美しき罪人 [どじろー] 義姉ちゃん、オナホになってよ。後編 (快楽天 2026.1)

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copyright 2025 ワニマガジン どじろー

タイトル義姉ちゃん、オナホになってよ。前編
作者どじろー
掲載誌快楽天 2025.12
ページ数32
ヒロイン篠原あかり
竿役トモ
発射数7
公式タグしつけ / フェラ / 不倫・浮気 / 人妻 / 姉 / お姉さん / 寝取り / 巨乳 / 淫乱 / 温泉・お風呂 / 背徳・インモラル / 陰毛 / ぶっかけ・顔射
修正白抜き修正
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copyright 2025 ワニマガジン どじろー

タイトル義姉ちゃん、オナホになってよ。後編
作者どじろー
掲載誌快楽天 2026.02
ページ数38
ヒロイン篠原あかり
竿役トモ
発射数4
公式タグしつけ / フェラ / おもちゃ / おもらし / SM / 不倫・浮気 / 中出し / 人妻 / 姉 / お姉さん / 寝取り / 巨乳 / 手コキ / 淫乱 / 背徳・インモラル / 野外・露出 / 陰毛 / ぶっかけ・顔射
修正白抜き修正

本日は快楽天巻頭、どじろー先生の作品をご紹介したい。空前の人気を誇る「陰キャ同士のセックスが一番エロいよね」の単行本発売と並行して配信された本作は随分とダークである。

時系列あらすじ

本作は特にネタバラシ的な要素は無い。全体を通してテイストは変わらないが難解だと言えよう。現在の快楽天らしくない作品とも言える。中身に立ち入る前に全体を時系列で解きほぐしたい。まず本作の登場人物は3人。ヒロインは篠原あかり、そして竿役があかりからトモくんと呼ばれている。明言は無いが全員が「篠原」姓だと思われる。あかりの結婚相手がトモの兄であり(名前の呼びかけを消されており以下「兄」)、トモから見てあかりは「義姉」となる。もともとあかりと兄が同い年?であり、そこから知り合った幼馴染みだった。あかりはトモの4歳上であり結婚前からあかり姉と呼ばれていた。しかし本作は二人をつなぐ兄が「不在」であることが物語の本筋であり、実際に作中では回想以外で登場しない。あかりとトモ、二人の物語である。

では、時系列に並べ替えたい。末尾に場面のページ数を示す。

  1. 兄があかりと付き合う。兄の仲立ちであかりがトモに紹介される[後25]
  2. 勉強が出来るなどあかりはトモの事を知る[後25]
  3. 「私とばっか遊んでないでいい加減彼女作りなよ~」と言われるほど二人は共に遊ぶ[後25]
  4. トモがカラスをおもちゃの銃で撃ったところをあかりに目撃され[後12]、「もうしないって約束」の強制指切りをする[後14]
  5. あかりが兄と喧嘩し、兄に殴られる。その傷をトモに見られる[後36]
  6. 5の直後、トモが「酷い兄と別れて自分と付き合ってほしい」旨の告白をする[後37]
  7. 6に対してあかりは恋愛対象として取り合わず[後38]、トモは泣く[前17]
  8. 兄とあかりが結婚[前7] トモが受験に失敗する
  9. あかりがトモに同居を提案[前7]
  10. 自分の思慕を無視し同居するあかりにトモが怒りと劣情を抱く[前9]
  11. 兄は留守がちになりあかりが取り残される[前10] あかりは寂しさをトモにぶつける[前11]
  12. あかり入る風呂をトモが覗く[前13] 本人にバレる
  13. あかりはトモの劣情に気付いており、振った過去を含めて謝罪する[前16]
  14. トモはあかりに罵声をぶつけ[前18] 全てを諦め去ろうとした[後22] しかしあかりはトモを引き留め[後22] 受け入れた[前21]
  15. トモがあかりを犯す[前26]
  16. あかりはトモのオナホになることを受け入れ、トモの部屋で奉仕する[前1]
  17. 行為はエスカレートし、宅配員に痴態を見せる[後1] 公園で野外露出を強要する[後10]
  18. 首締めセックスで二人は初キス[後12-33]
  19. 後日談[後36]

定位置

#3と#4は前後関係不明だ。二人は4歳差であり本作時系列でトモは浪人なので、トモ18歳あかり22歳が基本線である。4歳差なので中高のあいだ二人が同じ学校にいたことは無い。告白の時点で学年は不明ながらJKとDCとなる。#8と#9の時系列も不明だが、篠原家の両親は不在らしく、嫁入りの時点で家には兄とトモが二人で暮らしていたと思われる。ここにあかりが転がり込む形にしたのは不自然では無いが、本作で語られているとおり無神経ではあるだろう。トモから見て兄は浮気性な人間だけでなく、あかりに手を出していることも含め否定的に捉えており、そんな兄と結婚したあかりの見識を疑ってもいた。あかりもまたそれに気付いた時には手遅れで、浪人生の義弟にはズリネタ扱いされていることも分かっていた。しかし互いに相手の感情につけ込む形で共依存的な関係となる。最終的にあかりは兄と離婚するのだが、トモとくっつくことも無く数年後誰かと再婚したことだけ明かされる。結果的にインモラルな夫の弟との不貞行為であり、弟による陵辱の物語である。コメント欄でも衝撃を受けた人が多く、拒絶反応も散見された。どじろー先生は初期作「定位置」(Weekly快楽天 2022#28前編, #29後編)など元々ダークな作品も描かれるオールラウンダーである。しかし「どすけべシークレット」や天野結華シリーズでの両想い展開からのギャップは大きかった。

