太陽はいつも隣に [utu] 屋上はいつも晴れ (失楽天 2024.04)

4540245994b3f0e1dd272cd289c27dd377387cec.jpg

copyright 2023 ワニマガジン utu

タイトル 屋上はいつも晴れ
作者 utu
掲載誌 失楽天 2024.04
ページ数 22
ヒロイン 鴨川
竿役 葉山
発射数 1
公式タグ 制服 / 同級生・同僚 / 学園 / 学生 / 巨乳 / 恋愛 / 野外・露出 / 金髪・茶髪 / 陰毛
修正 白抜き修正
本日は失楽天の看板作家utu先生の巻頭作品をご紹介したい。utu先生ガールズは比較的年齢高めな印象が強いが、本作は甘酸っぱい学園青春ラブコメである。
 

陽から陰へ

以前も書いたが、高校生活を陰と陽の2極に分けたときに、陽の代表として描かれがちなのが「サッカー部」そして「バスケ部」である。題材として野球部も描かれるがこちらは女にモテない野球バカのようなテイスト、そして陸上部・水泳部そしてバレー部はヒロインがプレイヤー側であることが多い。陽側の人間は陰側の人間に陽の感覚を理解してほしいと内心思っているし、逆もまた然りである。本作は足を骨折したバスケ部員が竿役だ。「足を怪我したくらいで腐ったりしない」のが本当の陽だと思うのだが、陰側の人間としては「陽側サークルの参加権を失って陰の世界に落ちぶれる」筋書きを考えてしまうものなのだろう。そこが本作の起点である。そして可哀想な男に天使が手を差し伸べるところからエロ漫画は始まる。
 

ギャルと友達になった

ヒロインの鴨川さんと葉山くんは当初は面識がある程度の関係性らしい。足を骨折した葉山は、日の当たるバスケ部のコートを見たくなく、かといって退部届を出して次に進むほど割り切れておらず、そんなダサいことを相談する相手もいない。結果屋上で時間を独り時間をすり潰していた。そこにやって来た鴨川さん。亜美寿真先生「ギャルと友達になった」の稿でも書かせて頂いたが、女子がパンツを見せることには必ず意味がある。履けばわかるが、自分の体のどこが見られているかは否応なく分かる。鴨川さんの心境は後で明かされるが、自暴自棄、同情そして好奇心が3分の1ずつといった感情だろうか。鴨川さんは不貞寝している葉山に興味を持ち、経緯を聞き出す。葉山の愚痴交じりの吐露に、「まぁ人生いろいろあるよね~」と笑顔で締めくくった鴨川さんだが、橙織ゆぶね先生「ずるやすみ」の中沢さんに似た優しさの言語化を感じる(ちなみに中沢さんも経緯が似ている)。足の怪我はどうにもならない。人間どうにもならない時に必要なのは、抱える問題に向き合ってくれる友ではなく、悩みを軽くあしらって別の世界を見せてくれる友なのだ。4ページ、怪我の回復とともに友情が深まっていく屋上の時間経過、甘い青春の4コマが描かれている。そして事件は起こった。
 

屋上はいつもH

3次AVというのは基本的に犯罪行為と紙一重だ。当人同士が合意していても金銭の授受があればグレーとなる。そして何より、セックスシーンを第三者に見せるという行為自体が犯罪となりうる。かといって、暗いベッドルームでばかり撮影していては売れるものも売れない。そこで撮影用のコンビニやプールなどを使ってパブリック感を演出したりする。外から中は見えないが中からは見える「マジックミラー(MM)号」が画期的である理由だ。対してエロ漫画は「屋上でのH」か非常に多い。人に見られるかもしれない屋内感と、お天道さまに見られている屋外感を両立でき、何なら背景が少なく作画的にも優しい。漫画なので建物使用許可も見張りも必要ない。体育倉庫ほどのアメニティは期待できないが人気のスペースと言える。
 

太陽はいつも隣に

ある日、葉山を屋上で待ち受けていたのは面識ない男女の後背位だった。何も知らない鴨川が後ろから葉山に声を掛けるも反応できず、マズイと知りつつも二人で見入ってしまう。しかし皮肉にも鴨川にとっては知らぬ関係ではなかった「三輪くん」抱かれていた女が発した名前は、他ならぬ鴨川の元カレだったのだ。鴨川は同じ部活の三輪先輩と付き合っていたが、おそらく目の前で抱かれていた女に彼氏を「寝取られ」た。葉山と出会ったのはまさにその破局した当日だったと明かされる。「まぁ人生いろいろあるよね~」の真意はここにあった。理想が打ち破られ未練を断ち切れない男と女が、晴れた屋上でともに傷を癒してきた。そして先に松葉杖が取れた葉山に、今度は鴨川が一歩踏み出す支えを求めた。10ページ、ここまでの時間経過を全て踏まえたうえでの、鴨川さんの上目遣いの懇願の立ち絵。美しい。葉山くんも、読者も、女性から求められて男は輝くのだ。ここから濃密なHが始まるのだが、注目すべきは17ページ。「一度バックはやりたかったんだ…!!」という葉山のリクエストである。鴨川と三輪先輩がどこまで進展していたかは分からないが、目撃した三輪先輩のプレイと鴨川の告白を重ねてしまったのだろう。それが証拠にバックへのこだわりは1ページで終わる。葉山にとっても恥ずかしいお願いだが、鴨川さんも受け入れてくれた。
事後、二人はともに退部届を出し、勉学に励むことにした。夢は二人同じ大学でのキャンパスライフだ。深い他意はないが、失楽天らしからぬ、どちらかというと快楽天本誌らしい爽やかな作品だった。

あらすじ

あらすじ本文

本作の単話販売はこちら!!

掲載誌はこちら!!

utu先生の作品はこちら!!

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です