たまにはゴムありで [層積] つかず、離れ難く (快楽天 2026.08)

この記事は約4分で読めます。
12a4a6e7cc8c73da3561f8142c33cb7596ebe00f.jpg

copyright 2026 ワニマガジン 層積

タイトルつかず、離れ難く
作者層積
掲載誌快楽天 2026.08
ページ数29
ヒロインカスミ
竿役ダイチ
発射数3
公式タグフェラ / パイパン / 巨乳 / 淫乱 / 金髪・茶髪
修正白抜き修正

本日は快楽天から、層積先生の作品をご紹介したい。今年の夏は私の好きな作家様の単行本発売が目白押し。層積先生も8/31単行本発売予定との事で楽しみな一冊となりそうだ。

逆あらすじ

まず本作のウソあらすじを書かせて頂く。

ダイチはカスミと幼少期から仲良く今でも友達として遊ぶ間柄だった。その距離感が災いしダイチはなかなか男女としての一線を踏み越えられずにいた。人見知りのカスミが珍しく動物園に興味を示したのをめざとく察知したダイチは、動物園デートを申し込む。嫌々そうだったカスミだったが、待ち合わせ場所に現れた二人はまさにカップルだった。恋人らしい空気に浮かれたカスミに振り回されたダイチは怪我をしてしまう。この関係を進めたい二人は「今日は恋人ごっこだから」とラブホテルでの休憩を選んだ。緊張するダイチの締まった身体に見入るカスミ。ダイチは「初めてだから上手くいかないかもだけど」と照れながらカスミを脱がしにかかる。そしてコンドームを取り出すダイチの手を掴んだカスミは、「今日は付けないで」と懇願する。

たまにはゴムありで

本作をお読みになった方には伝わると思う。上記ウソあらすじが「一般的」「王道」「ありきたりな」エロ漫画の展開である。本作はこの展開がほぼ全て裏返っている。ダイチとカスミは半年前にマチアプで知り合ったカラダだけの関係である。本作竿役のダイチの方がカスミとの関係への踏み込みに躊躇があり、カスミはあっけらかんとその関係を弄ぶ。セフレとの動物園デートをダイチはどこかで「不道徳」と感じ、一方でカスミとの「プラトニックな関係」を楽しんでいた。18ページ、通常女性は婚前交渉時に避妊を求める大前提があり、エロ漫画では「ゴムを付けなくても良い理由」を追い求める。対して本作では普段からゴム無しでヤっているカスミが「ウブで新鮮な感じ」を求めてゴム付きでの挿入をおねだりした。全てがひっくり返っている。

ライオンに料理を教える

かつては少年漫画を読む層は基本バカであるという前提で描かれていた。なので主人公は腕っ節が強くて義理人情に厚いけれども頭は悪いというのが相場だった。NARUTOあたりが転換点で、漫画のメイン読者が「オタク層」腕力よりは知力を求める日陰者と認識され、筋力バカ系の主人公像から勉強だけ出来るカリスマリーダーポジションが好まれるようになった。エロ漫画も同様と考えており、令和では女性の特別な同意なく服をビリビリと破るような描写はまず見かけない。女性を性的に支配するという構図は一緒だとしても、「催眠」「異世界奴隷」など世界線全体を道連れにしてまでヒロインに強要する描写を避ける傾向が強い。いっぽう冴羽獠諸星あたるなど往年のラブコメ寄りの少年漫画主人公は性欲を丸出しにしていた。それが21世紀に入るとラッキースケベ的な「男性が直接的には求めていない」展開が主流になり、最近はエロ展開自体がシリアスなラブシーン以外で描かれる事自体減った。エロ漫画も「がっつく竿役が減った」は符合するが、性欲自体は肯定せざるを得ないという前提で描かれている。ここは普遍の真理だと信じられている。しかし本作はこの点さえも覆している。上のウソあらすじでも強調したように、「セックスによる性的充足」と「恋人とのデートによる精神的充足」が入れ替わっている。催眠モノなどで稀にある「誰とでもセックス出来る世界で精神的孤独を感じる」より強い感情だ。強いて言うならばライオンに料理を教えるような、単なるハッピー以上のより人間らしい関係性を構築したいという渇望がそこにある。

下りエスカレーターを駆け上がれ

マズローの欲求5段階という有名な構図がある。「衣食足りて礼節を知る」という言葉通り通常は下から順に充足されるとされる。

引用: https://www.jimpei.net/jikorikai/entry/maslow

しかしエロに関してはこの階段を下向きに降りる構図が当たり前だと信じられている。つまり「自分磨き」が男女交際の前段階にあり、想い人に認知されたい・良く見られたい(承認欲求)、両想いのカップルになりたい(所属欲求)、プライベートな場所で二人きりになりたい(安全欲求)を経てセックス(生理的欲求)となる。セックスから始まる男女関係をマズローの構図で説明することは難しいように思う。しかし本作はそうなっている。自宅でのセックス三昧という下2段が満たされた段階から、ダイチは愛を求めた。そして愛に対する承認を求めた。カスミはデート自体は楽しかったと評価し、「恋人ごっこ」をまたやりたいと言った。つまり本作で下から3段階目まで二人の関係は進んだ。しかし「恋人ごっこ」から「恋人」への承認が得られなかった。マズローの欲求5段階説の下4段は「欠乏」が上段に進めるエンジンだと解釈される。本作ラストでダイチが不満げな顔をしているのはそのためだ。エロ漫画という最も原始的な欲求に立ち返ることを第一義とする舞台において、層積先生はその使命を果たしつつ、本能への下りエスカレーターを全力で逆走して魅せた。いつもながらのキレ味鋭い名作がまた一つ加わった。

層積先生の作品はこちら!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました