copyright 2025 ワニマガジン Croriin
| タイトル | 魔女のお気に入り |
| 作者 | Croriin |
| 掲載誌 | 異世快楽天 Vol.52 |
| ページ数 | 28 |
| ヒロイン | シトリン |
| 竿役 | グリゴリ |
| 発射数 | 4 |
| 公式タグ | パイパン / ファンタジー・SF / 中出し / 尻フェチ / 巨乳 / 淫乱 / 異種間 / 褐色・日焼け / 金髪・茶髪 |
| 修正 | 白抜き修正 |
間隔が開いて本当に申し訳ない。本日はそんな諸々不調な性根を叩き直してくれたcroriin先生の作品をご紹介したい。本作は魂が震えた。
ドワーフ
本作はダークエルフとドワーフの性愛である。魂が震えた理由は後述する。ドワーフ(Dwarf)というのは一般には「小人」を指す。白雪姫の周りに居る7人もドワーフだ(なお複数形はdwarfs)。小人自体はあちこちの伝承に存在するが、ドワーフの源流はゲルマン民俗の伝承に遡る。伝承では「男性のみ(諸説あり)」「多種族と交わらず洞窟などに住み」「熟練した職人」であるとされる。実は元を辿ると奇しくもエルフと同系統だそうだ。社交的かつ神秘的という二面性がありファンタジー世界でやたら派手な存在に発展したエルフと違い、腕が良いが頑固ジジイというドワーフのイメージは確固として残っている。本作竿役のグリゴリおじさんもまさしく絵に描いたようなドワーフである。
職人
日本は古くからクラフターを「職人」と呼び一定の敬意を以て扱われていた。「職」という字に生産という直接的な意味は無いのだが、商業など非生産業に従事する場合でも「就職」「手に職」という呼び方をする。何かを作るという行為には苦楽両方の面があり、苦痛を伴う一方で完成品には無上の喜びが詰まる。この「快楽」がコストを上回ると作ること自体が目的化する。プラモデルなどまさにそのために売られている商品さえあるわけだ。何らかのクラフトを仕事では無く趣味にする人は数多い。そういったクラフターが高じた時に悩みになるのが「完成品の貰い手」である。このカテゴリには「器楽演奏」や「理髪」など跡が残らないモノもある。かくいう私の扱う漫画や駄文も収納にはさほど困らない。対していわゆる大工仕事や、本作のような金属加工などのクラフトは原価がかかる上に保管費用も処分費用も掛かる。売れればいいのだが、得てして職人肌の人間は商売が下手であり、かつ嫌いである(文句言わず受注生産出来るクラフターは希有だ)。素晴らしい出来であっても大量の在庫を抱えてしまい、親類縁者に頼み込んで貰ってもらうようなケースも少なくない。そのような経験がある方に本作は非常に刺さるだろう。料理好きと美食家、アクセサリ好きと宝石職人がペアになれば実にWin-Winの関係が作れるのだ。本作はまさにその蜜月関係を具現化している。
シトリン
本作に戻ろう。他のドワーフと共に宝飾品を輸送していたらしいグリゴリは、途中「魔女」と呼ばれるダークエルフの襲撃を受ける。ドワーフはこの「魔女」の存在を非常に恐れており、散り散りに逃げていった。しかしグリゴリだけはその魔女 – シトリンに目を奪われてしまう。結果グリゴリはシトリンに連れ去られ哀れ奴隷職人として働かされることになったのだ。シトリン(Citrine, 黄水晶)は黄色みがかかったクォーツのことで、アメジストとかと同カテゴリである。宝石としてはお安い部類であり、下の画像の商品は25.13カラットでお値段41,200円。同じサイズでダイヤモンドなら億超えは間違いない。

シトリンさんは今号カバーガールでもあり、作中のイメージほどには褐色肌では無い。それでもシトリンというネーミングは肌色にかかっているのだろう。

欲望の魔法石
「男は黙って仕事する」日本の職人は、そしてドワーフは大抵寡黙に描かれる。グリゴリもまた無駄口を叩かない性質だ。しかし鎖に繋がれシトリンに隷属する彼の心には秘められた炎があった。3ページ、「おれの装飾が 誰が着けた時より輝いて見えた」。その理由は彼にも分からなかった。しかし彼から見て恐らく、自作の装飾も含めてシトリンより見劣りして見えた、それが我慢ならなかったと読み取れる。グリゴリは彼女の望む装飾を作ることを自ら願い出た。シトリンもOKした。「彼女は一つ所に定住せずふと気まぐれに帰ってくる 新しい装飾を渡すたびに彼女は魔女であることを忘れるほど無邪気に喜ぶ」それがグリゴリから見たシトリンの姿だった。しかし6ページ、装飾の出来を鏡越しに満足したシトリンの笑顔をグリゴリは正視出来ない。それを見たシトリンは、「欲望の魔法石」をブレスレットに加工してほしいと告げる。グリゴリによると「その石が帯びている魔力はな 触れた者の心に入り込み欲望を暴き出す」という「危険な」シロモノであり、専用の工房が必要という見立てを伝えた。「おじさん 逃げたいの?」シトリンの顔が曇るのを見てグリゴリは取り乱す。「そんなつもりはない…」「お前さんの元で働きたいんだ」、彼は本心でそう告げた、つもりだった。シトリンはそんなグリゴリを拘束していた鎖を解いた上で、有無を言わせず欲望の魔法石を彼の手に載せた。
職人として、男として
私が本作で震えたポイントはここだ。本作はいわゆる「催眠もの」の逆バージョンである。催眠モノは携帯アプリやらなんやらを使うことで女性の意識・肉体を制御し、本人の意に沿わぬ形で竿役のオモチャにされる令和エロ漫画のド定番である。本作は男女の立ち位置が「逆」というだけではない。催眠モノのようにグリゴリの意思に介入して屈服させるのではなく、グリゴリから強制的に建前や嘘を取り上げ、本心で動くことを強制するという意味で「逆」だ。それだけではない。読者は彼の本心を知っていた。「シトリンの元で働きたい」は彼の職人魂が語る本心だと。にもかかわらず、この魔法石はグリゴリすらも認識出来ていない本心さえ暴き出した。10ページ、「シトリンは美しい。だからシトリンがおれの装飾をつけるべきだ」という職人としての本心、そしてその奥にあった「シトリンが好きだ抱きたい」という男性としての本心2つが暴かれたのだった。グリゴリ自身は前者を本心と「違う」と断定した。しかしそれは正しくない。2つの本心は何も矛盾していないどころか調和さえしている。職人として男として、シトリンを飾り抱き独占したい。ハンマーのように硬いチンコを、宝石のように美しいシトリンの尻に打ち付けることで目の前の最高傑作を磨き上げ、グリゴリは満たされたいのだ。職人としての全身全霊さえも彼女一人を求める。不器用であるが故の真剣で無垢な愛。
一方でシトリンもまた彼をじっくりと見ていた。彼以上に彼のことをよく識っていた。しかし「秘めたる恋慕」はシトリンの好みでは無かった。グリゴリの愛を確かめたかったのでは無い。詰まらない建前を解き放ったとき、「惚れた女で頭が一杯になることへの恐怖」つまり後ろから刺される事への怖れを克服出来るかを見たかったのだろう。彼女は彼の想いに応えた。シトリンは「逃げたいなら止めない」「後ろから刺したりしない」「私もおじさんの事大好きだよ」と言った。そして何のためらいも無く欲望の魔法石を手に持っていた。つまりシトリンは全て本心で語っている。
成さねばならない
事後、拘束も監視も無いグリゴリは変わらずシトリンのためだけに装飾を作っていた。最後までグリゴリ自身はそれが何故なのか理解できてはいなかった。「ただシトリンの声が頭の中で鳴り響く」。これは魔法でも呪いでも無い、ただの「恋心」だ。思春期のような新鮮な純愛。それをヒゲもじゃの職人ドワーフを通して完璧に魅せられた。日々老いてゆく中、高校生の恋愛やらについて読み書きしている一介のブログ職人として、本作ほど魂に響いた作品は無いかもしれない。私も特段監視も拘束もされていない。望まれているかは分からない。ご褒美は特に要らない。でも頭の中に鳴り響く何かが「成さねばならない」と私に思わせるうちは届けたいと思う。必ず。
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