純真タルトはカルト味 [ケレンメ] タルト (快楽天 2026.01)

この記事は約8分で読めます。
6cf89de62972048cf83dbd67a47208c88eb41beb.jpg

copyright 2025 ワニマガジン ケレンメ

タイトルタルト
作者ケレンメ
掲載誌快楽天 2026.01
ページ数26
ヒロインサダコ
竿役アベ
発射数1
公式タグ中出し / 処女 / 恋愛 / 淫乱 / 貧乳・微乳 / 野外・露出 / 金髪・茶髪 / 陰毛
修正白抜き修正

引き続き快楽天から、ケレンメ先生の作品をご紹介したい。こちらは明言されていないが過去作「カルト」(快楽天 2025.06)から繋がっており続編と呼べる立ち位置だ。以下「タルト」を本作、「カルト」を前作と表記する。

d2cfa97f760c5c135c9975b133d04571c3cb80b0.jpg

copyright 2025 ワニマガジン ケレンメ

タイトルカルト
作者ケレンメ
掲載誌快楽天 2025.06
ページ数26
ヒロイン吉井ツヤ子
竿役アベナオくん
発射数2
公式タグフェラ / 中出し / 同級生・同僚 / 学生 / 巨乳 / 背徳・インモラル
修正白抜き修正

ヨシイツヤ子は今日も意味深

両作品は竿役「アベナオくん」を通して二人のヒロインが重なっている。なお「タルト」では「アベくん」とだけ呼称されており、そこにも含みを感じる。前作から見ていこう。

前作「カルト」は深夜の堤防で男女の高校生がアイスを食べているという場面から始まる。そして竿役の「親父が人を殺した」という突拍子も無いモノローグから始まる。この事件そのものに関しての背景は両作品通して全く語られない。なので実態は不詳ながら、アベナオくんは事件を契機に無関係の息子まで学校・バスケ部・バイト先で腫れ物扱いされていることを「とばっちり」と受け止めている。孤立して疲弊するアベナオに「ヨシイツヤ子」という女子が話しかけてくる。彼女は事件後も変わらずアベナオに親しく接する唯一の相手であり、逆にアベナオのいないバスケ部女子マネを退部してまでアベナオに絡んでいた。なおアベナオはカタカナ表記しているが、名字は「吉井」だと後で分かる。3ページ、ケレンメ先生らしい妖艶さと眼力のあるヒロインの全身が印象深い。ちなみに男子は学ランなのだが彼女だけでなく女子は半袖のセーラーを着用している。

目カクレが解かれるとき

二人はアオハルデートののち、冒頭の堤防に腰を据える。彼女は右目カクレで、アベナオは目線の影側に座った。静かなやりとりのあと、ツヤ子は切り出す。「あたしら 逃げる足もないし 選べるものもないじゃん」「あーあ このままさあ 二人でどっか行っちゃいたいなー」「こんな町に居続けたら爪先からゆっくり腐り落ちちゃうよ」意味深なセリフの後、ツヤ子の母親は病気でもう居ないという情報が明かされる。そしてそんな母親に「でもたまに 会いたいなーって 思う時はあるよ」ここでツヤ子の右目が見え、ここから事後まで完全には隠れない。親が居ない家に帰ると告げたアベナオに、ツヤ子は「じゃウチで食べてく?」と誘う。ぼっち飯予定からの独居女子高生宅への訪問。手製の夕食を食べさせてご満悦のツヤ子。そして13ページ、風呂に誘われ慌てて帰るタイミングを模索するアベナオに、ツヤ子は脱ぎたてのパンツを投げつけるという形で一線を越える。風呂への給湯も止めぬままに身体を重ねる二人。互いに下の名前で呼び合い、好きという感情に酔い痴れた。

Oooh きっと来る きっと来る

前作のいくつか重要な点について一旦置き、本作の話に移る。竿役のアベくん以外の要素は何も関連していない。本作は基本ヒロインのサダさん目線で語られる。彼女のフルネームは不明だが、自分の時代錯誤なファーストネームが嫌いであり、可愛い名前に対して憧れがあったと語られている。「清楚モード」で登場したツヤ子に対してサダさんは終始ぶっきらぼうである。しかし惚れているのは彼女だった。短大を出てすぐ始めたバイトの定食屋でアベと出会う。アベの発した「良い名前だね」という言葉にサダは絆され、急接近した。しかし付き合おうと押すサダにアベは良い返事をしない。サダのことが好きだと伝えるも、「前の彼女のことが忘れられない」ので付き合えないと一線を引かれたサダは仕掛けるタイミングをうかがっていた。「ウチんち食べに来なよ」サダの仕掛けに、ふとした右前髪にツヤ子の影がよぎる。後ろめたさを隠せないアベは彼女を拒みきれなかった。アベは何も無い家にサダを入れる。サダの「独房だね」という感想がアベの背中に刺さった。

名前… 呼んで

前作、ツヤ子にパンツを投げつけられ背中から抱きつかれたアベナオは鼻血を噴いた。それをツヤ子が愛おしく舐め取る。本作、またしてもサダの背中越しの調理の光景がツヤ子とオーバーラップし、気を取られたアベは包丁で左手人差し指を切ってしまう。何も知らないはずのサダは出血する指を舐めた。ツヤ子との初体験を嫌が上でも思い出したアベは思わず目を反らすが、サダはそれに気付き「別にいーよ見ても」と顔を赤らめた。もう止まれない。アベはサダに挿入する。ツヤ子との初体験時はツヤ子が上で始まり、寝バックから3コマだけ正常位の描写がある。「名前を呼んで」と言ったシーンだ。11ページ、一心不乱にピストンを繰り返すアベに困惑したサダが呼びかける。「アベくん…!!」、アベの下に居たのは微笑むツヤ子だった。名前を呼んで、と言われた気がしたアベは「ツヤ子」と呼びかけてしまう。凍り付くサダの表情。取り返しの付かない事態に気付いたアベは哀れ中折れしてしまった。サダは交合を解き、アベの着ていたシャツを着た。そしてパンツも穿かずアベのコンドームを抜いてアベの頭に投げつけた。サダは泣いていた。

