若いツバメの胸の内 [仲町まち] アラサーロマンティクス (BEAST 2024.04)

copyright 2023 ワニマガジン 仲町まち

タイトル	アラサーロマンティクス
作者	仲町まち
掲載誌	BEAST 2024.04
ページ数	26
ヒロイン	梨絵
竿役	松本
発射数	1
公式タグ	フェラ / オナニー / 中出し / お姉さん / 尻フェチ / 巨乳 / 恋愛 / 淫乱 / 童貞 / 陰毛
修正	白抜き修正

アラサー

最近のBEASTは、イゲドアハ先生や木瀬樹先生のようなヒロイン視点の、あたかも女性向けのような作品がkomifloという場で高評価を残している。本作もヒロインにかなり肩入れしているストーリーと言える。本作ヒロインはCafe WANIを切り盛りする梨絵さんだ。竿役の松本くんは大学生で就職活動しており、最終的に東京で内定が出る。梨絵さんの反応からも東京からの距離感を感じる。かといってド田舎というにはこ洒落たカフェで客足も悪くない。Cafe WANIの遠景に山が見えており富士山の周辺だろうか。ヒロインは「アラサーになってしまった」とモノローグで書いているが具体的な年齢は出ていない。マイナビウーマン調べでは未婚女性の考えるアラサーは「28歳から」が最多であり、「27歳から」と合わせると4割を超える。大卒社会人になった22歳から「3年付き合った彼氏と別れて丸2年」だと確かにこの辺の年齢になるのでリアルなところなのだろう。対する松本くんは就活生なのでストレートなら21歳というところか。年の差は小さくない。本作はこの年の差がテーマである。

 

若いツバメの胸の内

こちらのグラフは男女の性欲のピークを表す図としてよく引用されるものである。男性は加齢とともに精子の質は落ちるとはいえ原則いくつになっても生殖は可能だ。対して女性の妊娠可能時期は限られている。このため「出産しやすい時期にもう一人産もう」という本能の要求が30歳女性の性欲を高めると解釈されている。これが何を意味するか？　30歳の女性と性欲的に釣り合うのは、まだ成長途上の10代後半の男性なのだ。男性性欲は20代をピークとして着実に落ち着いてゆく。逆に女性は30代にピークがあるため、この年代の女性は同年代より年下とフィーリングが合いやすいのだ。このような年上女性と身体の関係を求められる男性のことは「若いツバメ」と呼ばれる。同様に、20代女性は性に積極的でないため同年代の男とペースが合わない。性欲だけで見ると40代くらいのいわゆる「枯れオジ」が好まれる要素があるのだ。断っておくが、枯れるというのも簡単にできることではない。40代であるというだけで20歳の娘にモテるということは決してない。

ロマンティックス

このことは梨絵さん自身もよく噛みしめており、既にメロメロながらもアラサー女が男子大学生を狙うことはハイリスクだと自らを戒めている。しかし松本くんは都合よくフリーであり、内定祝と称して梨絵と飲みに誘われてくれるのだ。男女逆で考えてみたい。アラサーフリーター男子が東京で就職が決まろうかというラテアート上手な女子大生バイトに惚れるのは超ハイリスクである。その娘がもしもサシ飲みに来てくれるというのなら社交辞令以上の何かがあると思って間違いない。その娘は本当に好きな男にしか股を開かないと明言したうえで自分と寝たいと言ってくる。女子の発言ならもう据え膳ここに極まっている。唯一違うのは、その娘が「今は付き合っていないけど経験はそれなりにあるので」と超絶テクを披露してきたら、アラサー男性でも少したじろぐかもしれない。女性目線でも相手に貞操観念は求めるが、経験と技術は持っていてほしいのだ。「処女だけど動画とかで予習した」というのはエロ漫画にありがちなムフフ設定だが、AVでテクを学んだと称する童貞男性は一般にウケが悪い。非対称性がここにある。いずれにしても「本当に好きな人としか寝ない」と男側が愛の証であるかのように自信満々に言う松本くんは少し自意識過剰な感が否めない。純情さは女性ほどには武器にならないと思うのだが、アラサー梨絵さんには刺さったのだから良しとしよう。見どころは梨絵さんの泣きフェラである。

アナザーサイド

事後、東京で就職が決まった松本くんに男の責任を説かれ、「私も春から東京に行くのかぁ、仕事探さなくっちゃ」と前のめりな梨絵さんでオチとなる。本作の冒頭を思い出していただきたい。松本くんの名前をつぶやきながらオナる梨絵さん。「3年付き合った彼氏と別れて丸2年」、これがオチの後の時間軸としても読めるのではないかとコメント欄に面白い指摘があった。つまり就職上京した松本くんから声がかからないまま遠距離状態で三年経過し、なんだかんだ破局したさらに二年後が扉絵で、以降は全部五年前の回想という意味だ。悪魔の発想である。周囲にアラサー独身女性がいなければ、いろんな楽しみ方ができる胃に優しめの作品だった。

あらすじ

彼氏と別れて丸2年、アラサーになってしまった梨絵はバイト先の松本くんの事が気になっている。年が離れていることを気にしつつも、東京に内定が決まった松本くんをサシ飲みに誘う。

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