copyright 2024 ワニマガジン 玉ぼん
タイトル | 虹が咲かなくても |
作者 | 玉ぼん |
掲載誌 | 快楽天 2024.09 |
ページ数 | 26 |
ヒロイン | 出雲鈴音 |
竿役 | 雨森律人 |
発射数 | 3 |
公式タグ | ムチムチ / ショートカット / JD / 中出し / 処女 / 巨乳 / 後輩・部下 / 恋愛 / 淫乱 / 潮吹き / 童貞 / 陰毛 / ぶっかけ・顔射 |
修正 | 白抜き修正 |
続いて快楽天から、玉ぼん先生の作品をご紹介する。玉ぼん先生は「当て馬の恋」で2023年下半期のグランプリを勝ち取って以来の配信となる。
いちごいちえCelebration
一も二もなくぶっちゃけると、本作は丈先生「宇崎ちゃんは遊びたい!」の成人版である。先輩である桜井真一に惚れている後輩の宇崎花がウザ絡みを続けているという一般作品だ。大学生の設定だが中坊のようなイチャコラを長く続けており、くっつきそうでくつつかないラブコメの王道を邁進していた。しかし第72話で桜井が告白し二人は恋仲となる。そして第108話でHまでたどり着いてしまいプラトニックな一部海外ファンが悲嘆にくれたことで少し話題となったのが最近のことだ(ここまで調べたところで「あれもしや36話間隔で進展してる?」と気づき第36話を確認したらただのフットサル回だった)。本作の出雲涼音さんも宇崎ちゃんと同じく先輩の雨森律人を追いかけて同じ大学に入学したのたが先輩となかなか接点を持てずにいた。本作の転機は先輩の引きこもりだった。彼は所属していた軽音サークルで疎外感を感じてしまっていた。実際どれくらいやらかしたのかは分からないがともかくこういうのは主観的なものだ。そして気になる女(エミちゃんという)が後輩と付き合い、卒論も上手くいかない。八方塞がりになってしまった彼は大学に行けなくなってしまっていた。かくいう私も少し身につまされるところがある。本作の導入が刺さった人は少なくないのではないだろうか。私からのワンポイントアドバイスだが、新生活を迎えるときは極力大学や職場の近くに住んだほうが良い。経験的に引きこもり生活から脱却できるかどうかは自宅からの距離にかかっている。日々の移動距離が長いほど消耗が大きくなり、心理的な距離も離れていきがちだ。そして本作のように三日と空けず通ってくれる甲斐甲斐しくておっばいの大きい後輩にとっても負荷が少ないと言えよう。
なだめスかしNegotiation
出雲涼音は昭和レトロに沼っており、フィギュアを買ってきては雨森の家に昭和の町並みを作っていた。そしてゲームが大好きで雨森の横で一人で実況してくれる。どこまでが素なのかは分からないが、構ってくれるが負担にはならない、引きこもり男子にとっては理想的な距離感を保ってくれる。少なくとも一人布団で「つんだもんの人生相談チャンネル」を観ているよりは精神衛生に良いだろう。病棟ナースの話でも書いたが、人間本当に弱っているときは性欲が湧かない。若いナースにお世話されている状況をエロいと感じられるようになったら概ね退院の頃合いなのだ。本作より前の時間軸でもきっと出雲さんはスキを存分に見せていたと思うが、回復してきた結果が4ページ以降の絡みなのだろう。おそらく自信があるだろう巨乳に食いついてきたところから、出雲は積極的に猥談を振る。リーサルウェポンであったエミちゃんの事情にも触れ、見事先輩の鬱勃起を勝ち取ることに成功する。8ページ、なんと出雲涼音は「あたしもヤリマンビッチ扱いされて困ってるんですよね」、落ち込むべきシチュエーションで欲情して見せる、まさかの「鬱勃起返し」で勝負に出る。自己嫌悪のサイクルに沼っていた先輩は、自責と諦念を、後輩への同情と義憤に転換した。そしてそれは即ち涼音への愛情だと気づく。
理想と妄想と現実と
直近でご紹介した 亜美寿真先生「沼る女」と雲呑めお先生「おともだち」2作品は「男のエロ妄想を精度高く理想的に具現化した」と表現した。対して本作は多くの男性に「このくらいの事なら自分の人生に起きていてもいいだろう」と思わせる口馴染の良さがある。「英雄色を好むという。私も色を好む。だから私は英雄である」という踏み外した三段論法のことを「後件肯定」と呼ぶ。本作も同じように、「引きこもりのダメ男にも可愛い後輩が手を差し伸べてくれた。ならばダメな自分にも春が来るかもしれない」という福音と受け取れる。妄想はいつも綺麗だけど、それだけじゃお腹が空くのだ。竿役だけでなく読者自身も満たされる話が欲しくなる日に本作はとても効く。事後、律人は破瓜の血痕を見つけてしまう。照れくさそうな顔で「私みたいなのが意外と一途だったりするんですよ」と呟く鈴音に先輩は落涙する。不甲斐ない自分を慰めるために、処女がビッチの真似までして元気づけてくれた。もう自責ではない。鈴音に対する慕情と感謝からこぼれた涙だ。冒頭で「決して人前では涙を見せずっ」「背中で語り肩で泣く!」昭和のスターに憧れていたはずの鈴音が、「いま令和だよ」だから泣いていいんだよと優しく頭を撫でてくれた。ラスページ、傘を差し道を歩く、髪を切った律人の姿があった。まだ雨は上がっていない。軽音サークルは辞めたのかもしれない。卒論がはかどっているようにも見えない。それでも止まない雨はないと律人は信じられた。早々と傘を閉じて前を歩いてくれる鈴音がいるからだ。暑い日が続いても、雨が止まなくても、虹が咲かなくても、愛する人と何処かへ行こう。それでいいのだ。
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330円