんが誤った方向に性欲を散らかさないように祈っておきたい。
あらすじ
千夜子と月の夫婦は生活も安定し子供を欲していたがなかなか授からない。精子の濃さにトシを感じ始めた二人は、濃い一発のために1週間の禁欲を自らに課す。しかしそれまでセックス三昧だった二人にとって世界は誘惑に満ちていた。長い一週間の果てに、二人は裸で向き合う。
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赤ちゃんつくろ!(単話)
330円
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