天野結華、陰の章

以前こちらで「セックスは本音のコミュニケーションであり、本音の世界に踏み込む第一歩が告白」ということを書かせて頂いた。天野結華シリーズは「男女が先ずセックスを通して、虚勢を張らず正直に向き合う価値を覚えた」物語である。これを正としたときに、本作はこの逆「セックスに至らなかったために歪んでしまった男女が嘘をぶつけあう」という皮肉的な構造になっている。言い換えれば、どうにかならなかった世界の天野結華が迎えたバッドエンドとも言える。

トモは上村と変わらない、良くも悪くも思春期の男だった。真っ直ぐなあかりに惹かれつつも、兄の彼女でもありそれをストレートにぶつけられなかった。兄が鬱憤をあかりにぶつけたのに対し、トモはそれをカラスにぶつけた。後23ページ「また私 間違えちゃったよね」の最初が皮肉にもこの後の「強制指切り」だ。根が善人であるあかりは、間違いを犯したトモを糺すと同時に「本当は優しい」という言葉とスキンシップを与えてしまった。これにより「惚れてしまった」トモは、兄に殴られたあかりに告白してしまう。トモにはこれが正しく、優しい行為に思えた。しかし目の前のあかりは困惑した顔を見せた。そしてまたしても、グズったトモに「優しい」という言葉と涙を拭う触れ合いを与えてしまう。私にはトモはどうしても優しい人間には見えない。最終的に再婚したあかりにさえ気遣った言葉をかけてあげられなかったのだ。そんなトモを「優しい」と呼んでしまったのはあかりの善性であると同時に愚かさだったのだろう。

三度目の過ち

この構図は三度繰り返される。同居することになったあかりは、自分に向けられた義弟の劣情に気付いていた。これは間違った行為だ。にもかかわらずあかりは線引きをしなかった。しかも前11ページ、結婚生活の破綻に薄々気付いたあかりは自らの寂しさをトモにぶつけてしまった。「ごめんねトモくん」彼女は義弟の劣情に付け入ったことを自ら認めて謝ったのだ。「未練たらたらのくせに奪い取る勇気も無い」この事件によって、トモは「自責」の念を強くした。それと裏腹に、「シコった後に(あかりに)ざまあみろって言うのが癖になった」という。ここだ。ここまでの関係性は食い違いながらも嘘では無かった。本来トモはここで付け入ったあかりに対して怒って良かったのだ。しかしセックスをしていない思春期の男は、女性に対する劣情に根源的な罪悪感を持つ。これが彼に「自責の念」を産んでしまった。自責の念・憤怒・劣情、この三つの混濁によりトモは風呂を覗き、あかりに向けて破滅的な暴言を吐いたのだった。トモの混じりけの無い虚勢を拒絶すべきだったあかりもまた、「オナホなんでしょ 使っても良いよ」と嘘で応じた。

篠原あかりの罪と罰と贖罪

嘘と嘘による性愛に二人は追い込まれてゆく。チキンレースのようにトモは辱めを課し、あかりは受けて立った。後7ページで語られるとおり、この二人を唯一止められる存在である兄の不在が幸か不幸か全てを加速した。後9ページ、嘘にまみれた二人は陵辱以外に言葉を持てなくなっていた。前25ページの初セックスの流れでゴムを着けていたとは到底思えない(明確な描写は無い)のだが、後15ページからの生挿入に抵抗を見せるあかり。それが癪に障るトモは罵倒しながらそのまま中で出す。後20ページ、あかりは謝り始める。「ごめんなさい…… わからなくて バカでごめんなさい やること全部 トモくんのこと苦しめて 優しいフリばっかり 本当はただの 自己満足だったのに」これが本作の偽りなき全てだ。あかりは善人だったが浅はかな選択でトモを苦しめていた。そこに薄々気がついていながら「自分は悪くない」という立ち位置から抜け出せなかった。結果としてトモが暴発したことに自責の念を感じたあかりは、自分の穴をオナホとして捧げることで「自己満足」したのだ。四度、彼女が差し伸べるべきでなかった触れ合いによってトモは決定的に間違ってしまった。自責の念にまみれたトモの耳に今更謝罪は受け入れられない。「黙れつってんだろっ…」トモはあかりの首を絞めた。そして自分がここまでこんがらがった理由が自分で分からないことをあかりに向かって泣き叫んだ。そこで初めてあかりは自分が本来言うべきだった言葉を紡いだ「好きになってくれてありがとう……」。トモは崩れ落ちた。告白したときの中学生だった頃の寝顔だった。

美しき罪人

以上、私なりの読み解きを書かせて頂いた。難解だった。快楽天においてここまでヒロインが悪者になった作品は覚えがない亜美寿真先生「沼る女」小野未練先生「反面教師」のようにヒロインの自分勝手に竿役が巻き込まれる話は決して少なくない。しかしその辺はコミカルに描かれたり、後日談で和解したりとヒロインが悪し様に描かれることは極めて少ない。それは先述の通り本質的に男性が性欲に罪悪感を持っているからだと思われる。要するに「両成敗」だと。生物的にもセックスは女性に一方的に負荷をかける行為という側面がある。しかし本質的に同意あるセックスは対等の関係性であり、下心は悪意では無い。男女問わず、慕情につけ込む行為は善では無い。本作もまたトモが一方的に悪人であるようにどうしても見えてしまう。そう描かれている。あかりは悪人とまでは言わないが、美しき罪人だ。しかも救いは与えられない。読めば読むほどに二人の罪と罰が浮かび上がり、読者の心を痛いほど揺さぶる。あまりにも綺麗に仕舞われ過ぎた天野結華シリーズの直後に、本作を突きつけたどじろー先生の懐の深さを思い知らされる年末だ。

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