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ロストワンメッセージ [楝蛙] 夏が終わる (快楽天 2023.11) 更新あり
copyright 2023 ワニマガジン 楝蛙
タイトル | 夏が終わる |
作者 | 楝蛙 |
掲載誌 | 快楽天 2023.11 |
ページ数 | 18 |
ヒロイン | 千尋 |
竿役 | 春樹 |
エロページ位置(割合) | 13 – 17 (27.8%) |
発射数 | 1 |
公式タグ | 処女 / 競泳・スクール水着 |
修正 | 白抜き修正 |
前回の「青春リビドー山」は当ブログの最大閲覧数を3倍以上更新すろほどご好評を賜った。そしてそういう時に限って39度の高熱を叩き出し現在も下がりきっていない(コロナ陰性)。それでも快楽天は今号も盛り上がっている。遅ればせながら楝蛙先生の巻頭作品を紹介したい。
はーい 危ないことしない!
本作はkomifloコメント欄が若干荒れている。未読の方は下記あらすじを読んで頂ければ分かるだろう。イチャラブ志向の最先端を邁進する快楽天において、純粋無垢そうなヒロインに手を出して捨てる竿役の不義理が胸糞悪いというブーイングである。胸糞作品は別にゴロゴロあるのだが、冒頭からの千尋さんのあどけない表情(プラス楝蛙先生のふんわりした作風)と、オチで千尋さんを被害者ではなく婚約者に対する不貞の共犯者にしたところがザワつきポイントだろう。扉ページでプールの子供に「はーい 危ないことしない!」とメガホンで注意するところが結果ブーメランになっている。
2周目
「千尋さんが全てを知っていた」前提で読み返すと本作は随分印象が変わる。2ページ、春樹が帰郷していることを知って「…スイカ 食べたいかも」というセリフの時点で、千尋さんサイドもヤリたい気持ちが見え隠れする。楝蛙先生の真骨頂「残り30cm」で、春樹が二人きりであることを確認する。そこで春樹は千尋の女の部分に口を出し始める。押し倒せば水着の布1枚。その格好で会いに来たこと、女として成熟したこと、「ずっと前から好きだった」という殺し文句、そして問題の「最後かもよ?」という悪魔の囁き。本当はもう別の女のものと知りながら、「今ならまだ間に合うよ」という言葉に千尋は不倫の道を選んだ。ボロクソに言われているが、春樹は意外と優しい。念入りに千尋をほぐし、愛をささやき、処女を貰ったことの喜びを伝え、最後に謝罪の意を伝える。二人が再会した時と事後に蚊取り線香が映っており、時間の経過が示唆されている。「短く儚い逢瀬」という意味かと思ったが、渦巻線香の外周が燃えきるのに3時間くらいかかるらしい。後片付け込みの時間だがワンチャン2回戦も可能だったかもしれない。
(更新)ロストワンメッセージ ※追記参照
そんな本作だが実はさらなるミステリーが存在する。上記の通り本作は物議を醸しているのだが、楝蛙先生から次のようなポストがあった。
なんと新作漫画で男のフキダシ1個書き忘れてて男の印象変わっちゃってるけどまぁ単行本で直すし今日も酒は美味いしいっか!乾杯🍻
— 楝蛙(おうちかえる) (@ura_okitu) September 28, 2023
つまり「春樹のセリフが一つ飛んでいる」「それにより印象が変わっている」という事らしいのだ。しかし本稿記事に楝蛙先生から返信を頂き、komiflo配信分はすでに修正されているとの情報を頂いた(追記参照)
