元アイドルという矜持と呪縛 [瀬尾日々照] ジャンクアイドル (失楽天 2023.09)

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copyright 2023 ワニマガジン 瀬尾日々照

タイトル ジャンクアイドル
作者 瀬尾日々照
掲載誌 失楽天 2023.09
ページ数 28
ヒロイン
竿役 清水涼
エロページ位置(割合) 4 – 26 (82.1%)
発射数 3
公式タグ フェラ / パイパン / ムチムチ / コスチューム / タイツ・パンスト / ニーハイ・ニーソ / 巨乳 / 淫乱 / 潮吹き / ダーク系 / ぶっかけ・顔射
修正 白抜き修正
失楽天10月号は表紙に「NTR大特集」と銘打っている。BEASTも各月ごとにテーマを看板にかかけげていたが正直あまりアテにならない印象がある。今号に関しても皆どことなくクセのある作品が多いのだが、NTR=「交際中の相手が他人とセックスしてしまう」と定義するなら該当作品は只野めざし先生「あの人妻の注文履歴」しかない。ちなみにこちらのヒロインは人妻なので「不倫とNTRは別」と定義するならNTRは一本も無い。にくとごはん先生「後輩チンポにご用心」はアオリに「BSS」(=交際中でない意中の相手が誰かとセックスする話)と明記されている。本日紹介する瀬尾日々照先生の作品に至っては、「ダーク系」とタグられているが正直に言って限りなく純愛に近い。少なくともNTRではないので逆にご注意を。

バズワードwanini!

本作のポイントは竿役にある。ヒロインの叶は幼少期からアイドルを目指し、唯・咲と晴れてアイドルグループ「wanini」を結成する。作中の紹介文を抜粋する(一部見切れているが補完する)。

今週のバズワード「wanini」!
今最も注目を集めるのは超新星アイドルグループ「wanini」平均年齢17歳というフレッシュさでSNSでは「メンバー全員可愛い」「歌が上手すぎる」と話題だ。合計フォロワー数は100万人超えといった人気者。

実力派のアイドルだったらしいが、しかし叶曰く「地上波殆ど出たこと無かったから知らなくて当然ですよ」との事らしい。時代が悪かったのか運がなかったのか、はたまた何か不祥事があったのか。解散理由は分からないがアイドルを辞めて数年経ったのが本作の時間軸だ。平均年齢17歳の元アイドルが酒が飲める歳になっているのだ。そんな元メンバーと合コンに参加する叶。そこで清水涼という男にタゲられる

元アイドルとしての矜持

叶の中では辞めてなお「元アイドル」としての矜持があり、合コンに参加することも、ましてそこで元アイドルとバラしてしまうことも、自分たちを支えてくれていたファンに申し訳ないと考えていた。しかし涼に飲めぬ酒を飲まされ、自宅に連れ込まれ処女を散らしてしまいベットで漏らしてしまう。あくまで叶はこれを不祥事と捉え、菓子折りを持って謝りに清水宅を再度訪れる。「無かったことにしてほしい」という意味だろう。涼は当然一笑に付す。何も問題ない、酒の上だろうが「合意だし」と叶に確認を求める。そして不躾にも叶の股ぐらに再度手を伸ばす。ウブな叶はまたしてもされるがまま身体を預けてしまう。そして以後も身体を重ねるうちに涼との関係が当たり前のようになっていく。

元アイドルという呪縛

ここまで読むと良くある「無知な美少女がヤリチンの性奴隷に染められてしまう」という胸糞展開が予想されるのだが、そして実際性的にヒドい目には遭うのだが、意外や意外にもこの清水涼という竿役はイイヤツなのだ。確かにヤリチン的な手慣れたムーブをしているのだが、叶とズブズブに付き合う前も後も、他の女の影が一切見られない。色眼鏡を外して文言だけを追いかけると、彼は純粋に叶のことを気に入っており、元アイドルではない等身大の女性として真剣に交際しているとしか読めないのだ。もちろん酒を飲ませて犯すのは刑法犯罪であるが、元アイドルという過去に縛られていた叶をその枷から解き放ちたいという思いから手を出したとさえ読めてしまう。実際に叶はアイドルを辞めてから一般企業に就職したらしいが、歌って踊れるタレントとしての評価をされないまま慣れぬ仕事に埋没していく自分に嫌悪感を持っていた。「薄々分かってます 私才能無かったんだなって だけど認めたくないじゃないですか 悔しいじゃないですか 前はもっと充実してた 私を必要としてくれる人達がいた 今はもう誰も私のことなんて…」元アイドルとしての誇りを持って気高く生きていたい、でもそれを認めてくれる場所はどこにもない、という葛藤。叶にとってそれはもはや呪縛であった。涼がそこまで考えていたかは分からないが、彼は叶をアイドルとして認めて応援してくれる存在として、そして叶を愛し愛される一人の女性へと導いたのだった。彼女は過去の自分と決別して変わる必要が
あった。そして彼女は変わったのだった。

「普通の女の子」に戻る決意

本作のラスト、彼女は長い黒髪を切る決意をした。綺麗な黒髪ロングはアイドルとしてのシンボルであり、アイドルを辞めた後も抱えている重荷だった。これを決意させたのが涼である。「大変そうだね。これだけ長いと綺麗にしてんのも一苦労でしょ」。切れよ、でもなく、ショートも似合うよ、でもない。あくまで彼女の意志を尊重しつつも、彼女にとっての重荷であることを看破している。そして彼女に髪を切るきっかけだけを与えている。ただのヤリチンでもチャラ男でもない。我々も見習うべき本物のイケメンである。この一言で、アイドルコスでの騎乗位アヘ顔Wピースも「イチャラブプレイ」と許せてしまう。そして頭から読み直してしまう爽やかな読後感がある。もちろん清純アイドルが汚されてゆく作品と割り切って読むのもエロさ満点でアリだろう。以前紹介した「往生蓮華」も、ダークな雰囲気ながら最後まで読めば純愛という気持ちの良い作品だった。この路線が私は好きである。

あらすじ

元アイドルグループ「wanini」の叶は、一般企業に就職しうだつの上がらない日々を過ごしていた。元メンバーとの合コンで同席した清水涼に酒で潰された挙げ句処女を捧げてしまう。初めは無かったことにしようとした叶だが、涼に丸め込まれセックスにのめり込んでしまう。

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