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タイトル | このお店のまかない、食欲だけじゃなくて〇〇も満足させてくれるって本当ですか? |
作者 | punk |
掲載誌 | ゼロス #125 |
ページ数 | 30 |
ヒロイン | 泡坂梢 |
竿役 | 誠吾 |
発射数 | 2 |
公式タグ | しつけ / フェラ / おもちゃ / ガーター / ローション / ポニーテール / ニーハイ・ニーソ / 中出し / 学生 / 恋愛 / 淫乱 / 潮吹き / 金髪・茶髪 / 陰毛 |
修正 | 白抜き修正 |
今月のゼロスは当ブログで紹介させて頂いた作家様が目白押しで大変オススメ出来る。どれから紹介しようか迷うところだ。今回はpunk先生の作品をご紹介したい。
本作も時系列が敢えて並べ替えられている。以降はネタバレ前提で書くので未読の方は先に一読されることをおすすめしたい。
食べる方のまかない
本作の舞台は30で脱サラした竿役の誠吾が始めた洋食レストラン「羽丹」である。オーナーシェフの誠吾曰く「今日までつぶれずにやって来れたのは ここにいる泡坂梢さん」のおかげだそうだ。彼女は学生アルバイトの身の上でありながらホールを完璧に回せるパーフェクト看板娘である。日本国は少子化による人材不足に陥っており、人が資本の飲食業において優秀な看板娘は引く手あまた。待遇面で勝ち目がない個人経営のレストランにおいて誠吾が勝負出来る「まかない」で梢を引き留めていた。ちなみに当初梢さんが判断材料としていたのは時給・まかないそして「制服」であり、チェック柄がなかなかオシャレである。参考までにパンで有名な神戸屋レストランの制服はこちらである。

まかない飯とは、飲食業の従業員に食べさせる自家製料理のことを指す。飲食業はメニューの確保のためにどうしても食材を余らせる必要があり、売り物から外れたとはいえ自慢の目利き食材を使って利益度外視でプロが作るメシは大概美味い。まかない飯で重要なのは「バリエーション」であり、ラーメン屋の従業員に毎食ラーメンを出していたのでは美味かったとしても辛い。飲食店のバイトが外食しているケースも多々あり、その食費を店が払っていたとしても食事を「賄って」はいないのでまかない飯とは呼ばない。誠吾も「看板娘に飽きられないようにレシピを工夫して」一生懸命やってきたそうだ。ここまで本作4ページ、エロ無しグルメ漫画でこのまま進んだとしても成り立ちそうである。しかし本作はここで急展開を迎える。
夜のまかないオーダー表ver.3.10
5ページ、「夜のまかない♡オーダー表ver.3.10」夫婦間でも思わず照れるような書類が登場する。梢さんのプライバシーに配慮してか全体が見えない。見える範囲で可能な限り補完した(結構埋まらない)。手書きは流石にムリだったのでパワポで。赤字が梢さんの書き込みである。実際のプレイではもっと細かなオプションがあるので、上下にもっと項目があると思われる。基本プレイの二段目真ん中が分からなかったので並び的に「フェラ」としておいたが、14ページによるとこれはオプションらしいので正しくない。

梢さんは性欲が強かった。日々多忙な中で誠吾にコナをかけていたのだが相手にされない。最後の手段で梢は辞職願を叩きつけた。24ページ、「今日までありがとう泡坂さん 本当に助かったよ」、ここで終わればズッコケ大失敗である。「その…もし 何度も訊いて悪いんだけど」誠吾は続けた。「もしこうだったら辞めなかった — っていうのがあったら教えてくれないかな」梢さんは賭けに勝った。ここで誠吾の鼻っ柱に突きつけたのが、上の「オーダー表」の仮版である。度胸がある上に、その日の都合次第である「まかないをオーダーする」のは本来タブーと言える。誠吾は「焦った…婚姻届かと思った…けど…え?」非モテには出てこない強者男性のリアクションと、「そっちにしとけば!!」と悔やむ梢さんだった。この時点でセーラー服着用なので、梢が18歳を迎えていなければ婚姻はNG、16歳を迎えていなければ「まかない」も犯罪である。なお本作メイン時間軸ではセーラー服の描写がないためタイミングは不明である。5ページに「塾とか部活とかでたまってて」と梢が言っているので素直に読めばまだ高校生だが、塾=塾講師バイト掛け持ちであれば大学生という解釈も不可能ではない。終電までバイトしつつ部活に塾に励んでいるとするとますます18歳(高3)の可能性は薄そうだが、梢さんは結果的に大学進学した気配もないので、泡坂家の親御さんの思惑が色々外れたのかもしれない。
スコッチ・イン・沖縄
本作7ページ、カウントダウンキスを誠吾がスカすシーンには元ネタがあるとpunk先生から啓示があった。
punk先生は詳細を伏せておられる。当ブログでは「伏せ字は使わない」というポリシーがあるのでここで脱線して唐突に70年代刑事ドラマの金字塔「太陽にほえろ!」の話をしたい。キリのいい第400話「スコッチ・イン・沖縄」でスコッチこと滝隆一が実時間3年ぶりに再登場を果たす。次回予告を下に貼っているのでご参照頂きたい。ナイフを突きつけられている女性(沼沢妙子)を人質に取った密輸犯の手島安夫にスコッチは銃を向け、「3数える間に人質を放せ」と告げる。本当に数えだしたスコッチに、スニーカーこと五代潤は人質を撃つつもりだと判断し滝に飛びかかり結果手島を取り逃がす。怒り心頭のスニーカーにゴリさん(石塚誠)が「スコッチは油断を誘った」旨を説明する。このあとスニーカーはスコッチにこの事を問い質し、カウント2で撃つつもりだったこと、犯人の手島に対する憎悪とその背景である両親の死についてスコッチは語るのだが、このへんにしておこう。
新人から新婦まで
本作のテーマはヒロインのご希望で「新人ダメバイト研修」と銘打ってある。陵辱風プレイである。しかし実際梢さんは非の打ち所のない看板娘であり、ところどころ誠吾くんの心が折れる音が聞こえる。してもいないミスを詰り、嫌だ嫌だと泣き喚くJKに罵声を浴びせるのは合意であっても心が軋む。とにかくそれが店主としての精一杯の「福利厚生」であり、彼女自身のリクエストである限り創意工夫して応えるしかない。それくらい誠吾は梢に恩義を感じており、イチから育てた愛着もあり、梢なしの生業は考えられなかった。23ページ、「誠吾さん そんな顔しないでください ひどいことさせちゃってますか?」心を殺してまかないHを提供する誠吾の本当の気持ちを梢は看破する。「誠吾さんだって ほんとは私にひどいことするの好きなくせに」「…もし自分が愉しんでるのが後ろめたいんだったら 責任–とってくれてもいいんですよ?」。梢の好物を聞き、梢の笑顔が見たくて試行錯誤しながらまかない飯を作る誠吾。それは単なる「福利厚生」ではない。美味いメシを作るのが好きであり、梢が好きであり、好きな人に美味いメシを食べさせるのが何より好きだからこそ続けられる行為だ。それは陵辱プレイであっても本質は変わらない。夜のまかないオーダー表をバージョン3.10まで進めたのもまた梢と誠吾の二人三脚があってこそなのだと。違いはひとつ。croriin先生「花蜜の庭」でも書いたとおり、少なくとも人間は「誰構わず食料を提供する行為」を美徳と捉えるのに対し、望まれていたとしても「誰構わずセックスすること」を倫理的と見なさない。その一線を越える方法は「責任をとる」と梢さんが言ったやり方しかない。
そして事後のラスページ、責任は果たされたのだった。エロ漫画において事後描写はピロートーク程度だったり、翌朝だったり、1年後だったりする。特に決まりはないし、3次AVみたく女優に演技をつける必要も無い。純愛の流れとして付き合ったり、結婚したり、妊娠したりという展開もある。「挙式」も少なくない。しかし事後即「披露宴」というのは初めて見た気がする。チャペルで二人キスしているカットで成り立つ教会式と違い、披露宴は高砂席だけでは成立しない。punk先生はこのオチのためだけに司会者と親族女性3名のキャラデザを作り込んでいる。ヒロインもウェディングドレスではない、テンプレが特に無いお色直し後のドレスだ。そして何より、本作の「新人ダメバイト研修陵辱プレイ」は「プロポーズの言葉を聞かれた新郎が披露宴の満座で語った馴れ初めエピソード」だと言うのだ。質問した司会者が若干飲み込めていないのに、高齢であろう親族女性はコレを受け入れている。すごい。そして一番スゴイのは新婦梢のセリフ「誠吾さんは–この羽丹の料理みたいに– 繊細で思いやりがあって とってもやさしくて なのに夜はすっごく…意地悪なんです」(傍線筆者)。レストラン羽丹にシェフを雇う余裕は無いように見える。つまりこの披露宴の振る舞い料理は新郎の手作り、つまり「まかない」であると読める。もちろんレシピだけホテルに渡すという可能性はあるだろうが、ここまでのこだわりを魅せた誠吾ならばヤリかねない。
NGワード
本作タイトル「このお店のまかない、食欲だけじゃなくて〇〇も満足させてくれるって本当ですか?」の伏せ字に入る単語は何だったのか? 文法的には「性欲」だ。二文字だと仮定すると「梢」は足らないので、「泡坂」もしくは「新婦」とも読める。エロ漫画的には「子宮」、純愛的には「人生」も捨てがたい。メタ的には「読者」「売上」という解もあるだろう。私は上記の解釈から「親族」を推したい。まあとにかく全部満足させてくれているのだ。punk先生らしいキュートな絵柄から繰り出されるドギツいプレイ、そこからの涙そしてウェディングベルまで鳴らす揺さぶりと勢いが面白い。非常に多士済々なゼロス今号の中でもさらに異彩を放つ作品だ。
あまりにおめでたいオチのせいで流されているが、1つ本作には火種となる箇所があった。12ページ、「ウォーターホン」である。作中で説明されているとおり、卓上で水割りを作るときに押すだけで水が出る水差しだ。氷は別に入れるので保温機能がついていない。所作が乱れないことがメリットだが、単なる水差しにしては高価で洗うのも手間だ。「スナックとか」女性がテーブルで接客する店にしか無いものである。誠吾は潮を噴きまくる梢さんを例えてついこの単語と説明を言ってしまう。写植的にはこのまま流される話題なのだが、私も名前は知らなかった。図解と共に入った誠吾の説明に対して、本作で唯一、梢さんが噛みついたシーンがここである。スナックの客の大半は既婚者だと思われるが、清純JKに水商売の話は捨て置けないところだろう。視線をそらすどころかガン見である。しかしこの質問に誠吾は黙秘権を行使した。このまま両者水に流せれば良いが、結婚後とある夜のプレイシーンで梢さんが思い出したとしたら、今度は一旦止めて事情聴取が始まるかもしれない。誠吾サイドの「NGワード」である。

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