copyright 2024 コアマガジン 柴崎ショージ
タイトル | 可愛い人 |
作者 | 柴崎ショージ |
掲載誌 | HOTMILK 2024.11 |
ページ数 | 26 |
ヒロイン | 礼子 |
竿役 | 須藤奏 |
発射数 | 2 |
公式タグ | フェラ / ポニーテール / カップル・夫婦 / 学生 / 恋愛 / 貧乳・微乳 |
修正 | モザイク修正 |
本日は引き続きHOTMILKの巻頭作品である、柴崎ショージ先生の作品をご紹介する。当ブログでいうところの「胃に優しい」作品だ。
ヤマなし、オチなし、純愛は続く
この手の漫画を読み過ぎて読み慣れているkomiflo読者諸氏からは、本作コメントで安堵の声が多く聞かれた。本作は冒頭から最後までびっくりするほど起伏がない。1ページ目から既に付き合っている二人、2ページ目で既に身体の関係にあることがわかる。そして4ページ目で馴れ初めが分かる。このハイペースから、いわゆる「起承転結」ないし「序破急」というようなカップルへの試練の展開が待っていると読めてしまう。チャラ男風の竿役の二股疑惑、しっかりものヒロインのパパ活疑惑、NTR疑惑、すべて夢オチなど、何かが起きそうな狼煙の香りを感じ取ってしまう。あるいは普通に破局、親バレ、異世界転生などもっとドラスティックなオチに向かっても不思議はない。しかし本作は何も起きない。デートでヘアゴム買ってつけた彼女可愛い、のままオチる。ピュアな読者の方だけでなく、初見はハラハラして本作を読んだ御仁も、繰り返し読むのに適した作品と私は薦めたい。奏くんは冒頭からイケメンでモテキャラなのだが、完全に礼子さんしか見ていない。礼子さんはといえばガッツリグリップを効かせている感じではない。むしろ少し突き放すような感じすらあるのだが、それでも礼子さんも奏しか見ていないとはっきり口に出す。しかしエッチの際に礼子さんは的確に奏をゴールに導こうとする。時に叱り、時に励まし、そして22ページ「須藤くん、いい子」という言葉により須藤の承認欲求と性欲が同時に満たされるという他に類を見ないイキっぷりである。
以下、閲覧注意
本作を今晩のオカズにする予定の方は、いったん用を済ませてから続きを読んでいただけると幸いだ。後刻読んでいただければ理由は納得していただけると思う。気分が悪くなるものではないがエロには向かない話かもしれないと思うからだ。
礼子さんから感じるもの
本作を読んでからずっと、礼子というキャラクターの魅力を言語化できないでいた。深い愛情を持ちながら直接的な表現を避ける傾向。それでいて自分の感情はまっすぐ伝える。彼氏に対する適切で具体的なアドバイス。8から9ページ、プレゼントの件で感じるTPOへの敬意と礼儀正しさ。11ページの下着の件での理知的な対応。このようなキャラクターは存在する。明確に頭の中で像を結ぶのだが、具体的なイメージが出てこない。私が直感的に重ね合わせたのはBang Dream!の湊友希那だった。クールではあるが、デレはない。しかしバンドリに恋愛要素はないため正直それ以上のイメージは沸かない。頭をひねった上で出てきたキャラクターはロッテンマイヤーさんだったのだが、的を射た感じがしない。要素分解して考えに考えた結果、現時点で私がたどり着いた礼子の魅力の源泉は「父性」だ。無条件な愛をもって相手を受け入れる「母性」と対置される、現実的・客観的なルールを提示して、物事にチャレンジすることを相手に促す愛の形である。このように捉えると、礼子の考え方の根幹がとても腹落ちする。恋愛に対する厳しさ、プレゼントや愛撫を値踏みするかのような表現、それでいて奏を全肯定し支える信頼感、これらの目指す姿は「彼氏の人間的成長」だといえる。男女の関係でありながら「母性」(バブみ)を出すタイプのキャラクターはエロ漫画に限らず山と存在する。そういう意味では女子高校生が若くして父性に目覚めたとしても何ら不思議はない。早速私は「父性を持った女性キャラクター」で検索したのだが、全くヒットしなかった。出てくるのは「女性キャラクターの父親」、単にボーイッシュな女キャラ、イクメンの話、そして山程出てくる「父親の愛を受けていない(リアルな)女性」の話だ。唯一イメージに寄ったのは荒川弘先生「鋼の錬金術師」のイズミ・カーティスだ。彼女は主人公エルリック兄弟の師匠であり、スパルタではありながら彼らをきっちり導いている。しかし男女間で言うと彼女は人前で平気で惚気けるタイプであり、本作のイメージとは違う。結局自分の中では「バブみ」に相当する、父性を感じられるカノジョというキャラクターは本作の礼子さんが唯一の典型例ということになった。友人としても、同僚としても、あるいは家族としても非常に頼りになる素晴らしい人間性の持ち主である。しかし当然のように、自分で言っておいてこの認識をエロ漫画ヒロインに投影することに耐え難い認知的不協和と苦痛があることを伝えておきたい。礼子さんの風貌は非常に黒髪清楚なお嬢様であり、セリフを抜きにすればどう見てもエロ可愛い理想的なヒロインにしか見えない。そこに理想的な父親像を重ねることに自分の中ではメリットが見いだせないでいる。
しかしこれは自分がまだ「至れて」いないのだと思うことにした。冒頭書いたように礼子さんのキャラクター性は明らかに他に類を見ない魅力であり、読者人気もある。男友達のような女キャラ、兄貴のような女キャラは既に一ジャンルを形成している。そう遠くない未来に「父親のような女キャラ」が創出され流行すれば、この認知的不協和は意識せずとも霧散するのだろう。その時には声高に本作を高く掲げたいと思う。
あらすじ
モデルとしても活躍する須藤奏は、数合わせの合コンで出会った礼子に一目惚れした。懸命な告白が功を奏し二人は付き合うこととなる。奏は今までの人生で知り合わなかったタイプの彼女の心をつかむために必死だったが、彼女もまた自分のような人間に心をひらいてくれることが嬉しかった。奏は街デートでポニーテール用のヘアゴムをプレゼントする。大喜びはしてくれない礼子だったが、誰もいない家に奏を招き入れる。
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