制服にシミを残して [へぅろー] かりぎゅらむ (ゼロス #107)

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copyright 2023 ワニマガジン へぅろー

タイトル かりぎゅらむ
作者 へぅろー
掲載誌 ゼロス #107
ページ数 25
ヒロイン 吉見
竿役 豊原先生
発射数 2
公式タグ フェラ / パイパン / 制服 / カップル・夫婦 / 恋愛 / 淫乱 / ミニ系・小柄 / 貧乳・微乳
修正 白抜き修正
本日はゼロスからへぅろー先生の作品をご紹介する。ゼロスは今号からカラーピンナップを各作品の冒頭に載せることになった。紙雑誌でこれをやるのは手間が多いためカラーは前か後ろに広告とともに固めて置かれがちだが、komifloのここまでの傾向ではカラー作品は読者からのレスポンスが少なく読み飛ばされがちに見える。カラーイラストは情報量が桁違いなので、最初にカラーを見せられれば印象がガラリと変わることも多いだろう。折角のカラー原稿なのでこういう見せ方は歓迎だし、他誌でもぜひ採用してほしい。

カリギュラのことは考えないで!

コメントでも上がっている通り、本作は「カリキュラム(Curriculum)」「カリギュラ(Caligula)」を組み合わせた造語だと思われる。カリキュラムは「教育課程」を意味する英語で日本語でもそのまま使われている。カリギュラというのは元々は人物名で、ローマ帝国の第3代皇帝だった(カリグラとも表記)。皇帝としての治世は4年弱で28歳のときに暗殺されており史料はあまり残っていないらしい。そこから二千年ほど経った1980年に彼の半生についての映画「カリギュラ」が制作されたのだが、エログロ描写が多いために物議をかもし、一部地域で上映中止となる騒ぎが起きた。それが話題を呼び世界で大ヒットとなったのだ。このことから、「禁止されると欲しくなる」心理のことをカリギュラ効果と呼ぶようになった。カリギュラご本人も(少なくとも映画では)エロキャラではあるのだが、本作タイトルはこちらのカリギュラ効果から取っているのだろう。なおカリギュラ効果という表現は日本独自の時事用語だったらしく、海外ではこのような表現は無いそうだ。似たような言葉に「シロクマ効果」(=「シロクマの事は考えないでください」と言われると逆にシロクマの事を考えてしまう現象)があるが、こちらは「『考えない』ということを考える」という無意識化の脳の処理の問題であり、カリギュラ効果は抑圧に対する意識的な抵抗である。

「お前が好きなのは”先生の俺”なんだよ」

本作の葛藤ポイントは端的に言うと「教え子に言い寄られて困る大人」というやつだ。見る人が見れば羨ましくも、当人からすればクビのかかった話である。竿役の豊原先生はクラスの吉見という女子に告白され隠れながらも身体の関係になっている。それだけといえばそれだけで、社会的にはともかくもエロ漫画というフィクションではマシな部類とさえ言える。本作の注目ポイントは、「先生のことが好きだというのは若さゆえの一時の過ちである」と思慮する豊原先生の浅はかさである。冒頭2ページで「吉見さんが豊原先生に告白してそのまま男子トイレでエッチになだれこむ」という展開だけは見て取れるが、詳細はよく分からない。気が付けば吉見さんは完全に彼女気取りであり、豊原先生も世間体は気にしつつも教え子を普通に家に上げている。7ページから8ページ「吉見、お前やっぱり何が問題か分かってないだろ」「お前が好きなのは”先生の俺”なんだよ」という豊原の心境が垣間見える。吉見さんは「恋愛」をしたがっているのだが、性的なことに抵抗はないらしく、制服のまま豊原先生をリードするようにセックスへと導く。

制服にシミを残して

立場が人を作る、という言い方がある。年齢が低い生徒相手には教師は一人称を「先生」と自称しがちであり、本作でもそういう表現が目立つ。豊原の本来の一人称は「俺」らしいのだが、上記の通り「先生の俺」という立場と自己をこき交ぜた言い方をする(25ページも参照、どちらも口には出していない)。まっすぐ読めば、「自分は先生という立場だから生徒の求愛に応えることができない」という葛藤と取れそうだ。カリギュラ効果という言葉もこの解釈を支持する。しかし豊原先生は教え子との性的なことに踏み込むという禁忌に対して直接的な葛藤は無い。言われるがまま、どころか手取り足取り仕込んでいるように見える。豊原先生の思考は恐らく逆で、「生徒でなくなった大人の吉見は自分のことを愛してくれない」そして「先生でなくなった自分もまた生徒には愛されない」という屈折した僻みが根元にあるように感じる。吉見を子ども扱いし、卒業後の約束にまともに向き合わないのは「豊原が吉見のことを好きだとしても実際に卒業し羽ばたいた後には自分のことなど忘れてしまう」、断られるくらいなら初めから恋愛としての付き合いをしない、という子供じみた諦念から来ているのだろう。19ページで「先生も吉見のことが好きだ」という心象があるのだが、豊原の方が自分の吉見への慕情を「師弟愛」と納得しようとしているのだ。うたかたの恋と感じるからこそ、豊原は不相応に肉体関係に邁進してゆく。少しでも吉見の人生に爪痕を残そうと必死に。彼は避妊をしていないのだが、最後の最後で抜いて外に出す。本当は妊娠させたいのだが、そうなると自分は「先生」では居られなくなる。制服にシミをつけるまでが関の山なのだ。

豊原先生の鬱屈した恋愛観が、過去の実体験から来ているのか、そして吉見との関係が初めてのことなのかも分からない。豊原先生もまた大人になる「カリキュラム」の途上なのかもしれない。それでも恋愛に真摯で揺るぎない吉見さんに対して、豊原先生はあまりにも卑屈だ。冒頭に書いた通り、それでもロリ寄りのエロ漫画としてはむしろ男女ともにマトモな部類だし、何より吉見さんが素直に可愛い。おそらく破局という自己実現に向かってしまう豊島の未来を変えてやりたいと画面の向こう側に手を伸ばしたくなるのも一種のカリギュラ効果なのだろうか

 

あらすじ

教師の豊原先生は教え子の吉見に告白され、そのまま肉体関係を持ってしまう。それでも恋愛に酔ったまま豊島の彼女として振る舞う吉見と、そんな彼女をこども扱いして仮初の恋とうそぶく豊島。禁断の恋を抱えたまま金曜日の夜に吉見は豊島の家へと向かう。

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