copyright 2026 ワニマガジン 小野未練
| タイトル | 「やめないで、雪季先生」 |
| 作者 | 小野未練 |
| 掲載誌 | 快楽天 2026.10 |
| ページ数 | 20 |
| ヒロイン | 猫屋敷雪季 |
| 竿役 | 不破 |
| 発射数 | 2 |
| 公式タグ | フェラ / 先輩・上司 / お姉さん / 巨乳 / 手コキ / 陰毛 |
| 修正 | 白抜き修正 |
本日も引き続き快楽天から。俺の神様、小野未練先生の作品をご紹介したい。
仕方ない、構ってあげる!
本作の流れは下記あらすじをご覧頂きたい。今回は本作に名前の挙がっている3人の漫画家にそれぞれ焦点を当てていきたい。まずは本作ヒロインこと猫屋敷雪季先生だ。同名のキュアニャミーさんとは多分関係が無い。彼女は大学在学中の21歳で「悔いなら今更」という作品で優秀新人賞を受賞したホープだった。賞金は50万円也。大学生としては大変ありがたい額であるし、将来を懸けたくなる期待値に違いない。一方で彼女の所属する漫研は人が居らず、自らの作品を読んで来てくれた本作竿役、不破の入部を大変喜んでいた。気さくな雪季先輩は自らを慕う不破を喜ばせんと漫画に打ち込んでいた。ここまでが前段である。不破は先輩の処女作「悔いなら今更」の同人誌?を大切に読み続けていた。本人の前でも臆すること無く賛嘆の辞を並べる。一部補完して引用する。
まず猫屋敷雪季先生の漫画の素晴らしいところはキャラの心情の魅せ方ですよね
いかに「好き」って言葉を使わず「好き」を表現するかみたいな
キャラが何を考えてるかをモノローグでキャラに語らせるんじゃなくてそのキャラの動作で読者に想像させるのが本当に上手でカッコよくてその工程がキャラたちに人間の体温を与えてるみたいで、例えばこの…
素晴らしい言語化能力とはいえ愛が重い。一方でこの賛辞は先輩の心に刺さっていた。10ページ、「修正しすぎて何が描きたいのか分からんなったネームとか 同年代の作家は連載始めてどんどん先行ってんのとか じりじり減ってく残高とか」焦りがクリエイターとしての彼女を自分で追い詰めていた。それに独りで耐えられなくなった彼女は、不破のもとを訪れる。夢破れた事情を理解出来る不破にしっかりと幻滅された上で、かつての好意にできるだけ甘んじるつもりだった。しかし不破はそんな自分をどこまでも「天才漫画作家」として遇することを止めなかった。身体を求めてくる雪季に「読み切りが得意だからエロ漫画なんかどうですか?」と頑なに立ち位置を守った。それでもなおイジケる彼女に、「いくらでも付き合いますよ あんたのファンですから」「やめないでって言ったのはあんただろ 苦しくても続けてよ 勝手に降りんなよ あんたの漫画も あんたのことも好きなんだよ 責任とってよ 雪季先輩っ」、目の前の女をうだつの上がらないぺーぺー新人漫画家猫屋敷雪季ではなく、敬愛する大学の漫研の先輩として目線を下げた。神を人間として拝む大罪。不破にとって断腸の思いを押し殺した優しさであり真心だった。その優しさと想いは雪季に届く。等身大の自分からの再出発。3ヶ月後不破の元に届いたのは、筆名を「猫屋敷ユキ」と改め、エロ漫画雑誌「弁才天」に掲載された作品だった。タイトルは「反省文」。竿役の家に転がり込んだヒロインがベッドの上で「私さ 勝手だったよね ごめん」と謝る話。不破はこれが全世界の男子だげてなく、自分に特別に向けられたメッセージであることを理解した。不破は思わず分泌する何かを拭うためにティッシュを手に取った、というシーンでオチとなる。
「やめないで、雪季先生」あらすじ
不破が漫研で出会った雪季先輩は才能と自身に満ちあふれていた。在学中に作品が入選し、プロ漫画家としての背中を不破に見せる気満々だった。しかし月日が経ち、雪季先輩は寄る辺なく不破の家に転がり込んだ。漫画家としての壁に当たった雪季先輩は自分を敬愛する不破にもたれかかり蕩けた生活をしていた。それでも不破は彼女のことを敬愛する漫画家として持ち上げ続けた。