墓暴きをするようで申し訳ないが、せっかくの情報なので書店販売の快楽天を購入し比較させていただいた。komifloと綿密に比較した結果、当たり前ながらほとんど変わっていないのだが、相違点が2点ほどあった。一つは13ページ左上の愛撫のシーン、雑誌版では白抜き修正が大きく入っている。komiflo版では透けているのだが印象としてあまり大きな違いはないように見える。そして問題のセリフだが、答えは16ページ「ごめんな…」が雑誌版には入っていなかった。個人的な感想としては、komiflo版で読んだ時点で唐突感のあるセリフであり、ぶっちゃけ「そこで謝られても」という意味で春樹の印象がやや悪化したポイントだった。このセリフが抜けている本誌でも一読する分には違和感はない。オチまで読んだ時点でのクッションとしては必要なセリフかもしれないが、せめて挿入前に言うべきというか、「初物サンキューな!」の後に言うのはやはり印象が悪いように感じる。上記の通り本作のkomifloコメント欄は若干荒れており、こういうヤリ逃げスケコマシ感の強いキャラは快楽天読者からの受けが悪いようだ。修正前記事を追記のほうに回したが、顛末が分かった後でも私は春樹が言うべきセリフはきっとあったろうと思う。二人には過去があり、春樹の中でつけるべきけじめがあり、それが今回の話では省略されていると信じている。
あらすじ(ネタバレ含む)
千尋は子供たちのプールの監視員を務めた帰り道、ある子供の兄である春樹が帰省している事を知り、会いに行く。3年ぶりの春樹と二人きりになり、成長した千尋を口説きにかかる。「最後かもよ?」という一言で千尋は身体を春樹に預け処女も捧げてしまう。実は春樹は既に婚約者がおり、数カ月後に連れてくるつもりと明かす。その事を千尋に聞かれ気まずい顔をするが、千尋は全て知っていた。
掲載誌はこちら
660円
楝蛙先生の作品はこちら!!
1,210円
パラダイス・ロストの道標 [監獄銘菓] 不協和音 後編 (失楽天 2023.09) 追記あり
copyright 2023 ワニマガジン 監獄銘菓
タイトル | 不協和音 前編 |
作者 | 監獄銘菓 |
掲載誌 | 失楽天 2023.07 |
ページ数 | 26 |
ヒロイン | 文枝のママ |
竿役 | ふぅのツレ |
エロページ位置(割合) | 9 – 25 (65.4%) |
発射数 | 2 |
公式タグ | フェラ / パイパン / 中出し / お姉さん / 寝取り / 巨乳 / 撮影・配信 / ダーク系 / ハード系 / 背徳・インモラル / 複数 |
修正 | 白抜き修正 |
copyright 2023 ワニマガジン 監獄銘菓
タイトル | 不協和音 後編 |
作者 | 監獄銘菓 |
掲載誌 | 失楽天 2023.09 |
ページ数 | 36 |
ヒロイン | 文枝(ふぅてゃ) |
竿役 | おぢさん他 |
エロページ位置(割合) | 2 – 34 (91.7%) |
発射数 | 4 |
公式タグ | おさげ / フェラ / パイパン / ツインテール / 処女 / 制服 / 学生 / ダーク系 / ハード系 / 貧乳・微乳 / 金髪・茶髪 |
修正 | 白抜き修正 |
ヒロインさんいらっしゃ~い
本作のヒロインはふぅてゃこと文枝(ふみえ)さんだ。両親の名前から一字ずつ取ったとあるのだが誰も両親を名前呼びしないので配合は不明だ。なお私の関西魂がどうしてもこの人を思わずにはいられない。桂三枝あらため六代桂文枝師匠についてもアホほどトピックはあるがいったん置いておく。なおこの人も不倫騒動があった。
前後編の構成まとめ
本作を時系列で整理する。
- 文枝がJCの時に車で拉致られ性的暴行を受ける。
- 被害を受けた娘に対して母親は警察への被害届を訴えるが父親は世間体のために拒否する。夫婦喧嘩に発展。
- 家庭の空気が悪化し親が文枝を殴るようになる。文枝高校入試に落ちる。
- 近所の年上のお兄ちゃんと仲良くなる。肉体関係に発展。
- 再度受験に失敗。家を飛び出しお兄ちゃんの下宿に転がり込もうとするが、すでに同棲している他の女とのセックス現場を目撃する。
- トー横に居つく。髪を染めてパパ活で生計を立てる。
- 親への復讐のため、男連れで文枝の家に押し入り母親を犯させる。
- 母親は夫に起きたことを話すが、夫は警察への通報を拒否し不倫相手とホテルに逃げる。
- 上記顛末を新参の女の子に話す(後編冒頭)
上記のうち7と8だけが前編の話だ。本作前編はヒロインである文枝が一切脱がず、エロシーンは全て母親がツレ二人にヤられてる場面だけで構成される。前編を読むだけでは母親は比較的まともで、父親が全面的にクズなように見えるが、後編で母親も娘に暴言を吐いているシーンがあり因果応報感が出た。前編のエロシーンは文枝が足で母親の子宮を踏むなど胸糞なシーンが多く、文枝の攻撃性と可哀想な母親の表情が対比的に描かれていた。なので前編では母親の裏の顔をあえて入れずに、文枝のヒールさを前面に押し出した形だ。なお本作の竿役はシーンごとにバラバラなのだが誰一人名前が出ていない。ついでに両親も友達も、文枝以外誰一人として名前が出てこないのだ。エロコンテンツとサスペンス物は「読者および近親者との名前被り」を気にして非現実的な名づけをするパターンが多い。全国の文枝さんには気の毒だが、胸糞キャラを多数描く上での監獄銘菓先生の配慮だろう。
文枝さん半生記 前編
後編は36ページとボリュームがあり、回想シーンで2回、そのあと1回濡れ場がある。場面転換だけでなく全て違う男というのも珍しいように思う。1発目はまだ擦れていなかったJC文枝ちゃんが無理やりヤられるクジラックス的展開のシーンだ(FC2のNGワードが多く書きづらいがお察しください)。当然詳しくは描写されないが、事後も含めて痛々しさが伝わる。あれだけブッ飛ばしていた前編がウソのように後編は一貫して文枝さんの感情が死んでいるのだが、このシーンがルーツなのであろう。結果、彼女は高校受験に失敗する。ある程度の挑戦が許される大学入試と違い、高校入試は自分の実力に見合った結果を確実に求められる。昨今は少子化のために高校入試倍率は二極化しており、上位校の競争は激化する一方で平均以下の高校では定員割れが常態化している。これを逆手に取り東京都立高校では成績下位校を「エンカレッジスクール」として、中学までの基礎学力が足りていない生徒向けにイチから教えなおす取り組みがある。無理に詰め込むより良い考えだと思うが、やたら世間体を気にする家庭には難しい判断かもしれない。本人の学力と親の欲目のミスマッチがあると高校浪人に陥るリスクが高まる。文枝さんはこのパターンにはまったのかもしれない。
文枝さん半生記 後編
高校浪人の受け皿はあまり無く、居場所を失った文枝さんは近所のお兄ちゃんに救いを求める。彼が「理解のある俺くん」なら別の未来もあったろう。実際本作で唯一文枝さんが心のこもった笑顔を見せているのが彼とのイチャラブシーンである。彼がどういう思いで、そもそもどういう立場で不登校女子を家に招いたのかは書かれていない。推察するに彼もまた大学浪人であり、高校という居場所を失い途方に暮れていた近所の公園で出会ってしまったのだろう。二人の関係は順調だったらしく「めっちゃ良きじゃん」と友達が言うのも無理はない。しかし彼が大学に進学し下宿を始めたところで破滅のトリガーが引かれる。男が一人暮らしを始めるにあたって、どうしても彼女が欲しくなるのは本能の働きだ。高校受験に再度失敗した文枝さんは母親にボロクソに言われ家を飛び出してしまう。彼女は電車に乗ってすきぴの下宿先に転がり込もうと画策する。下宿先をどうやって知ったかは分からないが、追いかけてきてほしくなければ教えない選択肢はあったろう。彼自身が教えたのであれば、そして訪問したタイミングで別の女とのセックスの最中でなければ、また違う未来はあったかもしれない。しかし運命は彼に言い訳の機会すら与えなかった。結果文枝さんは居場所を完全に失い、流れ流れてトー横に住み着くこととなる。言わずとしれた新宿歌舞伎町のTOHOシネマズの周辺地域のことだ。歌舞伎町自体が歓楽街なため、適当なおぢを引っ掛けてホテルに連れ込まれ、生活費と宿を確保するには事欠かない。危険な自由さを求めて集まった男女と交わり、文枝はこの街に染まっていった。そして前編の復讐劇を果たす。今日もまた適当なおぢに声をかけられ「ぴーまん」という安宿で体を売る。文枝の半生を聞いた冒頭の女はそこまでの覚悟がなく逃げ帰った。文枝はそんな彼女のことも、目の前の客のことも覚える気すら無かった。
叶愛ちゃんとワニコン
まとめる前にいくつか気になる点に触れたい。この世界は以前ご紹介した「夜に掛ける」と世界観が繋がっていることが示唆されている。というか同じ現場なのだ。冒頭で「【悲報】トー横キッズさん、実の母親を売ってハメ撮り配信www」という前編の「公開配信」の裏付けとなる記事を文枝に見せていたのだが、同じページに「【悲報】ホス狂さん、ビルから飛び(以下見切れる)」というタイトルが見えている。7ページ、文枝が何気なく蹴った空き缶も、「夜に掛ける」で叶愛が吸っていた酒(Wanirong Zero)と同じ柄である。他人が死のうが知ったことではない、そして文枝もまた同じ道を辿るのかもしれないという暗くて虚しいメッセージだ。そしてラスページの「ワニコン」について。とかくドラッグによる幻覚は人を惹き付けて止まない。かつてはトルエンなどシンナー(有機溶剤)を吸っていたが、規制が厳しくなった。怪しげなハーブやキノコが「合法ドラッグ」として売られていたが、これも「危険ドラッグ」と改称され取締の対象となった。結果トー横キッズがたどり着いたのが市販薬の大量摂取(オーバードース、OD)である。市販薬はとにかく入手容易で品質も高い。しかしほとんどは安全にできておりトリップなど出来ないため、幻覚を催すものを厳選する必要がある。このターゲットが「咳止め薬」だ。喉をいくらケアしても、咳そのものを止めるためには延髄の「咳中枢」を麻酔させる以外に手がない。このため咳止め薬は薬理的に神経中枢への影響が大きく、大量に服用すれば脳機能を麻痺させるつまり「ラリる」ことができてしまう。このため狙い打たれたのが「ブロン」で、あまりにも大量に買っていく客が多いため薬局側でも品数制限がかかるほどになった。そして次に狙われているのが「メジコン」である。念のため、脳をめったやたらに麻酔したところで気持ちよくなれるとは限らない。吐くか寝てしまう事の方が多い(そういう薬だ)。そして脳中枢に影響するということは極めて死亡リスクが高く、咳止め薬に限ったことではないが用法用量を守ることが大事だ。併せてコロナ蔓延時に咳止め薬の供給不安が起こったことも忘れてはならない。
ここがパラダイス・ロスト
本作も前作「夜に掛ける」同様にkomifloコメント欄が若干荒れ気味である。しかし前作よりは話がわかりやすく、エロ漫画として評価する声も多い。明確な区分けする意図かは分からないが、イチャラブ全盛でダーク系ハード系が敬遠されがちな「快楽天」との棲み分けという意味で、ともすると二軍扱いされがちだった「失楽天」の差別化を強く指し示す作品になればと私は思う。実際文枝さんは失楽天8月号のカバーガールも務めている。上述の通り、前編は背景をあえて伏せ「ヒロインが脱がず、ヒールをやり切った」という点が非常に強烈だった。後編はエロシーンが分割されているが、36ページという長編にすることで前作の背景の説明としてのエロを挟みつつ、ヌキ場としてのエロも十分に描かれている。前編含めて竿役が全て別の男という点も面白い。そしてふぅてゃという多くのエロ漫画読者から縁遠そうでいながら、「トー横に居そう、居てほしい」と思わせるヘイトと悲壮感を織り交ぜたキャラクターが全体を引き締めている。実際コメントでも「解像度が高い」と評価されている。無論私を含めて夜のトー横を知っている読者が多いと思えないし、現実にこんな可愛い家出娘が居たら誰かが囲って終わりだろうから解像度が高いはずもないのだが、フィクションにおける解像度とは「そう思わせる説得力」なのだ。文枝さんの話はこれで終わりなのだろうが、今後もこの方向性で失楽天をダークに彩っていくのか、はたまた別の引き出しを披露してくれるのか、監獄銘菓先生の次回作になお一層期待したい。
あらすじ
上記参照
本作前後編の単話販売はこちら!!
330円
前編掲載誌はこちら!!
660円
後編掲載誌はこちら!!
660円
監獄銘菓先生の作品はこちら!!
330円