Cult

ここで両作品を改めて整理したい。冒頭に書いたとおり、アベの父親が人を殺したという事件の詳細は全く語られない。「独房」と口走ったサダは恐らく知らないのだろう。サダの背景も上記のファーストネームのくだりが全てだ。両作品のアヤは全てツヤ子一人が握っている。しかしツヤ子に関して分かっていることは少ない。上記で触れなかった点も交えて登場順に列挙する。

  1. バスケ部女子マネを退部。
  2. アベナオと地元が違う。この町には居たくない。
  3. アベナオと二人でどこかに行きたい。
  4. 母は「病気でもう居ない」
  5. 「親のせいで孤立したアベナオ」に親近感を感じている。事情が違っても迷惑かかった家族の気持ちは理解出来る。
  6. 「学校の男子」「お金くれるおじさん」「お父さん」に乱暴された過去がある(性暴力かは不明)。
  7. 嘘はついていない
  8. アベ初体験の翌日、ツヤ子は蒸発した。家財はそのまま。
  9. 親族からは未だ捜索願の届け出はないらしい。

注目すべきは#7、つまり上記の内容に嘘は含まれてないと解釈したい。気になるのは4から6だ。そして本作タイトル「カルト」はまだ回収されていない。ストレートに解釈すれば、ツヤ子はいわゆる「カルト二世信者」、親の信仰心の犠牲になり本人の意思に反して生活が制限された子供を指す。そして#4、よく読むとツヤ子の母は「病死」とは書かれていないのだ。私は「精神錯乱で閉鎖病棟送り」と解釈した。母がカルトの加害者なのか被害者なのかは定かで無い。どちらにしても、ツヤ子はまだ母親に「会いたい」という情念を抱いている。結果として瓦解した吉井家では、父親も含めその捌け口をツヤ子に求めた。そして父に売られ、旧友にまで嬲られたところで、割烹着を与えた「親戚のおばあ様」が仲介する形で今の高校に転校したと推測する。ひょっとしたら父親の存在自体がカルト的であり、全ての元凶という解釈も出来よう。そして#8、ツヤ子は父親に居所がバレ、抵抗むなしく実家に送還されたというのがオチだ。25ページ、無思慮な父親になるまいとするアベナオは、クビになったバイトを何とかした上で「いずれ」ツヤ子を連れ出したいと告げた。しかしツヤ子はそれを「真面目」と評し、「今すぐ」だと、今すぐで無ければいけないと返した。ツヤ子の性急な「市中引廻し」の誘いは、彼女なりにこの結末を感じていたのかもしれない。その上で、真面目なアベナオを巻き込んではいけないと笑ったのだ。

Tarte

「タルト(Tarte)」は皿形のタルト生地、その上にジャムやフルーツを盛った洋菓子を指す。こういうのである。タイトルにあるTarteはフランス語であり、英語ではTartと末尾のEが付かない。

引用: cotta colum様 https://www.cotta.jp/special/article/?p=60227&srsltid=AfmBOop9vLa3pOX16Iv2BoP62ZxLkesrBm_y0Ifufd3jpTe9eDbQkTL2

そしてタルトは「淫乱女」と指すスラングとしても使われる。諸説あり、TartとHeart(ハート=若い女を指した)が韻を踏むことから、甘々な女のことをジャムタルトと呼んだことに端を発するらしい。そしてTartにはジャムやらクリームやらがぶっかけられるという点も隠語として加味されたとか。つまり本作における「破瓜の血がついた精液入りコンドーム」がある意味でクリームジャムタルトなのだ。

サダさんは本人の意に反してだろうがツヤ子と残酷なほどに対比させられている。性的にもズタズタにされた悲惨な境遇を持つツヤ子が冒頭「清楚」を気取るのに対して、サダさんは反抗的な様子を見せながら結局は育ちが良いのだ。何かに追われるようにアベナオを抱いたツヤ子に対して、サダさんは自分の意志でベッドまで持ち込んだ。ツヤ子がアベナオに多くを聞かなかったのは、自らも十字架を背負う者だというシンパシーからだった。サダはアベの背負っているものが見えなかったが為に聞くべきことを聞かず、自分ならヤれると気負うも自ら地雷を踏んで傷ついてしまった。しかし皮肉にもそれがアベの目を啓いた。アベナオはツヤ子の事を察し、自分はツヤ子を救済しなければならないという強迫観念に苛まれていた、それだけなのだと。恋愛とはカルトのような義務感では無く、タルトのように甘い快感だけでも良いのだと。ラスページ、「一緒に風呂にはいろ…♡」という耳元への囁き。前作13ページの追体験だが、もうアベはツヤ子とサダをこき混ぜたりはしない。ツヤ子には出来なかったこと、愛する人を背負い歩くという様子で本作はオチとなる。非常に思うところの多い2作。まあいろいろなモノを背負わされるケレンメガールズの中で、苦みと妖「艶」さのある前作を下敷きに比較的純真で「貞」潔なヒロインを描いた、続編ならではの引き出しを魅せて頂いた。甘めの快楽天の中でなお引き立つ外連味ケレンミをまた味わいたい。

前作の単話販売はこちら!!

ケレンメ先生の作品はこちら!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました