Once in Your Lifetime [小野未練] 汽水域の二匹は (ゼロス #111)

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copyright 2024 ワニマガジン 小野未練

タイトル 汽水域の二匹は
作者 小野未練
掲載誌 ゼロス #111
ページ数 25
ヒロイン 赤瀬川あゆ
竿役 白波誠悟
発射数 1
公式タグ ムチムチ / 中出し / 同級生・同僚 / 学生 / 巨乳 / 恋愛 / 野外・露出 / 陰毛
修正 白抜き修正
最近当ブログは更新日に限ってPVが落ちるというやるせない現象に見舞われている。更新しない日は回復するのでホッとするのだが内心ビビリ倒している。今回はそうならなければと願いつつ、ゼロスから小野未練先生の作品をご紹介したい。
 

きすいいき

「汽水域」の説明は作中でもなされている。雨由来の淡水が海水に流れ込む場所で、塩分濃度が低い水域を指す。海にも雨は降るので表層付近が若干薄口になることはあり、水棲生物はある程度の濃度範囲なら順応できる。回遊魚の鮭に至っては淡水と海水を往復している。課題は産卵だ。成体は体液の調整幅が大きいが、薄皮に包まれた卵は水を通す。浸透圧の関係で外界の塩分濃度が濃いと中の水分が吸われてしまい、逆だと破裂してしまう。そのため汽水域は魚群の出会いの場でもあり、逆に汽水域でしか生きられないニッチな生物の穏やかな隠れ庭ともいえる。交わってしまうというところがエロい、と言うところだが既に本作ヒロインに言われてしまっている。本作タイトルは「ふたり」ではなく敢えて「にひき」と書かれている。本来交わらない2匹の生物が落ち着くところを探し、仲間の少ない汽水域の陰で交わってしまうというストーリーである。ヒロインの「赤瀬川あゆ」が淡水の象徴、竿役の「白波誠悟」が海水の象徴であろう。セイゴは出世魚スズキ(シーバス)の幼魚の名前であり、河口付近の汽水域を含め広い生息域を持つ。川魚の印象が強いアユも稚魚は汽水域で成長し、産卵のため遡上する。
名前がひらがなのヒロインは読みづらいため、以降「赤瀬川」と苗字呼びする。
 

MIE, Once in Your Lifetime

本作は二級河川「鰐曲川」の河口付近に架かる橋の下が舞台だ。一級河川が国道だとすれば、二級河川は都道府県単位で指定する県道のような位置づけだ。本作ではわざわざ看板に「三重県」とあるのだが、鰐曲という川は存在しない。山と海に囲まれた三重県には二級河川が74本もあり、聖地探しは出来そうもない。この橋の下は元々竿役の白波誠悟が秘密基地的に使っていた。ハーレムを持てないはぐれオスはどの生物でも珍しくない。一人上手になるのは男の獲得形質なのかもしれない。ある雨の日、そこにバレー部の赤瀬川あゆが駆け込んできたところから物語が動く。
陰キャ童貞に女友達が降って来るという話はもちろん腐るほどある。桜井のりお先生の一般作品「僕の心のヤバいやつ」が大ヒットする所以でもある(京ちゃんの性経験は勝手に無いと思っているのだが違っていたら申し訳ない)。当初赤瀬川さんが駆け込んできた理由は「雨宿り」なのだが、何故か白波の居座る橋の下に足繁く通ってくる。白波は生粋の陰キャなので理由を聞くのだが、赤瀬川は「話すの楽しいから」という当たり障りのない、都合のいい理由を返してくれたので不思議ながらもその場は納得した。もちろん白波の内心はそれどころではなく、懐っこくて巨乳の赤瀬川と橋の下で二人きりという状況に上半身も下半身も大混乱していた。ある日、赤瀬川は橋の下が海水なのか淡水なのかを白波に聞き、汽水域の話をする。汽水域は比較的生物群が混ざり合う水域なのだが、白波の言う通り「淡水・海水のどちらにも属せない」という生物もまた存在する。はぐれ者としての自嘲に対して、赤瀬川から「私も同じだ」という予想外の返答が返ってくる。この時も白波は何も返答を返せなかった。しかし白波はその理由をすぐに知ることとなる。
 

人間やるのって難しい

下校道、悶々とする白波の耳に誰あろう「赤瀬川あゆ」の陰口が入って来た。「マジでうざい」「女バレやめた」「調子乗ってる」「ハブった」。自分の知る屈託のない赤瀬川のこととは思えない罵詈雑言に白波はキレて、見知らぬ同学生に食ってかかった
橋の下、先に居座っていた赤瀬川が声をかけた白波は満身創痍であった。赤瀬川の膝枕の上で白波は自分の聞いたことを話し、赤瀬川もまた真相を話した。身長の高い女子は稀少なので運動部から期待と責任を負わせがちである。優しい赤瀬川は一旦その責任を引き受けるのだが、元々運動がさほど好きではない赤瀬川にとってそれは重圧だった。何気なくその本音を吐露した赤瀬川に対して、低身長を努力でカバーしようとしている周囲は快く思わない。矛先が本人に向き、居場所を失った赤瀬川をたまたま受け入れたのが何も知らない白波だった。赤瀬川は適度な距離を保つ白波の心地よさに甘え、結果として白波を巻き込んでしまったことを涙ながらに謝る。白波もまた、人間嫌いであるが故に聞くべきだった事を聞かず、勝手にキレて面倒を起こしてしまった事、事態の収拾に至らなかったことを詫びた。赤瀬川は白波の詫びを最後まで言わせず唇で塞いだ。「人間やるのって難しい」、本作のテーマである。群れに爪弾きされた者と、自ら群れから離れた者の邂逅。顔を真っ赤にした赤瀬川が「いっそどうぶつになれたら いいと思わない?」と告げる。
 

温かくて甘くて、ちょっとだけ汗の

動物の交尾は命がけなので、ヤルと決めたら前戯をする余裕などない。13ページ、いきなり騎乗位で挿入している。優れたエロシーンには、背景にバラが咲きそうな少女漫画のように美麗な女体を魅せるものと、匂い立つような本能のまぐわいを赤裸々に描く2系統に分かれる。小野未練先生は後者の技巧派である。花の香りではない、「温かくて甘くて、ちょっとだけ汗の」においがするという表現。そこに汽水域独特の磯の香りと草いきれ、橋の下の湿気、何より白波誠悟の男臭さと血の匂いが混じっている。それが画面から伝わってくる。個人的に感銘を受けたのは18ページ、白波がケツの下の小石が当たって悲鳴を上げるシーンがある。男が上の場合、基本的にピストン運動は突いた後すぐ「抜く」という動作が必要なため、女性の腰に全体重を乗せる必要は無い。対して女が上の場合は腰を上げるとすぐ抜けてしまうので、体重をかけながら前後に腰をスライドさせるような動きになりがちだ。しかも本作は明確に赤瀬川の方がデカいという前提がある。肉感だけでなく女体の重量感を婉曲的に伝えつつ、立ちバックに体位変更を促す優しさが見て取れる。初めてで不器用ながらも手探りで、時に痛がり、時に噛みつき、獣のセックスを描き切る。五感全てで感じる奥の深い作品だ。

あらすじ

二級河川「鰐曲川」の河口付近の橋の下で放課の時間を潰している白波誠悟のところに、赤瀬川あゆが雨宿りに駆け込んできた。人気者で明るい赤瀬川に懐かれた誠悟は不思議に思ったが深く理由を聞かなかった。ある日、赤瀬川の陰口を耳にした誠悟はキレて喧嘩を吹っ掛ける。満身創痍の誠悟に赤瀬川は真相を吐露し、キスをする。

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