空白の一日という穴 [仲町まち] 幼馴染だもん! (BEAST 2023.08)

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copyright 2023 ワニマガジン 仲町まち

タイトル 幼馴染だもん!
作者 仲町まち
掲載誌 BEAST 2023.08
ページ数 24
ヒロイン 志帆
竿役 飯野凛太郎
エロページ位置(割合) 13 – 23 (45.8%)
発射数 1
公式タグ フェラ / シックスナイン / ショートカット / 学生 / 幼なじみ / 恋愛 / 淫乱 / 陰毛
修正 白抜き修正
本日はBEAST巻頭の仲町まち先生の作品をご紹介したい。当ブログではほのぼのプレイほっこりエンドで安心して読める作品に「胃に優しい」というタグを付けているのだが、まさにそのような作品と言える。

ヒロインの好意と出会い

エロ漫画の印象付けにおいて最も重要な要素は男女の出会いである。「竿役側の好意」「ヒロイン側の好意」の二軸で評価すると、本作は[+, +]といういわゆる両片想いの王道物語である。幼馴染ものではもう一つ、[-, -]というお互い嫌い同士から始まるスタイルもあり、心情の変化の描写が楽しめる。[+, 0]もしくは[0, +]がいわゆる「高嶺の花」、もしくは「押しかけ女房」スタイルで、エロ漫画では身体の関係からスタートする展開がありがちである。エロ漫画特有と思われるのが[0, -]というキモ男もので、かつてはパワハラや無理やり、最近は媚薬やら催眠アプリなどを持ち出すファンタジック(現実逃避とも言う)なプレイが描かれる。好意は全ての原点であり、いずれの導入から入ったとしても好意なくしてハッピーエンドは難しい。「エロい」という観点では好意は必要条件ではないし、純粋な作話上は「好意から始まる悲劇」のほうが多い。しかし実世界で必ずしもモテない我々エロ漫画読者において、女性からの好意こそが絶対善あり、実際イチャラブが好まれる背景にあるといえる。

バスケ部のエースに死ね死ねビーム

本作の凛太郎くんはバスケ部のエースで女子人気があるという設定である。スポーツ部活というのは学園モノのフレーバーとして最も使いやすい。かつて漫画は「勉強のできない奴が読むもの」という位置づけで、運動部は比較的好意的に描写されていた。しかし昨今は漫画はもはや活字文化側に与しており、読者層を反映させるべく少年漫画においてさえガリ勉タイプが主人公になっている。反面ラブコメにおいてモテる運動部に対する敵愾心を見せる描写が見受けられる。その代表格がなぜか「サッカー部」そして「バスケ部」である。実際にはサッカー部だろうがバスケ部だろうが野球部だろうが卓球部だろうが、モテるやつはモテるし、モテないやつはエースであってもモテない。単純に男子部員が多くモテるやつが混じりやすいのと、斜陽・弱小の部活所属者の僻みがそうさせるのだろうか。野球はエロ漫画上肯定的に描かれがちであり、プレイ場面が少なからず描写されることもある。他にも、ネット配信者がかつてはクジラックス先生「歌い手のバラッド」のように否定的に描かれていたが、komifloでも「配信」がタグ化するほどエロ漫画ネタとして定番化している。本作はバスケのプレイそのものも、バスケ部内での人間関係も特に描かれない。このへんの傾向も数十年単位で趨勢が変わるのであろう。

空白の一日という穴

本作の見所は、志帆ちゃんの「気持ちの良い打算」ぶりであろう。男女逆だとなかなかキモいムーブをしているのだが、ちんちくりんの女の子がやるとこんなにもいじらしい。女子がオナニーの寸止めを食らう話はきぃ先生の「スカートの中の宇宙」があるが、焦るよりは腹が立つものらしい。本作はべつに呼び止められたわけではないので続行しても良かったのだろうが、ムラムラよりムカムカが前に立ったらしい。9ページ、私には悲しいかな経験がないのだが妙齢の幼馴染の部屋に窓越しに侵入する。こういう状況で親同士話し合って部屋割りを変えたりしないのだろうか。ともかくおかんむりの志帆に凛太郎が話しかける。「読モに告白されているところを見られた」凛太郎は、バツが悪そうに「即答せず明日まで回答を保留した」と正直に答える。ラスページで凛太郎も志帆の写真を飾っておりお互い想い合っていたという体裁を取るが、この時点でなぜか凛太郎は仕掛けない。逆に志帆が「今日中に寝取っちゃえ」とばかりに積極的に攻めることを決意する。このときの顔、冒頭語っていた「憧れ」でもなく、寸止された「性欲」でもなく、「嫉妬」でもない、空白の一日の存在に気づいた江川卓のような「打算」の表情、これが私は好きだ。ここから12ページ、寝転がり上目遣いの据え膳に至る流れがとても美しい。バスケ部のシックスナインだが割りとしっくり出来ている。立ち姿でも思ったが、志帆ちゃんは身長的な意味ではそんなにちんちくりんでは無いようだ。本作は最後の最後まで「好きです」とも「付き合ってください」とも言ってない。幼馴染としての阿吽の呼吸と今更のバツの悪さがよく感じられる。本当にキレイな、胃に優しい作品だ。キレイに仕上がっているのであえて言いたい。いらないなら、B組の遠山さんを頂けませんでしょうか?

あらすじ

志帆は幼馴染の飯野凛太郎に迫られる夢を見るほど彼のことを意識していた。しかし凛太郎はバスケ部のエースであり高嶺の花だと友達から諌められる。そして志帆は凛太郎が現役読モの遠山さんから告白されている現場を偶然目にしてしまう。幼少期に自分のことを好きだと言っていたはずの幼馴染のモテと失恋にやるせない志帆は自宅で自らを慰める。

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