copyright 2023 ワニマガジン 橙織ゆぶね
タイトル | ずるやすみ |
作者 | 橙織ゆぶね |
掲載誌 | WEEKLY快楽天 2023 No.48 |
ページ数 | 32 |
ヒロイン | 中沢さん |
竿役 | 今井 |
発射数 | 1 |
公式タグ | ギャル / 不倫・浮気 / 中出し / 制服 / 同級生・同僚 / 学生 / 淫乱 / 童貞 / 金髪・茶髪 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
2024年1発目のレビューは橙織ゆぶね先生のweeklyのカバーガール作品とさせて頂きたい。weeklyのカバーガールは3週連続で脱がされていくというのがお約束なのだが、昨年末の1週目から妙に気になっていた。2023年最後の配信で全裸お披露目とともに本作がアップされている。2023年最後のレビューは2月号告知の時点でホムンクルス先生と決めていたのだが、2024年最初のレビューも本作で即決してしまった。なお当ブログではエロ修正が最初に入ったページと最後に入ったページを記録していたのだが、手間のわりにネタとして扱えていないため本稿から項目を削っていることをお知らせする。
好きになったらダメですよ?
橙織ゆぶね先生はモテない男子の「あるある」を作品に昇華することに非常に長けておられる。以前紹介した「食べにくる隣人」も行けそうでイケない純情男子の機微を、さらに絶妙なヒロインをピタリとハメてくる狙いの良さが素晴らしい。扉絵から息を飲む美少女で押してくるホムンクルス先生と対照的に、読み終わった後で「気が付いたら好きになっている」ヒロインがゆぶねガールズの魔性である。先日処女単行本「じゃあエッチしちゃう?」を上梓したところで、本作ヒロインの中沢さんはさらに魔性度合いが爆上がりしている。
メガネをかける。そしてJKに拾われる。
「女の子を拾う」ところから始まる作品はエロのみならず男の夢の発現として非常によくある。そして昨今のエロ漫画はさらに頽廃して「女の子に拾われる」展開が少なくない。本作の竿役今井くんはズル休み童貞で、学校をサボった事がない。しかし小中高と進んでいくにつれ優等生でいる事のコストが上がってゆく。「数学の小テスト」「体育はバスケ」「古文の予習してない」オールラウンダーほど器用貧乏でバランスが崩れた時のリカバリーに慣れていないものだ。そして「サボりかた」を教えてくれる悪友が居ないと、限界まで追い詰められ回復不可能なダメージを負ってしまうのが現代病理といえる。ここはエロ漫画なので、中沢さんという美少女が都合よく今井に声をかけてくれる。一目で事情を察した中沢さんは「サボりの共犯」として手を差し伸べ、今井もまだそれに縋る余裕があった。
「「なんとなく」」
今井の家は両親が働きに出て不在だった。中沢さんを連れて帰宅した今井は学校に欠席の連絡を入れる。詰問も叱責もない。サボるのはこんなにも簡単だったと中沢さんは教えてくれた。それだけではない。「なんとなく」。真面目な今井が言語化できなかった怠業の理由を、中沢さんはいともあっさりと看破したのだ。「なんかぐるぐるってなって全部しんどくなんの」。後で語られるが中沢さんのしんどくなった理由は彼氏の浮気と親の期待であり自分で言語化できていた。かといって解決に向かう気力もなくサボりという形で抱え続けていたのだ。今井の悩みも本質は根深いところにあるのかもしれないが、「なんとなく」と表現してあげることで中沢さんは今井を、そして多くの男性読者をわずか5ページで救済したのだ。
慈愛の女神
橙織ゆぶね先生のヒロインはどこか「男性の親友的」だと書かせていただいた。またエロマンガアカデミーで先生は「自然体の持つエロさ」「人間味や欠点が許容される舞台設定」というところを強調されておられる。対して本作の中沢さんは完璧に「慈愛の女神」であり、男性読者の求める甘えを全て与えてくれるタイプと言える。急に早口で喋りだした今井に耳を傾ける5ページのアルカイックなキメ顔は、完全に読者の心臓を狙いに来ている。どうでもいいが私もメガネであり冬でも手が温かい。別に大したことではないのだが、今井が手を握られ頬に触れさせたときに妙なシンクロ感があった。ドキッとさせてからの揺さぶり、ここらがゆぶね先生の上手さであろう。「どーせ世界の半分は女なんだから 気にせずドーンと行こうよ」と手を握られるのはいいとして、勢いでおっぱいまで見せてくれる女は世界のどこを探しても居ないのだが、今井くんは何もしていないのに中沢さんは自分でスイッチまで入れてくれる。
迷える人に優しさを
手マンの最中、彼氏から電話がかかって来る。中沢さんは今井に「手を止めるな」「声出すな」と言い残して電話をとる。彼氏は浮気しているらしいのだが、殊勝にもサボり気味の彼女を待っていた。電話の相手が彼氏だと察した今井の頭を小突きながら中沢は小悪魔の表情を魅せる。そして「セではじまってスで終わる」ことを始める。23ページ、今井くんは早漏かと思いきやこの時点ではまだ出ていない。早漏なのは中沢さんの方だった。25ページ以降のどこかでメガネ君はついにメガネを外す。品行方正という重たい枷が外れた瞬間だ。かたや中沢さんも「なんとなく」感じていたモヤモヤを、目の前の純真な童貞をいたわることで解消できたのかもしれない。最後まで中沢さんはクロいところを出さず、これといった欠点も見せない。なのにこんなにも「自然体」で「人間味」のあるキャラクターに仕上がっている。新年早々にも関わらず日本各地で大惨事に見舞われている。特別な手助けができるパワーもスキルもないが、本作のヒロインのように迷える近しい人に優しく振る舞うことで道に迷う人が一人でも助けられればよいなと思わせる、元気の出る名作だ。
あらすじ
普段のように家を出た今井だったが気分がどうしても学校に向かない。遠回りしながらもサボる勇気もない今井に中沢という女子が声をかける。サボり慣れている中沢を誰もいない自宅に連れ込んで、今井はずる休みの連絡を入れた。真面目だが不器用な今井に情が湧いた中沢は、今井の手を握って自分の肌を触らせる。
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ずるやすみ(単話)
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