大野試練

| タイトル | エロ漫画家、大野未練の淫蕩 |
| 作者 | 小野未練(なまやけハンバーグ) |
| 初出 | 前編 – C107(冬コミ2025), 完全版 – コミティア154 |
| ページ数 | 60 |
| ヒロイン | 大野未練 |
| 竿役 | 或子チエル |
| 発射数 | 2 |
| DLsiteタグ | おっぱい / 女主人公 / ラブラブ/あまあま / 中出し / 和姦 / 陰毛/腋毛 / 巨乳/爆乳 / ムチムチ |
| 修正 | 黒海苔修正 |
ご紹介したい二人目の作家は、本作2ページで雪季先輩がソファに寝っ転がって読んでいたエロ漫画「いたいのいたいのとんでいけ」の作者こと大野試練先生だ。彼女について分かっていることは小野未練先生の同人作品「エロ漫画家、大野試練の淫蕩」に記載されている。本作中では基本的に26歳であるが、単行本が出た雪季先輩時間軸とどれくらい差があるのかは不明である。高校生(16)の頃から少年ジャンプ好き(好きな十刃はウルキオラ、星十字騎士団はゾンビ化したバンビちゃん)だが男友達が出来なかった彼女は漫画家の道を歩み出す。しかし16ページ、全年齢作品でうまくやっていけなかった大野さんは成人向けに「逃げてきた」。そして本作竿役或子チエルくんの初同人誌「夜光」(たぶん全年齢)の面白さに打ちのめされた。3歳年下である或子くんに憧れを抱いた大野さんは交流を深め、或子先生の取材を兼ねた花巻旅行に4人で出かけることとなった。このうちの一人、すみれちゃん先生は多忙につき辞退。もう一人の浜野まさご先生も出発4日前に家族がインフルエンザに感染したため欠席と相成った。なお本同人誌は冒頭「実在の場所、コミュニティ、人物との関係性は一切ありません ねえっつってんだろ!」という断り書きがあるのだが、「すみれちゃん」先生だけは実在の漫画家で友人とのことだ。
サン=テグジュペリは夢をみる1,000円
電話口で或子はそれでも取材のため花巻に行きたい、でも大野先生が気まずいならキャンセルしますがと水を向けた。彼女は快諾し花巻行きが決まったが男女二人での温泉旅行に動揺を隠せなかった。宮沢賢治の足跡を辿りつつ或子への思慕の念を深める大野。酒の力も手伝い「或子くんはさあ 私のエロ漫画で抜いたことあるー…」温泉宿に並んで敷かれた布団の上でブッ放してしまった。後悔し仕切り直そうとした大野だったが、或子は照れた表情で逃げるように温泉へ行ってしまった。期せずして泳がされてしまった大野はもう居ても立ってもいられず、混浴となった温泉へ突撃してしまった。
イーハトーブを探して
ここからエロシーンである。本作はkomiflo配信作品では無いため続きは各自お読み頂きたい。本作のテーマ、ひいては表題作も含めた小野未練先生作品のテーマが13ページ、そして15ページにて語られている。前者は宮沢賢治先生の有名な詩「雨ニモ負ケズ」に代表されるストイックな自己犠牲の精神性だ。無理矢理やら常識改変やらを除くまっとうな男女の性交渉にはある種の贈与経済が付きまとう。月代常子さんに礼くんがビール代を立て替える話から、朝隈あゆみの人生を道場の跡取りはるちゃんが丸抱えするような話まで、恋人に何かを無償で差し出す行為は自然かつ善いものだと本能的に感じられる。「サウイフモノニワタシハナリタイ」ものだ。対して或子先生が看破したのは、「みんなが幸せになれない構造とか どうにもならない現状みたいなものを壊したかった」という考えだった。エロ漫画には「どうやって善男善女に股を開かせるか」という命題がある。夫婦間以外のセックスは本質的に倫理に反する行為とされる。学生同士、上司と部下、まったくの他人、果ては肉親同士、エロ漫画は決められたページ数の間で登場人物に反社会的行為をさせる必要がある。しかし純然たる反社会的行為、街中で通行人をいきなりレイプするような商業エロ漫画はまず存在しない。真面目に生きているが故にセックスから遠い人生を余儀なくされている人、恋人のことを大切に思うが故に性欲に蓋をする人でこの世は溢れている。赤瀬川あゆへの仕打ちに反撃した白波誠吾、垂水美羽と松永広音に与えられた身勝手な境遇、合理的に解決出来ない葛藤を一刀両断にする破壊的なエネルギーがセックスにはある。エロ漫画の名作はこの過程を綺麗に描かれたモノが多いわけだが、小野未練先生は露骨に、むしろ際立つようにこの「破壊衝動」を提示する。大野試練先生もまた、混浴に突撃する前もそして後も、葛藤と衝動に揺れ続ける。ネタバラシをすると、事後、大野試練先生は全てを割り切った晴れやかな表情を浮かべる。黒原公子先生とはまた違う良さが本作にはある。
宮沢賢治先生「毒もみのすきな署長さん」のあらすじ
プハラという町での物語。川には多くの魚介類が棲んでいるらしかったがプハラの国には「毒を使った漁(毒もみ)をしてはいけない」という法律があった。ある日この町に新しい警察署長が赴任する。彼はとても面倒見の良い署長だったが、彼が着任してから川で毒にやられた魚が見つかるようになった。署長が一枚噛んで違法漁で金儲けしているという噂が立ち、町長が署長へ問い質しに来た。
小野未練
そして最後にご紹介するのはもちろん小野未練先生ご本人についてだ。愛知県のご出身。「練り物 nerimono」の逆さ読みが筆名の由来だそう。Xアカウントがtikuwa_surimiなのもこの名残のようだ。2021年に「完璧な庭」が講談社ちばてつや賞第84回ヤング部門(ヤングマガジン)の奨励賞を受賞。同じく2021年に「花束の代わりに」がちばてつや賞第80回一般部門(モーニング)の奨励賞を受賞した。続く2022年には「ガラスの水槽」が第85回ヤング部門の準優秀新人賞を受賞。そして週刊Dモーニング「連載獲得マッチ」テーマ「衝撃の出会い」にて「黒野先輩の作戦」で勝負される。すべて全年齢対象、現時点でコミックDAYSで読むことが出来るので紹介していこう。なおこの時の対戦相手で連載を勝ち取ったのが二宮ゆうこ先生「げこの酒道」だった。
げこの酒道792円
現時点で作品はこちらのリンク(コミックDAYS)にて閲覧出来る。
完璧な庭
髪が黒い方が「姉ちゃん」。妹のことは「怜ちゃん」と呼んでいる。苗字は北方。両親に虐待され顔に火傷の残った妹を助けるため事故を起こした姉。されから久方ぶりに帰省した妹が見た姉は面影そのままに粘菌に侵食されもはや人間では無かった。しかし本作のテーマは「姉妹が互いの境遇ばかりを見て本人に向き合っていなかった」というものだ。姉が粘菌に乗っ取られたことで本質が見えた、と妹は思った。本作はそこまでなのだが、やはり姉はもう姉では無く模倣品だという事実が重く痛い。若干ホラーテイストでありながら、「とりかえしのつかない過ち」という小野未練先生の主題が現れている。Days neoに掲載されている小野未練先生の初期作品にも同様のナンセンスホラー的な要素が見受けられる。以降の作品では(当然エロも含め)「ヒトの死」を直接的に取り扱った作品は無く、本作が小野未練初期作品の完成形と呼べるのかもしれない。
花束の代わりに
主人公は藤本桜?。踏切に飛び出したヒロインの手を引いて助けたことで感謝状を貰う。しかし彼女の右足までは助けられなかった。ヒロインが藤本の家を訪ね「父親のところまで連れて行って欲しい」と願い、藤本は車を出す。助けたとは言え不具にして生かしてしまったことに藤本は深い自責の念を持ち彼女に抗えない。対する彼女はドライブインで彼女を励まそうとした男に椅子を投げつけた。彼女は自分を捨てた父、父に縋り娘を疎む母、すべてに対する憎悪を腹の奥に飼っていた。しかし3年前に子供を庇って死んだという父の墓の前で何も出来ず立ち尽くす。全てを察した藤本は彼女に代わってこの現状に怒り暴れる。こちらはもっと直裁的に学生ヒロインの片足という「とりかえしのつかなさ」、そして「破壊衝動」が赤裸々に描かれている。名前がないがこの片足欠損少女が今回ご紹介する4作の中で私は最も美しいと思う。
ガラスの水槽
主人公は新城潮さん。サボりがちな彼女はヒロインの目明藍さんと一緒に夏休みの補習を受けさせられる。目明さんは中学の時のイジメが理由で不登校だったのを保健室登校まで頑張っていた。快活な新城さんに目明は憧れ補習の日々は進んでゆく。しかし新城の家族は祖父の介護で疲弊しており新城さん自身も友達づきあいの余力が無くなっていた。そのことを友達に責められた新城を見て目明さんがキレる。しかし逆に新城は目明を咎め逃げだす。どこにも居場所がないと感じた新城はベランダから投身自殺を決意する。しかしそれを止めたのは目明だった。「とりかえしのつかなさ」による閉塞感焦燥感そして「破壊による現状打破」が「ガラスの水槽を壊す」という形でビビッドに描かれている。本作には山口先生という脇役がおり、重い主題に対しての補足(適切な助力が得られる状況で潮と藍は自己解決出来た)とコメディリリーフという形で作品の立体性に大きく貢献している。
黒野先輩の作戦
上3作は女二人の物語だったがここで男女の関係となる。必然的にエロ漫画家小野未練先生のプロトタイプと呼べる作品かもしれない。ヒロインが黒野先輩。主人公坂口圭くんからみての先輩だったが、黒野が2留したため並んでしまった。大学生活に夢を持たない坂口に、永遠のモラトリアムガール黒野が「色を付けていく」作戦。ガチャガチャした大学の群像劇、友達など要らないという坂口に構いまくる黒野先輩が愛らしい。一方で黒野先輩の留年に至る理由に関しても部分的に影が見える。このボカした陰影の描写が現在の小野未練先生の必殺技と言えよう。冒頭黒野先輩は「永遠ってあると思う?」という問いを発する。永遠の世界とは全てに「とりかえしがつく」世界である。坂口はそんなものはないと否定したが、それがあるとすれば黒瀬先輩との日々だと感じていた。しかし坂口は就活を済ませて卒業の準備を固める。卒業式の前日、大学の居室に泊まった二人。今なら本番2発は間違いない展開だが、黒瀬先輩のキスによって締められる。そう、最後の矜持として「現状を破壊」する役を黒瀬先輩は担っていった。坂口は永遠に黒瀬のことを忘れられないだろう、永遠とはそこにあるものだと思わされた。しかし本作はここで終わらない。オチはぜひ直接確かめてほしい。
君の熱い気持ち載せて 我らの想いを背に今戦え
改めて或子チエル先生の発言を振り返る。「みんなが幸せになれない構造とか どうにもならない現状みたいなものを壊したかった」。「黒瀬先輩の作戦」を除く3作品は明確に「みんなが幸せになれない構造」があった。そして「どうにもならない現状みたいなものを壊したかった」という願いが作品の根本として具現化されていた。さらに翻って表題作に戻る。漫画賞で賞金を得た小野未練先生もまた全年齢作品の舞台で苦戦されていたのだろう。2024年2月、「夢でオチたら」(ゼロス #108)にて商業エロ作家としてデビューし活躍、2026年10月に初単行本「きみだけのけだもの」が発売される予定である。エロい意味では無いものの、猫屋敷雪季先生改め猫屋敷ユキ先生が経験した葛藤および打開を大なり小なり小野未練先生も経験したと考えざるを得ない。エロ漫画に限らず、一度単行本として出版されるとその名前は「著者」として永遠に記録に残る。漫画家としての大きな到達点と言って間違いない。今回小野未練先生の足跡を辿るに当たり、ちばてつや賞含め多くの作家様の名前を目にしたが、多くは存じ上げなかった。本作は単行本発売という節目での、小野未練先生いや大野試練先生から多くの「みんなが幸せになれない、どうにもならない現状」に悩めるクリエイターへの檄文ということなのだろう。単行本、楽しみにしたい。
本作の単話販売はこちら!!
「やめないで、雪季先生」(単話)330円
10月発売予定の初単行本はこちら!!
きみだけのけだもの1,430円
小野未練先生(大野試練先生)の作品はこちら!!
エロ漫画家、大野試練の淫蕩1,100円


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