copyright 2025 ワニマガジン 深夜帯散歩
| タイトル | ユートピア |
| 作者 | 深夜帯散歩 |
| 掲載誌 | WEEKLY快楽天 2025 No.47 |
| ページ数 | 22 |
| ヒロイン | 明希 |
| 竿役 | 義道 |
| 発射数 | 1 |
| 公式タグ | フェラ / シックスナイン / 巨乳 / 恋愛 / 褐色・日焼け / 金髪・茶髪 / 陰毛 |
| 修正 | 白抜き修正 |
本日はweeklyから、深夜帯散歩先生の作品をご紹介したい。エロマンガフレッシャーズの記事でもお約束したことを果たすことができ感無量である。
スポーツジム
本作馴れ初めの舞台はスポーツジムである。海外ではフィットネスジムという表現の方が多い。トレッドミルやウェイトを軸として、スタジオやプールが併設されているものが基本形だ。運動はどこでも出来るとは言え、水泳や筋トレなど個人所有が現実的で無いものは多い。一人が使う時間は限られているので集団で金を出し合って専用の場所を作ることに経済合理性があるわけだ。月額会費を払ってその間は使い放題という課金体系が一般的で、都市部においては管理者すら置かず24時間お好きにどうぞという形態も増えている。この課金体系でよく語られるモノの双璧が「英会話学校」であり、どちらも金を払った時点で満足してしまう「幽霊会員」で成り立っていると揶揄されがちだ。無料動画やAIなどの台頭でますます存在価値が問われつつある英会話学校と対照的に、デスクワークが増えれば増えるほどスポーツジムの需要は増えつつあり、ビギナーからヘビーユーザーまで料金体系も多様化している。何らかのスキルの習得をゴールとする自動車教習所などと違い、スポーツジムはそこで時間を費やすこと自体が目的だ。運動すればするほど運動が楽になり楽しくなるというループに入ればこれほど建設的な趣味は無い。今日も今日とて多くの人が汗を流していることだろう。なお私はとあるジムの法人会員であるが、前回行った日のことを思い出せずにいる。
タンニング
かつての古代オリンピックは全員が裸で競技していたという。運動場は老若男女が虚飾を排し戯れる場でもある。薄着で運動に勤しむ女性は普段以上にセクシーに見える。であるが故に、スポーツジムにおけるナンパ行為はトラブルの元であり固くタブーとされている。そんな中で本作ヒロインの明希さん(24)は「ワイヤレスイヤホン落とし」という至って古風な手段で、本作竿役の義道くん(29)に接近した。ネタバレだがこれは明希さんの策略だとオチで明かされる。実際に義道は「勘違いすんな」と戒めつつも明希さんを意識して見始めた。こうかはばつぐんだ。私の拙い経験で恐縮だが、スポーツジムに居る女性で明希さんのような褐色肌はあまり見かけない。男性はインアウト両方好きな体力自慢をジムでも多く見かけるが、女性の多くは「運動はしたいけど肌を焼きたくない」という理由でスポーツジムに通っているとさえ思われる。一方でスポーツジムには通常更衣室やシャワールームがあり、タンニングマシンが併設されていることも多い。ジムマシンと同様にこれも個人で持つには高価ながら一人当たりの時間は短いため、月額会費込みもしくは安価でご提供される。こちらも結論から言うと、明希さんはタンニングマシン派である。何故か? 違いは脱げば分かるからだ。

かかれ
正直に言って義道くんは一見して魅力的なオトコとは思わない。特にエピソード的な物も無い。対して明希さんは皆の目を惹く美人さんである。引く手あまたと思われる明希さんだが、このあと義道にグイグイ行く。わざわざ見透かしていたかのように雨のなか傘を差し出す。駐車場まで相合い傘をした後、明希さんの肩口が濡れていた。自ら濡れるのを厭わないほど寄せてこられた事に気付いた義道は、ジムのタブーを破って良いと判断し彼女を食事に誘う。「何かかってんだ俺は…」という表現の「かかる」は恐らく競馬用語で「騎手の制止を聞かず興奮して加速する」ことを指す。この後のデートシーン含め、明希さんはこの何倍も「かかって」いるのだが。
寂しさ二人連れ
7ページ、思ったより遙かにドレッシーな明希さんが待っていた。「自分のネイルサロンを持ちたい」という野望を語る明希さん。そのために体力を付けたいという目的でジム通いしているという。ネイリストは漫画家と並んで肩が凝る職業ではあるものの、ネイルと運動は一般に相性が悪いためかなり気を遣いそうだ。一方でネイルの硬化にUVライトを使う関係でネイリストの「指焼け」は職業病らしく、ならばいっそ全身を焼くという明希さんの方針も頷ける。竿役の義道のことは最後まで読んでもほぼ分からないのだが、とにかく「寂しい」らしい。何ならそこが明希さんのツボなのかとさえ読める。11ページ、二人が逗留したホテル名が「Accompany」(同伴)となっていることから、明希さんもまた寂しい人間なのかもしれない。ここまで物語を牽引してきた明希さんは、ベッドの上では途端によわよわになる。義道くんは意外にも床上手で、片手で難なくブラを外してくる。シックスナインからゴム付き正常位。ここで明希さんも満たされたのか義道を抱擁してクライマックスを迎える。
余白
深夜帯散歩先生は「思わせぶりな余白」を作るのが上手い。何か意味ありげな情報が提示されるも特に後ろで解決はされない。エロ漫画はラブコメと違ってボーイミーツガールのオチが強制されている。どのみち読み切りが殆どであり、Hまでしておいて含みを持たせる意味が無い。なので深読みが必要な要素は(私のような変人を除いて)敬遠される。ただ一方で、必要最低限の情報しか開示されない人間関係は面白みが無い。伏線を張られるのも良いが、本筋と関係が無い情報によって生まれる「余白」が最終的に心に残る作品にはあるものだ。例えば「パッション・フルーツ」伏見さんの「期間限定に弱くて」という、刹那的な関係を示唆させる発言。「鈴々」の唐突な猫娘顔という、少しノスタルジックな本筋へのアクセント。「ただならぬ関係」の「特定の層に刺さりそう」という実際にコメント欄を賑わせた発言など。それが本作における4ページの「ガタッ」である。明希さんが相合い傘を差し出したときに、スポーツジムの受付嬢が何かを察して発した音だ。前ページの姿勢から立ち上がったと思われる。いくつかの読み解きがあり得る。
- 受付嬢が狙っていた義道をかっさらわれた事に対する動揺 ※コメント欄での多数意見
- 実は明希さんが逆ナンの常習であり、トラブル回避のため飛び出そうとした
- ジム内恋愛に対して制止しないと気が済まない風紀委員体質
- この手の色恋ネタが大好きで誰彼構わず身を乗り出す性格
- スポーツジムとして傘の貸し出しができることを伝えようとしたが急ブレーキ
- 隣の同僚の事が好きで、相合い傘きっかけで何かしようとした
- 自分の傘またはイヤホンを無くしていないかの確認行動
前述の通り、ジムのくだりはこれが最後でこれ以上の情報が明かされることは無い。「余白」である。なのにエロシーン以上にコメント欄を賑わせている。私も引っかかった。もちろんこれはノイズでもあり余白が多ければ多いほど良いとは思わないが、半分はエロシーンで埋まるエロ漫画という枠内で、さりげなく世界観を広げるひとつまみの情報の味を深夜帯散歩先生は示してくれている。未だ直接お会いしたことは無いのだが、早い時期からのファンの一人として引き続き応援したい。
深夜帯散歩先生の作品はこちら!!
ただならぬ関係(単話)330円
パッション・フルーツ(単話)330円



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